岩手のビール【さくらブルワリー】英国出身ブルワーが地元の素材で造る英国スタイルのビールが人気
「さくらブルワリー」は岩手県北上市にあるクラフトビール醸造所。有名ホテルでシェフをしていた英国生まれの醸造士による、本場英国スタイルのビールが人気を集めています。ここでは、「さくらブルワリー」の特徴やこだわり、個性派ビールについて紹介します。
- 更新日:
「さくらブルワリー」は、岩手県の南西部にある北上市に2015年にオープンしたマイクロブルワリー。英国生まれでシェフの経歴を持つ醸造家のスティーブンさんが、なぜ、ブルワリーを始めたのか。その歴史に迫ります。
「さくらブルワリー」は、5つ星ホテルの元シェフが設立したクラフトビール醸造所
さくらブルワリーホームページ
岩手県の「さくらブルワリー」は、英国スタイルのビールを醸造しているブルワリー。イギリス出身のオーナー兼ヘッドブルワー、スティーブン氏とはどんな人なのでしょうか。
「さくらブルワリー」の英国人ブルワー、スティーブン氏の素顔
「さくらブルワリー」のオーナー、スティーブン・マイケル・バットランドさんがブルワリーを立ち上げたのは、2015年のこと。それまでずっとビール造りに関わっていたわけではなく、経歴を紐解くと、かなりユニークな経歴の持ち主だということがわかります。
スティーブンさんは22歳のときに、空手を極めるために日本にやってきました。まずは京都に3年間住んだあと、岩手県の北上市に移住します。その理由は、北国の豊かな自然、美しい山や川、景観に魅せられたから。心機一転、新しい生活が始まりました。
来日する前は、バージン諸島の5つ星ホテルでシェフをしていたというスティーブンさん。京都では空手の講師、北上市に越してからは英会話教室の先生にアクセサリーショップのオーナーと、さまざまな職業を経験。その後、もともとビール造りに興味があったことから、日本でもクラフトビールのおいしさを伝えたいと、2015年にビール醸造所「さくらブルワリー」を立ち上げました。
「さくらブルワリー」という名前は、「みちのく三大桜名所」として有名な北上市の展勝地の桜が由来。
じつは、この展勝地の桜の礎を築いた沢藤幸次氏は、スティーブンさんの妻の祖父だそう。彼への敬意と愛情が込められた名前なのです。
おいしいクラフトビールを造りながら、2020年には母国イギリスで研修を受け、スピリッツの製造免許も取得。現在は、ビールのみならず、クラフトジンの造り手としても注目を集めています。
「さくらブルワリー」が貫くビール造りのこだわり
さくらブルワリーFacebookページ
「さくらブルワリー」の英国人ブルワーのこだわりは、地域に根ざしたビール造り。第2の故郷である岩手県の観光資源や地場産業を取り入れた個性派ビールの製造に取り組んでいます。
地産地消にこだわるブルワーは数多く存在しますが、英国人ブルワーの視点は独特です。岩手県産ホップ「リトルスター」や陸前高田市の「北限のゆず」といった名産品を使用するのはもちろんのこと、名物や文化からもヒントを得てビール造りに役立ているといいます。
なかでも思い入れが強いのが、ブルワリーの名前の由来でもある「さくら」です。なんとか桜を使ったビールができないかと考えていたスティーブンさんは、調べていくうちに桜の酵母を使った醸造所があることにたどり着きます。
「すでに実績があるのなら、自分にもできるはず」。そう確信したときに出会ったのが、北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所が北上展勝地の桜の花びらから採取した「北上展勝地桜酵母」でした。
北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所では、地域産業の活性化に役立てるべく、県内のいくつもの名木や名花の酵母を採集していましたが、東日本大震災により多くの酵母が流されてしまったといいます。
奇跡的に生き残った酵母のひとつに、「北上展勝地桜酵母」が含まれていたことから、スティーブンさんのビールへの想いと結びついたのでした。
なお、「さくらブルワリー」では、「北上展勝地桜酵母」を使ったビールの売り上げの一部を岩手県の「いわての学び希望基金」に寄附。地元の復興に貢献しています。
「さくらブルワリー」の個性派ビールを飲み比べ
さくらブルワリーホームページ
「さくらブルワリー」のおもなラインナップを紹介します。
苦味を表す「IBU」や色合いを示す「EBC」にも注目
「さくらブルワリー」では、「IBU」と「EBC」という単位で苦味の度合いや色の濃さ(色度数)を表しています。以下を参考に、お気に入りを探してみてください。
◇IBU:「国際苦味単位(International Bitterness Units)」の略で、ビールの苦味の度合い表す単位。ホップの使用量や煮込み時間、また種類などによって増減し、数値が大きいほど苦味が強くなります。
◇EBC:ビール醸造技術に関するヨーロッパの権威ある学会(European Brewery Convention)にちなんだ単位で、ビールの色合いを数値化したもの。数値が高いほど色が濃くなります。
展勝地さくらエール-Tenshochi Sakura Ale-
さくらブルワリーホームページ
北里大学海洋バイオテクノロジー釜石研究所が採取した、「展勝地」の桜酵母を培養して造られた、「さくらブルワリー」の看板商品。桜をイメージさせる華やかな香りとフルーティーな味わいで親しまれています。
アルコール分:5%
IBU:21
EBC:32
Free-Style Dark Ale
PILSNER -ピルスナー-
さくらブルワリーホームページ
ドイツ産麦芽にこだわった、マイルドな味わいの澄んだビール。キレのいい苦味がたのしめます。
アルコール分:5%
IBU:30.8
EBC:8.7
International Pilsner
Mayflower IPA -メイフラワーIPA-
さくらブルワリーホームページ
岩手県産のホップ「リトルスター」を使用したスペシャルなIPA。グレープフルーツを思わせるさわやかな苦味が人気の逸品です。
アルコール分:6%
IBU:30
EBC:20
Hazy India Pale Ale
チェリーブロッサムエール【ホワイト】
さくらブルワリーホームページ
展勝地の桜から採取した酵母を使用したライトエール。ふんわりと華やかなやさしい香りと、ホップ由来の柑橘系の風味がたのしめます。
アルコール分:4.5%
IBU:25.4
EBC:7.5
Free-Style Light Ale
Lady ㏌ Red #2 -レディ・イン・レッド#2-
さくらブルワリーホームページ
以前醸造して好評だったレッドエールに、さらに改良を加えてリリースした第2弾。カラメルのようなやさしい甘味が特徴です。
※季節・期間限定商品
アルコール分:5%
IBU:21
EBC:32
English-Style Red Ale
スウィートビターポーター -Sweet Bitter Porter-
さくらブルワリーホームページ
はじめにモルトの苦味を感じ、さらにココアやカラメルの香り、モルトの甘味への変化がたのしめる、炭酸控えめの黒ビール。約10℃が飲みごろです。
※季節・期間限定商品
アルコール分:5%
IBU:40
EBC:61
Robust Porter
ヘイジーIPA -Hazy IPA-
さくらブルワリーホームページ
苦味を抑えたIPA。軽く白濁した見た目がユニークです。パパイヤ&シトラスなホップのアロマで、フルーティーかつ豊満な口当たりをたのしめます。
※季節・期間限定商品
アルコール分:6%
IBU:30
EBC:20
Hazy India Pale Ale
ロンドンペールエール -London Pale Ale-
さくらブルワリーホームページ
ブルワリー創業当時の人気レシピを改良して復刻した英国スタイルのペールエール。アーシー&ハーバルなホップのアロマと使用モルトの掛け合わせで、バランスの良い甘味を引き出しています。
※季節・期間限定商品
アルコール分:5.3%
IBU:31.7
EBC:8.7
Classic English-Style Pale Ale
ホップライジングIPA -HOP RISING IPA-
さくらブルワリーホームページ
フルーティー&シトラス系のホップを4種類使用し、苦味を控えめに仕上げたIPA。さわやかな飲み口をたのしんで。
※季節・期間限定商品
アルコール分:5.2%
IBU:30
EBC:20
Emerging India Pale Ale
エクストラスペシャルビター -ESB-
さくらブルワリーホームページ
チョコレートモルトの甘いアロマと、すっきりとしたビターな後味が特徴。炭酸がそれほど強くなく、飲みやすい英国伝統のエールビールです。
※季節・期間限定商品
アルコール分:5.4%
IBU:40
EBC:36.1
English-Style Extra Special Bitter
「さくらブルワリー」のビールは、公式オンラインショップほか、2022年6月にリニューアルオープンした直営店「さくらブルワリー 盛岡」でも購入することができます。
「さくらブルワリー」は、運命に導かれた英国人ブルワーと桜の名所が育んだマイクロブルワリー。機会があったらぜひ、イギリスのビール文化と岩手県の魅力が結びついた個性派ビールの数々を飲み比べてみてください。
製造元:さくらブルワリー
公式サイトはこちら
公式Facebookページはこちら
直営店「さくらブルワリー 盛岡」
公式サイトはこちら