「スタウト」ってどんなビール? さまざまな「スタウト」の種類と銘柄も紹介

「スタウト」ってどんなビール? さまざまな「スタウト」の種類と銘柄も紹介
出典 : Bernardo Couto / Shutterstock.com

スタウトとは、黒くなるまでローストした大麦を原料の一部に使用し、上面発酵(エール酵母使用)で醸造したアイルランド発祥の黒ビールです。色は漆黒でグラスに注ぐと泡の色とのコントラストが特徴的で、味わいは焙煎した麦の香りやコク、程よい苦みで豊潤。代表的なブランドは「ギネス(GUINNESS®)」です。

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「スタウト」の魅力とは?

「スタウト」の魅力とは?

Kirill Z/ Shutterstock.com

「スタウト」はまるでコーヒーのような香りが漂うビアスタイル(ビールの種類)

「スタウト」は、アイルランド発祥の黒ビールです。黒くなるまでローストした大麦を原料の一部に用いているため、液体の色は漆黒。グラスに注ぐと、漆黒の液体と淡い色の泡のコントラストをたのしめるのが「スタウト」の特徴です。

「スタウト」は、焙煎した大麦(ローストバーレイ)に由来する、ナッツやチョコレート、コーヒーのような香ばしい香りも魅力。口に含むと、ほのかなカラメルの香りが感じられ、のど元を過ぎると、ローストバーレイのドライな苦味が強く残ります。

「スタウト」は、上面発酵(エール)のビールに分類されるため、日本でよく飲まれている下面発酵(ラガー)のビールに比べて、芳醇で濃厚な味わいをたのしめます。

「スタウト」は節税目的から生まれたビール!?

「スタウト」が誕生したのは、1778年のアイルランド。実業家のアーサー・ギネスが、首都ダブリン郊外に建てたビール工場で、新手法により生み出したのが始まりです。

当初は、黒ビールとして人気のあった「ポーター」という種類のビールを造ろうと研究していましたが、水などの違いから製品化が難しかったそう。また、原料の麦芽に税金がかかることもあり、節税のために「大麦を発芽させずに焙煎する」という手法を編み出したといわれています。

ローストバーレイで醸造した「スタウト」は、焙煎した麦の香りやコク、ドライな味わいで、ロンドンを中心に大ヒット。瓶の製造技術が発達した19世紀には輸出先が拡大し、世界的に愛飲されるビールとなったのです。

「スタウト」の意味

「stout(スタウト)」とは、「頑強な、丈夫な」という意味の英語です。「ポーター」を基に造られた「スタウト」は、誕生当時、「スタウト・ポーター」と呼ばれていました。「ポーター」よりもアルコール度数が高く濃厚な味わいに仕上げられていたため、「スタウト」という言葉が付け加えられたといわれています。しかし近年は、当時よりも控えめな味わいのものが多いようです。

「スタウト」にもいろいろな種類がある

「スタウト」にもいろいろな種類がある

Nejron Photo/ Shutterstock.com

さまざまな「スタウト」が世界で造られている

世界中に広まった「スタウト」は、それぞれの国で独自の発展を遂げました。近年ではクラフトビールの流行も相まって、さまざまな「スタウト」が造られています。その種類をいくつか紹介しましょう。

◇ドライ・スタウト
甘味は少なく、香ばしい苦味とドライな後味が特徴。主流のスタウトです。
◇インペリアル・スタウト
アルコール度数が7~12%と高めで、味わいや香りも強め。木樽で熟成されているものもあります。
◇ミルク・スタウト
乳糖を加え、甘くまろやかな味わいにしたスタウトです。
◇スイート・スタウト
ローストの苦味が抑えられたスタウトで、「クリーム・スタウト」とも呼ばれます。
◇オイスター・スタウト
牡蠣の身と殻を煮だしたエキスを使い、深みのある味わいに仕上げられているスタウトです。
◇オートミール・スタウト
原料の一部にオート麦を使用したスタウトで、なめらかな舌触りが特徴です。
◇フォーリンスタイル・スタウト
ドライ・スタウトよりアルコール度数と甘味を強くしたスタウトです。

日本の「スタウト」には下面発酵のビールもある

「スタウト」は、日本のビールメーカーからも販売されています。しかし、日本の「スタウト」のなかには他国と製法が異なるものがあります。一般的に各国の「スタウト」は、黒くなるまでローストした大麦を原料に上面発酵で造られますが、日本のメーカーが造る「スタウト」のなかには、上面発酵だけでなく下面発酵で醸造されているものもあるのです。

じつは日本では、ビールの表示に関する公正競争規約で「スタウト」の定義が定められていて、製法についてはとくに規定されていません。そのため、日本では下面発酵で造った黒ビールも「スタウト」と呼ばれているのです。

上面発酵のビールは芳醇な香りと濃厚な味わいで、下面発酵は軽くてスッキリとした飲み口が特徴です。同じ「スタウト」でも、醸造方法によって飲んだときの印象に大きな違いがあることを覚えておくとよいでしょう。

「スタウト」のおいしさが詰まった、おすすめの銘柄

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Alp Aksoy/ Shutterstock.com

まさに「スタウト」の原点「ギネス オリジナル エクストラスタウト」

18世紀のアイルランドでアーサー・ギネスが生み出し、「スタウト」の原点となった「ギネス」。「オリジナル エクストラスタウト」は、1821年に、アーサー・ギネス2世が長年保管されていた貴重なレシピを元に造り出した「ドライ・スタウト」です。開発当時の基本理念を守って生産されている「オリジナル エクストラスタウト」は、200年にわたり、世界中の人々に親しまれています。

際立った黒さを持つフルボディの液体に豊かな泡が乗る一杯は、まさに「スタウト」を象徴する姿。かすかに熟したフルーツ香とロースト香が漂い、甘味と苦味がバランスよく調和しています。口当たりはスムーズでキレがよく、後味はドライな点も魅力です。

販売元:キリンビール株式会社
公式サイトはこちら

宮崎産の栗を使った「ひでじビール 栗黒(くりくろ)」

生産元の宮崎ひでじビールは、1996年に、宮崎県延岡市の国定公園内行縢山(むかばきやま)で操業を開始した醸造所です。「ひでじビール 栗黒」は、「宮崎農援プロジェクト」の一環として、輸出を主眼に置いて開発された黒ビール。ビアスタイルは「インペリアル・スタウト」です。

「栗黒」は、黒くなるまで焙煎した大麦(ローストバーレイ)と、宮崎県産の栗ペーストを原料に用いられているのが特徴。コーヒーのような香ばしいフレーバーとともに、栗の上品な香りと重厚なコクをたのしめます。

アルコール度数は9%と高めで、数か月から数年の長期間にわたって瓶の中で熟成させることが可能。メーカーは5か月以上の熟成を推奨していて、熟成が進むと、さらに舌触りがよくなり、味わいも重厚でまろやかなものに変わっていきます。

ワールド・ビア・アワード2017において世界一を受賞している点にも注目のビールです。

製造元:宮崎ひでじビール株式会社
公式サイトはこちら

バニラ×チョコの風味がたのしめる「スイートバニラスタウト」

日本で小規模な事業者でもビール造りができるようになったのは、1994年4月の酒税法改正後のこと。それよりも前からアメリカでビールの醸造に取り組んできたサンクトガーレンは、日本のクラフトビールのパイオニア的存在です。

サンクトガーレンが造る「スイートバニラスタウト」は、アロマホップの代わりにバニラビーンズを使い、甘い香りをビールに溶け込ませているのが特徴。後味にはスタウトならではのチョコレートのような風味が残ります。

中世ヨーロッパでは、バニラと砂糖を加えた「飲むチョコレート」が親しまれていたように、両フレーバーの相性は抜群。チョコレート風味のスタウトにバニラを加えても、けんかすることなく、調和した味わいをたのしめます。

製造元:サンクトガーレン有限会社
公式サイトはこちら

「スタウト」というビアスタイルに馴染みのなかった人も、興味が湧いてきたのでは? 「スタウト」には、ドライな後味のものから甘い風味のものまでさまざまな種類があるので、ぜひ飲み比べて、好みの「スタウト」を見つけてみてくださいね。

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