岩手のビール【いわて蔵ビール】世嬉の一酒造が受け継ぐ南部杜氏の技と醸造士の技術が育むクラフトビール
「いわて蔵ビール」は、岩手県一関市の老舗清酒蔵・世嬉の一(せきのいち)酒造をはじめとする地元企業5社が立ち上げたビールブランドです。ここでは、いわて蔵ビールの味を支える世嬉の一酒造の酒造りや、醸造士のこだわり、クラフトビールの魅力を解説していきます。
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目次
「いわて蔵ビール」は、岩手県の老舗蔵元・世嬉の一酒造と醸造士の新たな知識から生まれたクラフトビールです。まずは造り手のこだわりを探ります。
「いわて蔵ビール」の技の源流は、創業100余年の清酒蔵・世嬉の一(せきのいち)酒造
世嬉の一酒造ホームページ
「いわて蔵ビール」は、岩手の老舗蔵元・世嬉の一酒造をはじめとする地元企業5社が1995年に立ち上げた協同組合。清酒造りの技とビールの醸造技術の融合により生まれたビールは、地ビールの本場ヨーロッパでも高い評価を得ています。
まずは、日本三大杜氏のひとつ「南部杜氏」の技を受け継ぐ世嬉の一酒造の酒造りからみていきましょう。
「いわて蔵ビール」の味わいを支える世嬉の一酒造とは?
世嬉の一酒造の歴史は、大正7年(1918年)にさかのぼります。創業当初は「横屋酒造」という名で、皇室や靖国神社などにも奉納する酒屋として、その品質には定評がありました。
皇族の閑院宮様が訪れた際、「世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを」という意味を込めて「世嬉の一」という名前を賜り、昭和32年(1957年)に現社名となりました。
100年以上もの長きにわたって酒造りと誠実に向き合い、「人に喜ばれる酒造り」を行ってきた世嬉の一酒造。新酒鑑評会で何度も金賞を受賞している「大吟醸 世嬉の一」をはじめ、「吟醸酒 金色堂」、「純米吟醸 吟ぎんが」など、愛される日本酒を造り続けています。
また、「酒の民俗文化博物館」や「いちのせき文学の蔵」も併設して地域に貢献。文化を広める役割も担っています。
伝統の技を活かしつつ、常に新しいことに挑戦するベンチャー企業体質を持ち合わせているのも世嬉の一酒造の特徴といえるでしょう。その名に込められた理念を忘れず、ビール造りも含めて、日々新たな挑戦を繰り広げています。
「いわて蔵ビール」の味わいを支える世嬉の一酒造の酒造り
日本酒を形成する大事な要素といえば水と米。世嬉の一酒造のお酒は、奥羽山脈から湧き出る地下水を生体エネルギー処理した水(軟水)と、厳選された酒米によって造られています。
恵まれた自然の水と選び抜かれた酒米から最高品質の日本酒をつくり出すのは、日本三大杜氏のひとつに数えられる酒造り集団「南部杜氏」伝承の技。山田錦、五百万石、豊錦、吟ぎんがといった4種の酒米と清涼な水、高い吟醸香を醸す酵母で造られる日本酒は、深い味わいが魅力です。
世嬉の一酒造株式会社
公式サイトはこちら
「いわて蔵ビール」は南部杜氏伝承の技と醸造士の技術が育むこだわりのビール
世嬉の一酒造ホームページ
「いわて蔵ビール」は、歴史と伝統のある世嬉の一酒造の酒造りの技と、醸造士の新たな知識と技術が生み出した、確かな品質のクラフトビールです。
「いわて蔵ビール」のこだわり
「いわて蔵ビール」のこだわりの3本柱は、「安全・健康・地産地消」。ビールの主原料であるモルトやホップは輸入品にたよるブルワリーが多いなか、「いわて蔵ビール」では、ビール用の麦の栽培、麦芽の加工をできるかぎり地元の契約農家や農協で行っています。地元産で足りない分は、遺伝子組み換え作物を厳しく制限する産地から取り寄せるというこだわりぶり。
ビールの大半を占める水は、世嬉の一酒造と同じく、生体エネルギー理論にもとづいて処理された活性水を使用しています。味だけでなく健康という観点からも、仕込みに使う水にはとことんこだわっています。
「いわて蔵ビール」の製法
大手ビールメーカーのビールとは異なり、室温で活発に発酵させることで、ビタミンなどの微量栄養素と豊かな風味を持つビールを醸造。その魅力を損なわないよう、ろ過や殺菌を行わずに瓶詰めしています。
ただし、ピルスナータイプのビールは、瓶詰めや樽詰めをする際にろ過を行い、味の変化の原因となる成分をすべて取り除いているのだとか。
新鮮なビールを味わってもらいたいと、通販も世嬉の一酒造から直送です。
「いわて蔵ビール」のラインナップ
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「いわて蔵ビール」の定番ラインナップを紹介します。
ヴァイツェン
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「白ビール」と呼ばれるドイツの定番のビール。ヴァイツェンはドイツ語で「小麦」を意味し、原料に小麦麦芽を加えることで、軽い飲み口になっています。クローブやバナナのようなフルーティーな香りが特徴の飲みやすいビールです。
1997年モンドセレクション金賞、1999年にジャパンビアグランプリ銅賞受賞。
三陸牡蠣のスタウト(スタイル:オイスタースタウト)
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イギリスで19世紀末に醸造されていたビールを、いわて蔵ビールが復活させた人気の逸品。「オイスタースタウト」は、一般に黒ビールと呼ばれる「スタウト」とオイスター(牡蠣)のフードペアリングが好まれていたことから、スタウトと牡蠣エキスをミックスされたビアスタイルが生まれたといわれていますが、「いわて蔵ビール」は岩手のメーカーらしく、特産品の牡蠣の身と殻を使って醸造。濃厚かつ豊穣な黒ビールに仕上げています。
2006年ジャパンアジアビアカップ金賞、2008年ワールドビアカップ銀賞受賞。
ジャパニーズスパイスエール山椒
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地域性を強く意識した「いわて蔵ビール」らしく、一関産の山椒の実を使用して醸造したのが、「ジャパニーズハーブエール山椒」です。ホップの代わりに、一部に山椒の実を用いることで、スパイシーかつ柑橘系のさわやかなビールになっています。
2013年・2014年ワールドビアアワードアジア部門金賞受賞。
金色堂ゴールデンエール
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世界文化遺産にも登録された平泉中尊寺。そのお祝いとして生まれたのが、今から約900年前に藤原清衡が建立した仏堂で、平泉の文化財の中でもとくに貴重な国宝建造物・中尊寺金色堂の名を冠した「ゴールデンエール金色堂」です。ヨーロピアンホップが醸し出すグレープのようなフローラルアロマとスッキリした味わいがたのしめる1本です。
2014年インターナショナルビアコンペティション金賞受賞。
レッドエール
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焙煎モルトを使用した、琥珀色のビール。名前のとおり赤みがかった色が特徴です。バランスの取れた味わいでさまざまな料理と引き立て合う、人気のビールです。
2007年インターナショナルビアコンペティション銀賞、2014年インターナショナルビアカップ銀賞受賞。
東北復興支援ビール 福香(ふくこう)
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三陸漁業の復興に役立てるべく、北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所と共同で開発した復興支援ビール。岩手県にある、樹齢360年の天然記念物「石割桜(いしわりざくら)」から採取した酵母を採取して醸造しています。柑橘系のさわやかな風味が特徴です。
保管していた研究所が震災で流され、貴重な酵母を失う危機に見舞われましたが、瓦礫の中から救い出し、無事復活。やさしく力強いビールとして復活しました。
フードアクションニッポンアワード2011「食べて応援しよう賞」受賞。
オーガニック(自然発酵)ビール
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オーガニック麦芽とオーガニックホップを使用し、干し柿から採取した酵母を用いて醸造した天然発酵ビール。麦芽、ホップもオーガニック認定品を使っています。フルーティーな香りと酸味が心地よい飲みやすいビールです。
「いわて蔵ビール」とコラボで造るオリジナルビールにも注目
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いわて蔵ビールでは、消費者が考えたビールを形にする「オリジナルビール」サービスを提供しています。「うちの地域の特産品を使ってビールを造ってほしい」「結婚式の思い出になるよう、○○の香りのビールを」といった要望から、素材指定でのリクエストにも可能な限り応えてくれるそう。
気になる費用は、基本は100リットル、200リットルの場合 1本500円ほど。1,000リットル以上になる場合は、1本350円/330ミリリットルくらいと、オーダー内容によっても変わってきます。納品はボトルで、飲食店などの場合はビール樽での納品も可能です。
リンゴやグレープフルーツ、マンゴーなどの果物や、米、ハトムギ、麦などの穀物、コーヒー豆や抹茶、ほうじ茶などのお茶類、バラや桜、ゆりなどの花、牡蠣や昆布、ホタテなどの海産物など、さまざまな素材が使えるので、「こんなビールを飲んでみたい」という願望がある人は、形にしてみてはいかがでしょう。
「いわて蔵ビール」は、南部杜氏伝承の酒造りの技術と醸造家の技と知識が生んだこだわりのビール。岩手が誇る自然の恵みと懐の深さを、その味のバリエーションで存分に味わってみてください。
製造元:いわて蔵ビール
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