「デュンケル」はミュンヘン生まれのビアスタイル! 色や味わい、おすすめ銘柄をチェック
「デュンケル(Dunkel)」とはミュンヘン発祥の濃色ラガービール。焙煎麦芽由来のカラメル風味が特徴です。今回は、デュンケルの特徴や味わいといった基本情報から、ほかのビアスタイルとの違い、おすすめ銘柄、おいしい飲み方まで紹介します。
- 更新日:
デュンケルはミュンヘン発祥の濃色ラガービールで、焙煎麦芽由来のカラメル風味が特徴。詳しい種類やおすすめ銘柄、おいしい飲み方も紹介します。
デュンケル(ドゥンケル/ドュンケル/Dunkel)とは?
Alter-ego / PIXTA(ピクスタ)
「デュンケル」とはどんなビールなのでしょうか。まずは基本情報からみていきましょう。
ミュンヘン発祥の濃色ラガービール
「デュンケル」とは、ドイツ南東部にあるバイエルン州の州都ミュンヘンで発祥したラガービール(下面発酵ビール)。一般的には、バイエルン地方のダークビール(濃色ビール)を指し、ミュンヘンで造られる伝統的なデュンケルは「ミュンヘナーデュンケル」と呼ばれています。
ロースト麦芽(焙煎麦芽)由来の濃色が特徴で、色合いはライトブラウンからダークブラウンまでさまざまです。
なお、「デュンケルヴァイツェン」というビアスタイルもありますが、こちらは「デュンケル」のように濃色を持つ「ヴァイツェン」で、エールビール(上面発酵ビール)に分類されます。
「デュンケル」は「暗い」を意味するドイツ語
「デュンケル(Dunkel)」は、ドイツ語で「暗い」を表す言葉。英語の「dark」と同じ意味を持ち、「(色が)濃い」「闇の」などと訳されることもあります。
日本におけるカタカナ表記は統一されておらず、「デュンケル」のほかに「ドゥンケル」「ドュンケル」「ダンケル」などと訳される場合があります。
「デュンケル」はビアスタイルの名前が表すとおり濃色のビールですが、黒ビールに分類されることもあります。黒ビールというと、「スタウト」や「ポーター」を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、こちらは上面発酵で造られるエールビールです。
デュンケルの特徴は?味わいは?
Master1305 / Shutterstock.com
「デュンケル」の特徴はなんといってもロースト(焙煎)した濃色麦芽に由来する色合いと風味にあります。
独特の色合いは焙煎した麦芽由来
「デュンケル」独特の濃色は、ロースト(焙煎)した麦芽由来の色です。
ビールの色合いは、おもに麦芽の色に由来します。
通常のビールは、麦芽以外にホップや水などの影響も受けますが、濃色ビールに関しては、使用する麦芽の影響を大きく受けます。
通常のビールではおもに淡色麦芽が使われるのに対して、濃色ビールでは、淡色麦芽をローストした濃色麦芽(ダークモルト)を一部使用します。濃色麦芽には「カラメル麦芽(クリスタル麦芽)」「チョコレート麦芽」「黒麦芽」など、焙燥・焙煎の温度帯(ロースト具合)の異なるさまざまな種類があり、使用する種類や配合によって色合いや風味が変わってきます。
IYO / PIXTA(ピクスタ)
デュンケルの魅力はカラメルのような味わい
「デュンケル」の特長はなんといっても、ロースト麦芽ならではの香ばしい風味にあり。カラメルのような風味と表現されることが多く、なかにはチョコレートやトーストビスケットなどを想わせる商品もあります。
麦芽の甘味やコク、主張しすぎずほどよいホップの苦味、下面発酵らしいスッキリとした味わいのバランスも絶妙で、飲みやすさも魅力です。
デュンケルとほかのビアスタイルとの違い
monticello / Shutterstock.com
「デュンケル」とほかのビアスタイルの違いを詳しくみていきます。
デュンケルとピルスナーの違いは?
「ピルスナー」は日本でもっとも飲まれているビアスタイル。大手ビールメーカーが手がける商品の大半は「ピルスナー」です。
「デュンケル」も「ピルスナー」も下面発酵で造られるラガービールの一種ですが、発祥地や色、味わいなどが異なります。
◇発祥地
「デュンケル」はドイツのミュンヘン、「ピルスナー」はチェコのボヘミア地方ピルゼン(プルゼニ)で発祥したビール。
◇色
「デュンケル」の濃色に対して、「ピルスナー」は淡色。淡い黄金色と表現されることもあります。
◇味わい
「ピルスナー」はホップの香りとほのかな苦味が特長ですが、生産地によって味わいが若干異なります。
boule / PIXTA(ピクスタ)
デュンケルとシュバルツの違いは?
「デュンケル」と似たビアスタイルに「シュバルツ」があります。どちらも下面発酵で造られる黒ビール(濃色ビール)ですが、使用する麦芽のロースト具合が異なるため、色合いや味わいにも違いがあります。
◇麦芽の種類
どちらもローストした濃色麦芽を一部使用しますが、「シュバルツ」は高温でしっかりローストした麦芽を使っています。
◇色
「シュバルツ」とは、ドイツ語で「黒」を表す言葉。「デュンケル」は茶色からダークブラウン、「シュバルツ」はより暗いブラウンから黒色と、色合いも微妙に異なります。
◇味わい
どちらも香ばしい風味が特徴ですが、「シュバルツ」のほうがその度合いが高く、ビターチョコのような香ばしさを味わえます。
デュンケルの種類は? おすすめ銘柄を紹介
同じ「デュンケル」でも、使用する濃色麦芽の種類によって個性は異なります。
ここでは、国内で流通している「デュンケル」のおすすめ銘柄を紹介します。
地ビール独歩 デュンケル瓶
出典:宮下酒造株式会社ホームページ
地ビール「独歩(どっぽ)」は、日本酒、焼酎、梅酒、ウイスキーなどさまざまな酒類を手がける岡山県の宮下酒造の主要銘柄。「デュンケル瓶」は、「秋季全国酒類コンクール(地ビール部門)」で第1位に輝いた人気の商品です。
ダークブラウンの色合いと、麦芽由来の甘く香ばしい香味が特徴。濃厚な味わいながら苦味は少なめです。
アルコール度数は5%。
製造元:宮下酒造株式会社
公式サイトはこちら
ホフブロイ・デュンケル
Valentyn Volkov / Shutterstock.com
ホフブロイは、ドイツの宮廷醸造所としてスタートし、ドイツ政府の許可を受けて世界最大級のビールの祭典「オクトーバーフェスト」の限定ビールも手がける伝統ある醸造所。「ホフブロイ・ドゥンケル」なら、ミュンヘンスタイルの本格的なダークビールを味わえます。
アルコール度数は5.5%。
国内販売元:日本ビール株式会社
公式サイトはこちら
八ヶ岳ビール タッチダウン デュンケル
出典:「八ヶ岳ビール タッチダウン」公式ショップ
清里高原にある醸造所、八ヶ岳ビール タッチダウンが、八ヶ岳南麓の天然水とこだわりの原料と製法で造る主力商品。イギリスで開催される「World Beer Awards 2015」では日本のダークラガー部門で金賞に輝いています。
特長は、美しく澄んだ茶色とカラメル麦芽由来の香ばしい風味。カラメル麦芽をやや長めに発酵・熟成させることで、深みのあるしっかりとした味わいを引き出しています。
製造元:八ヶ岳ビール タッチダウン
公式サイトはこちら
デュンケルのおいしい飲み方
New Africa / Shutterstock.com
一般的なビールは4〜8度程度が飲みごろといわれていますが、カラメルのような風味が魅力の「デュンケル」は、それよりやや高めの温度で飲むのがおすすめ。メーカーによっては適温を提示しているので、購入時に確認するとよいかもしれません。
香ばしさが魅力の「デュンケル」のお供には、肉料理がよく合います。シチューやハンバーグなどの洋食はもちろんですが、醤油を使った料理とも合うので、お気に入りのペアリングを探してみてください。
迷ったときは、ドイツビールと相性抜群のソーセージをお試しあれ。フライパンで焼くだけの時短料理でも十分にたのしめますよ。
「デュンケル」はロースト麦芽由来の色合いと香ばしい風味が特徴のラガービール。個性がありながらバランスがよく飲みやすいので、ぜひ一度味わってみてください。ビールの苦味が苦手な人にはとくにおすすめです。