フランスはビールもおいしい!ワイン大国フランスのビール事情とおすすめ銘柄をチェック
フランスはワイン大国といわれていますが、アペリティフ(アペロ)にビールをたのしむ習慣があります。今回は海外ビール事情のなかでもフランスに着目し、フランスでのビールの動向やフランス産のおすすめビール銘柄、フランス生まれのビールカクテルなどを紹介します。
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フランス人はおいしいワインやブランデーを飲んでいる印象があるかもしれませんが、ビールも人気です。ビール事情をみていきましょう。
フランスのビール事情
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フランスは世界に名だたるワイン王国。食事のお供にはワインを飲むのが一般的ですが、あるシーンではビールもよく飲まれています。
フランスでは食前酒として人気
フランスは、生産量でイタリアと首位を競り合っていますが、ボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュなど世界に冠たる銘醸地を抱くワイン王国。ワインの消費量でもつねに世界ランキング上位に君臨しています。しかしそんなフランスでも、ワインばかりが飲まれているわけではありません。じつはディナーの前に軽食とともにたのしむアペリティフとして、ビールを飲む習慣が定着しています。
アペリティフとは、食欲増進のために食前に飲むお酒のこと。「アペロ」とも呼ばれ、フランス人の生活に根づいています。ディナータイムが20〜21時と少し遅めのフランスでは、終業から夕食までの数時間を、アペリティフをたのしむくつろぎのひと時にあてています。
アペリティフに飲むお酒にこれといった決まりありませんが、カフェやバーなどのカジュアルなシーンではビールが定着しており、クラフトビールも人気です。
なお、スパークリングワインやワインをベースにしたカクテルも、アペリティフとして根強い人気があります。アペリティフについては以下の記事でくわしく紹介しているので、合わせて読んでみてください。
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若者を中心にビールのシェアが拡大
フランスは世界有数のワイン消費国でもありますが、近年、その消費量が減少傾向にあるといいます。背景として食習慣の変化などが挙げられていますが、若者のワイン離れも深刻な課題です。
若者の間でワインの消費量が減った分、シェアが拡大しているのがビールです。35歳以下の層に関しては、2014〜2021年にスティルワイン(赤・白・ロゼ)の消費量が約8パーセント減少。その分ビールの消費量が15パーセントほど増加したというデータもあります。
ちなみに、キリンホールディングスが発表した「世界主要国のビール消費量」によると、2022年度のフランスのビール総消費量は220.5万キロリットルで世界ランキング17位。429.4万キロリットルで10位にランクインした日本に比べると少なめです。生産量でも216万キロリットルで世界17位(2023年度)と、世界7位(生産量453.17キロリットル)の日本の半分以下にとどまっています。
ところが、フランスにある小規模のビール醸造所の数は1,200カ所以上と日本の約1.5倍。このような数字からも、フランスにおけるクラフトビール人気の高さがうかがえます。
(参考)
Wine News|Young people are abandoning wine, while beer is gaining ground in Italy and France(英語)
キリンホールディングス|2022年 世界主要国のビール消費量
ディ・アイ・エンジニアリング|世界のビール生産国トップ20(2023年)
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フランスにおけるビールの歴史
フランスでビールが飲まれるようになったのは、じつは最近のことではありません。
中世ヨーロッパにビールを広め、その地位を向上させたのはフランク王国の王・カール大帝(742-814/フランス語ではシャルルマーニュ大帝)だといわれていますが、このカール大帝こそが、現在のドイツ・フランス・イタリアにまたがるエリアを統治し、フランスに醸造所設置を促した人物です。
カール大帝は自身が征服した土地の人々をキリスト教に改宗させ、次々と教会や修道院を建てていっただけでなく、「荘園令」という指針のもとに各地の荘園にビール醸造所の設置を命じました。
カール大帝はビール醸造に力を注いだだけでなくワイン醸造も奨励していたため、ブドウの産地ではワイン文化が発展しましたが、フランス各地に根づいたビール文化は脈々と受け継がれてきました。
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フランス語でビールは「bière(ビエーレ)」
フランス語でビールは「bière」と表記し、「ビエーレ」と読みます。女性名詞です。
「boire de la bière(ビールを飲む)」「acheter de la bière(ビールを買う)」「Une bière, s'il vous plaît.(ビールをください)」のように使われます。カフェやバーなどでビールを注文するときは以下の表現でも伝わります。
◇pression(プレッション):生ビール
◇un demi(アン・ドゥミ):小ジョッキ程度の生ビール
フランスでビールを注文すると、大きなジョッキで提供される場合があるので、「un demi」はとくに役に立ちそうです。
フランス産ビールの有名&おすすめ銘柄
フランス産のビールは多種多様で、ドイツに近い地域とベルギーに近い地域では味わいの傾向が異なります。ここでは、日本でも手に入れやすい有名銘柄とおすすめの銘柄を紹介します。
クローネンブルグ 1664|フランスの定番ラガービール
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フランス北東部に位置するアルザスで1664年からビール醸造を行うブラッセリーズ・クローネンブルグ(Brasseries Kronenbourg)社の看板銘柄。ブラッセリーズ・クローネンブルグ社はフランス国内で40パーセント以上のシェアを誇るビールメーカーですが、現在はデンマークのカールスバーグ社の子会社になっています。
日本では「1664」として知られる定番の「1664 ブロンド(BLONDE)」はホップが効いたピルスナータイプのビール。さわやかな味わいが魅力です。「1664 ブラン(BLANC)」は日本でもっとも知られる白ビールテイストのフランスビール。柑橘系の風味と苦味が少なめの飲みやすさが特長です。
ほかにも「FRUITS ROUGES」や「ROSÉ」「GOLD」など多彩なラインナップを展開しているので、機会があったらぜひ味わってみてください。
製造元:Brasseries Kronenbourg
公式サイトはこちら(フランス語)
グダール ブロンド|フルーティーさと苦味が特徴のビエール ド ギャルド
出典:欧州麦酒屋サイト
ビエール ド ギャルド(Biere de Garde)とは、貯蔵ビールのこと。冬場に醸造して夏まで低温貯蔵するフランス北部の伝統的なスタイルで、酵母の香りと落ち着いた熟成香、ほどよい苦味が特徴です。
古くは自家醸造ビールとして親しまれ、洗練されてきたビエール ド ギャルドは造り手によって多様な個性を持ちます。フランスで人気の独立系ブランドが手がける「グダール ブロンド」は、フルーティーな香りと麦の素朴な甘味、フランダース産の3種のホップの苦味が魅力です。
商品詳細&通販サイトはこちら
ジェード・オーガニック アンバー|ビオ農法を活かしたアンバーエール
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「ジェード・オーガニックビール」は、フランスで初めてビオビールとして造られた自然派ビール。ビオ農法で栽培された原材料を使い、ビオ農法の理念をもとに醸造しされています。
「ジェード・オーガニック アンバー」は、ビオ農法の大麦麦芽とロースト麦芽を使ったアンバーエール。「カンパーニュ」を思わせる素朴でリッチな香りとホップのフルーティーさが印象的な1本です。
輸入販売元:日本ビール株式会社
商品詳細はこちら
フランス生まれのビールカクテル
HanzoPhoto / PIXTA(ピクスタ)
ビールをベースにしたビールカクテル(ビアカクテル)もアペリティフに最適です。フランスでよく飲まれている2つのビールカクテルを紹介します。
◆パナシェ
「パナシェ」はフランス生まれのビールカクテル。もともとはビールとレモネードを1:1で合わせたカクテルを指していましたが、現在はビールを透明な炭酸飲料を同量ずつ混ぜ合わせたものも「パナシェ」と呼んでいます。
なお、炭酸飲料にジンジャーエールを使うと「シャンディガフ」というカクテルになります。
◆モナコ
こちらもフランスの定番カクテル。モナコ公国の国旗のような色に仕上がることから、このカクテル名がつけられたといわれています。
作り方は、グラスにレモネードと少量のグレナデンシロップを入れ、ビールを注いで混ぜるだけといたってシンプル。レモネードとビールの割合は1:2程度がおすすめですが、好みに合わせて調整が可能です。レモネードの代わりに炭酸飲料を使用してもかまいません。
フランス産のビールを日本の実店舗で見かける機会は少ないかもしれませんが、通販サイトなどでは流通しているので、機会があったらぜひ味わって、その魅力を堪能してください。