ビールのスタイルは世界に100種類以上! 人気のビアスタイルをかんたんな解説とともに紹介

ビールのスタイルは世界に100種類以上! 人気のビアスタイルをかんたんな解説とともに紹介
出典 : Klenova / PIXTA(ピクスタ)

ビールの種類を「ビアスタイル」といいますが、現在その数はなんと100種類以上にのぼります。ここでは、ビールの種類をエールビール(上面発酵ビール)とラガービール(下面発酵ビール)に大別したうえで、人気のビアスタイルを紹介していきます。

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まずはビールの種類をエールとラガーの発酵方法別に大きく分類し、人気のビアスタイルをみていきます。

ビールのスタイル(ビアスタイル)とは

ビアスタイルとは

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ビールのスタイルとは、ビールの原料や製造方法、味わい、アルコール度数や苦味の指数などを定義づけした分類のこと。かんたんにいえば「ビールの種類」のことです。
「ビアスタイル」とも呼び、その数はなんと100種類とも150種類ともいわれています。おもな種類をみていくにあたり、ビアスタイルの分類方法を確認しておきましょう。

ビールの種類は発酵方法の違いで3タイプに大別される

ビールのスタイルは、その発酵方法によって以下の3つのタイプに大別されます。

◆エール
◆ラガー
◆その他


「エール」と「ラガー」は、ビール醸造に適した性質を持つ酵母を使ったビールで、大多数のビールはこのどちらかに属します。

なかには、ビール醸造用に培養されたものではなく、自然界に存在する野生酵母を使って自然発酵させるビールもあります。ベルギーの「ランビック」などが有名ですが、自然発酵で造られるビールは種類が限られているので、ここでは、ビールを大きく「エール」と「ラガー」の2種類に分け、人気のビアスタイルをみていきます。

大分類「エール」と「ラガー」の違いは?

「エール」と「ラガー」の違いは、ビールの発酵工程で使われる酵母の違いです。

「エール」とは、上面発酵酵母を使用した上面発酵という発酵方法で造られるビールのことで、「エールビール」「上面発酵ビール」とも呼ばれています。豊かな香りと芳醇な味わいに仕上がる傾向があります。

一方、「ラガー」は下面発酵酵母を使用した下面発酵という発酵方法で造られるビール。「ラガービール」「下面発酵ビール」とも呼ばれ、スッキリとした味わいに仕上がる傾向があります。

おもなビールの種類(ビアスタイル)と特徴

ビアスタイルの種類

花咲かずなり / PIXTA(ピクスタ)

数あるビアスタイルのなかでも、人気の高いスタイルを「エール」と「ラガー」に分けて紹介します。

エールビール(上面発酵ビール)編

「エール(エール系)」に分類されるビールのおもな種類と特徴をみていきます。

ペールエール

イギリスの伝統的なビール。「ペール」とは「淡い」を意味する言葉。ペールエールが誕生した当時に飲まれていたほかのビールはほとんどが濃色で、それらのビールより淡い色合いだったことから「ペールエール」と呼ばれるようになったそう。

ホップ由来のフルーティーな香りと強い苦味が特徴です。

IPA(アイピーエー / インディア・ペールエール)

数あるビールの種類のなかでも世界中で愛され、多彩な派生スタイルを持つIPA。「インディア・ペールエール」の略ですが、発祥はイギリスです。

ホップを大量に使用して造るため、ホップ由来の香りと苦味が際立つ印象的な味わいに仕上がります。また、高めのアルコール度数も特徴です。

クラフトビール初心者で、「エールビール」と「ラガービール」の違いを味覚で確認したい人は、IPAから入ると、その味わいの大きな違いを認識できると思います。

IPAグラスで飲むIPAは格別

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ポーター

ポーターの誕生は18世紀初頭のロンドン。「古くなった酸味のあるブラウンエール」と「造りたての若いブラウンエール」、「ペールエール」の3種類を混ぜた「スリースレッド」と呼ばれるビールが流行していましたが、あるパブのオーナーが、3種のビールをあらかじめ混ぜ合わせて売り出したのがポーターの始まりです。

茶系の色味とコクが特徴の「ブラウンポーター」と、より濃色でコーヒーやチョコレートを思わせる香ばしい風味を持つ「ロブストポーター」があり、「スタウト」のルーツとしても注目されています。

スタウト

「ポーター」から派生した、コーヒーのようなロースト香を特徴に持つビアスタイル。発祥国はアイルランドで、黒ビールの代名詞と評される「ギネス オリジナルエクストラスタウト」がその代表格です。

「ドライスタウト」や「スイートスタウト」「フォーリンスタイルスタウト」「オイスタースタウト」など、さまざまな種類があります。

黒ビール

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ヴァイツェン

小麦麦芽を使ったドイツ伝統の白ビール。「ヴァイス」とも呼ばれます。酵母をろ過した透明で澄んだスッキリ系の「クリスタルヴァイツェン」、白く濁った無ろ過の「ヘーフェヴァイツェン」など、いくつかの種類が存在します。

バナナやクローブのような香りが感じられ、ホップ由来の苦味が少なめなので、ビール初心者にも人気があります。

アルト

ドイツ語で「古い」を意味する「アルト」は、デュッセルドルフで18世紀ごろに発展した、下面発酵なみの低温で熟成される銅褐色のビールです。

麦芽由来の焙煎香はありますが、比較的まろやかなコクが感じられる味わいです。

小麦のビール

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ケルシュ

ドイツのケルン地方で生まれ、ビールとしては珍しく原産地統制呼称が認められた伝統的なビアスタイル。ケルン地方の限られた醸造所で厳格なルールのもとに造られたビールだけが、「ケルシュ」を名乗れます。

淡い色と酵母由来のフルーティーな味わいが特徴で、口当たりはなめらか。苦味や旨味のバランスもよく、ラガービールのようなキレも備えています。

ベルジャンホワイト(ベルギーホワイトビール)

麦芽にしない小麦と大麦麦芽で造られる白ビール。その歴史は古く、発祥国のベルギーでは中世から親しまれています。

煮沸時にコリアンダーシードとオレンジピールが加わることから、柑橘系の甘くさわやかな香りとスパイシーな風味がたのしめます。苦味が少なく、フルーティーで飲みやすいので、ビール初心者にもおすすめ。

アンバーエール

アメリカ西海岸で生まれた琥珀色のエールビール。「アメリカンアンバーエール」「アメリカンスタイルアンバーエール」とも呼ばれます。

焙煎モルトがもたらすカラメルのような香りと濃厚なコク、ホップ由来の苦味が特徴で、肉料理とよく合います。

注ぎたてのビール

jazzman / PIXTA(ピクスタ)

ラガービール(下面発酵ビール)編

「ラガー(ラガー系)」に分類されるビールのおもな種類と特徴をみていきます。

ピルスナー

19世紀にチェコのピルゼンという町で生まれたビアスタイル。現在は世界のビールの主流となっており、日本の大手メーカーが造る人気ビールの大半はこの「ピルスナー」だといわれています。

透きとおるような黄金色とさわやかなのどごしが特徴で、毎日飲んでも飲み飽きしないのも魅力です。

シュヴァルツ(シュバルツ)

文豪ゲーテが愛したドイツ発祥の黒ビール。ロースト麦芽ならではのビターチョコを想わせる香ばしさや甘味、ほろ苦さが特徴です。

黒ビールというと、クセの強いイメージを抱く人もいるかもしれませんが、意外にもシャープでスッキリとした味わいがたのしめます。

ドイツ生まれの黒ビール

Natalia Pesterean / Shutterstock.com

ボック

ドイツのアインベックで発祥した伝統的なビアスタイル。アルコール度数の高さが特徴で、なかには14%を超えるものもあります。銅色から黒色と比較的濃色で、苦味は少なめ。香りや味わいはモルトの個性により変わってきます。

アメリカンラガー

のどごしがよく苦味も少ない、淡い黄金色のラガービール。ホップ由来の苦味や麦芽の風味は弱めで、クセの少ないスッキリとした味わいが魅力です。

「バドワイザー」や「クアーズ」に代表される「アメリカンラガー」は、ゴクゴク飲める爽快なのどごしと軽い飲み口で、世界中で愛飲されています。

ビールの種類は驚くほど豊富ですが、気になるビアスタイルの特徴を押さえておけば、大きく外す心配はありません。飲み比べのたのしみも広がるので、ここで紹介したビアスタイルの特徴を確認して、お気に入りを探してみてください。

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