黒ビールはなぜ黒い? スタウトやシュバルツも黒ビール? 色の秘密や味わいの特徴、おもな種類を確認
黒ビールとは、濃色麦芽(モルト)を原料の一部に使った色の濃いビールの総称。ポーターやスタウト、シュバルツも黒ビールの仲間です。今回は、黒ビールの特徴や個性的な色の秘密、黒ビールの種類とその味わい、黒ビールに合うおつまみなどを紹介します。
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黒ビールとはどんなビールなのか、まずは概要からみていきましょう。
黒ビールとは濃色麦芽を使った色の濃いビールの総称
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黒ビールとは、濃色麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビールのこと。ビアスタイルを表すものではなく、ビールのラベルや缶に任意で表示できる用語のひとつです。
ビール酒造組合が定め、公正取引委員会の認定を受けて制定された「ビールの表示に関する公正競争規約」では、黒ビールを「特定用語の表示基準」のひとつとして、以下の基準に従うものと定めています。
出典 https://www.jfftc.org◆黒ビール及びブラックビール
濃色の麦芽を原料の一部に用いた色の濃いビールでなければ、黒ビール又はブラックビールと表示してはならない。
なお、黒ビールの色は黒とは限りません。濃いめの茶色でも「黒ビール」と呼ばれることがあるので覚えておくとよいでしょう。
黒ビールはなぜ黒い? 個性的な色の秘密
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黒ビールの黒い色はどのようにして生まれるのでしょうか。ヒントは原材料のひとつである麦芽にありました。
使用するホップや水の影響を受けることもありますが、ビールの色はおもに麦芽に由来します。黒ビールの場合は、原料の一部に用いる濃色麦芽がその色味に大きく影響しています。
麦芽は浸麦(しんばく)、発芽、焙燥(ばいそう)、除根(じょこん)などの工程を経て作られますが、濃色麦芽の場合は、ここに焙煎(ロースト)と呼ばれる工程が加わります。
濃色麦芽は、ピルスナーなどに使われる淡色麦芽よりも高い温度で焙燥・焙煎して作られ、ビールに風味や色合いを加えるために用いられます。
なお、濃色麦芽は焙煎温度や焙煎方法によっていくつかの種類に分けられ、使用する種類やその組み合わせによって黒ビールの色合いが変わってきます。
麦芽をはじめとするビールの原材料については、以下の記事も参考になります。
黒ビールの味わいは?
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黒ビールの魅力は、おもに香ばしい香りやコク、そして深みのある味わいにあります。といっても、前述したように濃色麦芽にはいくつかの種類があり、使用する種類や組み合わせによっても味わいは変わってきます。
おもな濃色麦芽の種類と特徴をまとめてみました。
◇クリスタル麦芽(クリスタルモルト)
120〜160度で焙煎した濃色麦芽。別名、カラメル麦芽(カラメルモルト)。ビールにほのかな甘味や苦味、香ばしさを与えます。焙煎温度によって色合いが変わるため、黒ビールのみならずさまざまなビールに使われます。
◇チョコレート麦芽(チョコレートモルト)
200〜220度で焙煎した濃色麦芽。ビターチョコレートやコーヒーのような香りのする麦芽で、ビールに濃茶色の色合いを添えます。
◇黒麦芽(ブラックモルト)
220度程度の高温で焙煎した濃色麦芽。ビールにスモーキーな香りと濃厚な味わい、真っ黒な色合いをもたらします。
当然のことですが、黒ビールの味わいは製法次第で変わってきます。ビアスタイルによっても特徴が異なるので、いろいろ飲み比べてみてください。
黒ビールの種類は? ビアスタイルごとの味の特徴を確認
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黒ビールの種類は大きく分けて「ポーター」「スタウト」「シュバルツ(シュヴァルツ)」の3種類。それぞれの特徴をみていきましょう。
※ドイツ発祥の「デュンケル」も加えて4種類とすることもありますが、黒よりもダークブラウンに近い色味で「ダークビール」に分類されるケースがあることから、本記事では割愛しました。
ポーター(Porter)
ポーターとは、1722年にロンドンで発祥した上面発酵ビール(エールビール)。茶色から濃い茶色、黒まで色合いはさまざまで、ローストした麦芽の香ばしさや、芳醇でコクのある味わいが特徴です。
18世紀前半のイギリスでは、ペールエールと造りたての若いブラウンエール、古くなった酸味のあるブラウンエールをブレンドした「スリースレッド」という飲み方が流行していて、これに目をつけたロンドンのパブオーナーだったラルフ・ハーウッド氏があらかじめ工場で3種を混ぜ合わせた「エンタイア」を考案。大ヒットを博しました。
といっても、この名前は定着せず、のちに当時の荷運び人(ポーター)たちが好んで飲んだことから、「ポーター」と呼ばれるようになったといわれていますが、名前の由来には諸説あり、どれが正解かはわかっていません。
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スタウト(Stout)
ポーターがアイルランドに渡って独自の進化を遂げたのがスタウト。ポーターと同じく上面発酵ビール(エールビール)で、ほのかなカラメル香とロースト麦芽の強い苦味、ひときわ黒い色味が特徴です。
スタウトが生まれたのは1778年のこと。ギネスの創始者アーサー・ギネス氏が、麦芽にかけられていた税金を節税するべく、麦芽化していない大麦を焙煎して原料の一部に使用したのが始まりです。このロースト麦芽独特のコーヒーのような苦味がスタウトの人気に火をつけました。
シュバルツ/シュヴァルツ(Schwarz)
ドイツ語で「黒」を意味するシュバルツは、文豪ゲーテが愛したことで知られる黒ビール。ドイツのバイエルン地方で発祥したとされる下面発酵のラガービールで、ロースト麦芽ならではのビターチョコやコーヒーを思わせる香ばしさや甘味、ほろ苦さが魅力です。
色は暗い茶色から黒。これぞ黒ビールといった色合いですが、意外にもシャープでスッキリとした味わいがたのしめます。
黒ビールにぴったりのおつまみは?
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最後に、黒ビールと相性抜群のおつまみを紹介します。
ジャーマンポテト
おつまみの定番といわれるジャーマンポテトは、コクが魅力の黒ビールとも相性抜群。ベーコンを使ったレシピが王道ですが、ベーコンの代わりに、やはりビールのお供に最適なソーセージを使うとより満足感が得られます。
ポーターやスタウトのようにコクのある黒ビールを合わせるときは、黒胡椒を多めに振るのがポイントです。
豚ときのこのコク旨炒め
黒ビールには、黒ビールの個性に負けないコクや旨味のある味つけがおすすめ。豚肉やきのこ類の炒め物も、コク深い味わいに仕上げると黒ビールの味を引き立てます。
ソーセージのひとくちチーズピザ
ちょっと小腹が空いたときに試したいのが、ひとくちサイズのチーズピザ。ケチャップにペッパーソースを加えて、黒胡椒をたっぷり使うとおいしさが際立ちます。
黒ビールと一口にいってもさまざまな種類があります。ここで紹介した以外にも、ブラックIPAというホップの苦味を効かせた黒ビールも人気を集めています。黒ビールの種類の違いによる微妙な味わいの違いをおつまみと一緒にたのしんでみてはいかがでしょう。