ペールエールとはどんなビール? 発祥国などの基本情報から、国ごとに異なる香りや味わいの特徴まで紹介

ペールエールとはどんなビール? 発祥国などの基本情報から、国ごとに異なる香りや味わいの特徴まで紹介
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ペールエールは、ホップの香りやモルトのコクが豊かなイギリス発祥のビール。それまでのビールと比べて色が淡いことから、この名で呼ばれるようになりました。今回はペールエールの特徴やピルスナーとの違い、イギリス産とアメリカ産それぞれの魅力、おいしい飲み方などについて紹介します。

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ペールエールは、クラフトビールファンの間で人気の高いビアスタイルのひとつ。まずは基本情報からみていきましょう。

ペールエール(Pale Ale)とは?

ペールエールはイギリス発祥のビール

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ペールエールの歴史や製法上の特徴、香りや味わいについて紹介します。

ペールエール(Pale Ale)はイギリス発祥のビール

ペールエールは、18世紀にイングランド中部にあるバートン・オン・トレント(バートン・アポン・トレント)という街で生まれました。当時、よく飲まれていたビールが褐色だったのに対し、それより色が淡いことからペールエールと呼ばれるようになりました。

日本でよく飲まれているピルスナーと比べると特別に淡い印象はありませんが、ペールエール誕生前のイギリスでは濃い色のビールが主流だったため、この名前がついたのです。

ペールエールは上面発酵ビール

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ペールエールの「エール」とは上面発酵で造られるビールのこと

ビールの醸造に使われる酵母にはさまざまな種類がありますが、野生酵母を使用するビールを除いて、多くのビールはビール酵母と呼ばれるビール醸造に適した酵母で造られます。

ビール酵母は働き方の違いによって「上面発酵酵母」と「下面発酵酵母」の2つに分けられます。上面発酵酵母はやや高めの温度(15~25度)で発酵し、発酵中に酵母が浮上して液面に層を作ります。
一方、下面発酵酵母は10度前後の低温で発酵し、発酵後期にタンクの底に沈殿します。

それぞれの名称は酵母の働き方に由来し、上面発酵酵母を使った醸造法を「上面発酵」、下面発酵酵母を使った醸造法を「下面発酵」と呼んでいます。

なお、上面発酵で造られるビールは「エール(エールビール)」、下面発酵によるビールは「ラガー(ラガービール)」と呼ばれ、上面発酵酵母で発酵されるペールエールはエールに分類されます。

エールとラガーの違いについては、以下の記事も参考にしてください。

ペールエールは苦味が強い? 香りや味わいの特徴は?

ペールエールの特徴といえば、モルトのコクやフルーティーな味わいが挙げられますが、特筆すべきはホップの香り。イギリスでは、1697年にビール麦芽への課税が始まったため、ビール醸造に携わる人たちは麦芽を減らし、ホップを増やしてビールを造ることにしました。そこで生まれたのがペールエールです。ペールエールの醸造には比較的多めのホップが使われるため、ホップの香りが活きたビールに仕上がります。

なお、ホップといえば苦味を連想する人が多いと思いますが、使われるホップの種類もさまざまなため、苦味が強いものからマイルドなものまで多彩に存在します。

ペールエールとピルスナーの違いとは?

ペールエールとピルスナーの違い

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ピルスナーは、19世紀にチェコのピルゼンで生まれたビアスタイル。日本国内で飲まれているビールの大半はピルスナーで、日本はもちろん、世界中で愛されています。

ペールエールとピルスナーの大きな違いは、ビール酵母の違いです。ペールエールは浮遊性酵母を使用した上面発酵(エール)ビールなのに対して、ピルスナーは凝集性の酵母を使った下面発酵(ラガー)ビール。この発酵方法の違いから、香り豊かで味わい深いペールエールに対して、ピルスナーはスッキリとさわやかなのどごしに仕上がる傾向があります。

ペールエール人気の双璧をなすイギリス産とアメリカ産の違い

さまざまなペールエール

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イギリスで生まれたペールエールは、海を渡って多彩な進化を遂げてきました。なかでも本家イギリスのペールエールと双璧をなすのが、アメリカ産のペールエールです。その違いをみていきましょう。

イギリス発祥の「イングリッシュ・ペールエール」は芳醇な香りが魅力

すべてのペールエールのベースとなった本家ペールエールで、「イングリッシュ・ペールエール」「バートン・ペールエール」などと呼ばれています。原料に使われた酵母由来のフルーティーな香りとホップ由来の豊かな苦味、すっきりとドライな味わいが特徴です。

アメリカ産の「アメリカン・ペールエール」は柑橘系の香りとさわやかな飲み口が人気

ペールエールのなかでも、近年にとくに人気を集めているビアスタイルのひとつが、「アメリカン・ペールエール(アメリカンスタイル・ペールエール)」です。

イギリスからアメリカに伝わり、より香りの強いビールに進化しましたが、その秘密は、フルーティーかつフローラルな柑橘系の香りを特徴に持つアメリカ産ホップにあります。
モルトの風味はやや控えめですが、ほどよい苦味があり、さわやかな口当たりをたのしめます。

ペールエールから派生したIPAも人気

ペールエールから派生したIPAも人気

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ペールエールから派生したビアスタイルには、「アメリカンペールエール」のほかにも、「ベルジャンペールエール」など、さまざまな種類があります。近年人気の「インディア・ペールエール」(以下、IPA)もそのひとつ。

IPAは、ペールエールと同じくイギリス発祥のビアスタイル。大量のホップがもたらす鮮烈な香りと苦味、やや高めのアルコール度数が特徴です。

「インディア・ペールエール」という名称や強烈な個性は、その歴史に由来します。

大航海時代、当時イギリスの植民地だったインドにおいしいビールを届けようと開発されたのが、防腐作用があるといわれるホップを大量に使ったビールの製法。さらに通常のビールよりもアルコール度数を高めたことで、輸送先のインドでもおいしく飲めるようになりました。

このことから「インディア・ペールエール」と呼ばれるようになったIPAは、強い苦味と高いアルコール度数という個性を携え世界へ広がり、さらなる進化を遂げていきます。

現在では、イギリス発祥の元祖で若草のような香りが特徴の「イングリッシュIPA」を筆頭に、柑橘系の香りとさらなる苦味で人気の「アメリカンIPA(アメリカンスタイルIPA)」、そこから派生した「ダブルIPA」など、多彩なIPAが造られるようになりました。

IPAについてもっと知りたい人は、関連記事も参考にしてください。

クラフトビール初心者必見! ペールエールのおいしい飲み方

ペールエールのおいしい飲み方

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ペールエールのおいしさを十二分に堪能するためのポイントや相性のいい料理を紹介します。

温度に注意! ペールエール独特の香りをたのしむために

「ビールはキンキンに冷やして飲むもの」「冷えた分だけおいしくなる」と思っている人もいるかもしれませんが、ビールは種類によって適温が異なります。

スッキリとした飲み口のラガービールは適度に冷やして飲むことが推奨されますが、ペールエールを含むエールビールは、冷やしすぎるとその持ち味である香りや味わいが感じられなくなってしまいます。

エールビールの適温とされるのは、8〜13度程度。ホップの苦味と香りを堪能するためにも、冷やしすぎには注意が必要です。

ペールエールはごくごくとのどごしを堪能するより、ゆっくりと香りと苦味を味わいながら飲みたいもの。香りをより感じるためには、パイントグラスのように、飲み口が広くなっているグラスがおすすめです。

ペールエールと料理のペアリング

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ペールエールと料理のおすすめペアリングは?

ペールエールと引き立て合う料理を紹介します。

お手軽油淋鶏

苦味が強めのペールエールは、濃い味つけの料理と相性抜群。揚げ物+濃いめのタレといった、強めの一皿は最高のパートナーになります。

十和田バラ焼き

ニンニクやショウガなどの香味が効いた肉料理も、ペールエールの個性を引き立てます。黒胡椒でスパイシーさを増すと、よりビールが進むでしょう。

エビときのこのアヒージョ

ニンニクの効いたアヒージョは万能のおつまみ。苦味のあるペールエールに素材の旨味たっぷりのアヒージョを合わせると、双方の味に深みが増します。

日本では長年ラガービールが主流でしたが、クラフトビールの人気とともに、エールビールにも注目が集まってきました。現在は多彩なペールエールが流通しているので、機会があったら飲み比べをたのしんでみてください。

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