これだけは知っておきたい! 基本的なビールのスタイルと特徴

これだけは知っておきたい! 基本的なビールのスタイルと特徴
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ビールにはさまざまな種類(ビアスタイル)があるのを知っていますか? 世界でたのしまれているビアスタイルは、150 種類を超えるといわれています。今回は上面・下面・自然発酵の3つの発酵方法別に、ぜひ覚えておきたいビアスタイルと特徴を紹介します。

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芳醇で豊かな風味の「上面発酵ビール」

芳醇で豊かな風味の「上面発酵ビール」

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上面発酵ビールの特徴とは?

ビールは発酵方法の違いにより大きく3つに分類されます。そのなかのひとつが、上面発酵という発酵方法で造られるビールです。上面発酵は、おもにイギリスで発展してきた醸造方法で、次の章で紹介する下面発酵のビールよりも古い歴史を持ちます。

「エールビール」とも呼ばれる上面発酵のビールは、下面発酵のビールよりも高めの温度(約15~25度)で、約3~5日間の比較的短い期間で発酵させて造られます。発酵の過程で酵母が上面に移動していくことから、「上面発酵」と呼ばれるようになりました。

上面発酵のビールの特徴は、芳醇な香りと豊かな味わいにあります。ゴクゴクと飲んで、のどの渇きを癒やすというよりは、ビールの風味をじっくりと味わいながら飲むのが上面発酵ビールのたのしみ方です。


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黄金色の見た目が特徴の「淡色ビール」のビアスタイル

上面発酵ビールは、原料に使われる麦芽の色によって、黄金色の淡色ビール、琥珀や赤銅色の褐色ビール、漆黒の濃色ビールと、多彩なビアスタイルが造られています。

まずは、見た目が黄金色の淡色ビールに分類されるビアスタイルとそれぞれの特徴を紹介します。

【ペールエール】

イギリスの伝統的なビアスタイルで、エールビールの代表格。誕生当時、ビールのほとんどが濃色だったため、それよりも「淡い(薄い)」という意味で「ペール(pale)」と名づけられました。麦芽やホップの苦味が強く、すっきりとしたドライな味わいが特徴です。

【ヴァイツェン】

ドイツ発祥のビール。「ヴァイツェン」とは「小麦」のことで、小麦麦芽を50%以上使用して造られます。ホップの香りや苦味は控えめで、味わいはフルーティーでスパイシー。泡立ちがよいのも特徴です。

【ケルシュ】

「ケルシュ」は「ケルンの」という意味。ドイツ北西部の都市、ケルンで造られたビールだけが「ケルシュ」と名乗ることができます。口当たりがやわらかく、ほのかにリンゴを思わせるフルーティーな香りが漂うビールです。

ブラウンや黒の色合いが特徴の「褐色ビール」「濃色ビール」のビアスタイル

褐色ビールと濃色ビールの代表的なビアスタイルとその特徴を、それぞれ紹介します。

【アルト】

ドイツのデュッセルドルフが発祥の褐色ビール。「アルト(alt)」は「古い」という意味のドイツ語です。名前の由来は諸説あり、下面発酵ビールよりも古くから造られているからとする説や、近代的なビールに比べて昔のビールのように色が濃いからとする説などがいわれています。アルトはホップの香味を効かせたビールですが、銘柄によってホップの苦味に強弱があります。飲み口はクリアでしつこくない後味です。

【スタウト】

上面発酵の濃色ビールの代表格。スタウトは、ポーターというビアスタイルのビールがアイルランドに渡り改良されたものです。開発当時、麦芽に税金が課せられていたため、節税のために麦芽化していない大麦をローストして使ったところ、強い苦味が出て人々の人気を集め、世界中に広まりました。コーヒーやチョコレートのようなフレーバーがスタウトの特徴です。なお、スタウトにもいくつか種類があり、それぞれで味わいが異なります。

爽快な口当たりが特徴の「下面発酵ビール」

爽快な口当たりが特徴の「下面発酵ビール」

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下面発酵ビールの特徴とは?

下面発酵のビールは、「ラガービール」とも呼ばれます。下面発酵では、10度前後の比較的低温下で、10日ほどかけてゆっくりと発酵させて造るのが特徴。発酵の過程で酵母が下面に沈殿することから、「下面発酵」と呼ばれるようになりました。また、長期間貯蔵・発酵させるため、ドイツ語で「貯蔵」を意味する「ラガー」と呼ばれるようになったといわれています。

下面発酵は上面発酵と比べて歴史が浅く、15世紀ごろに南ドイツで原形が誕生し、18世紀に発明された冷蔵技術とともに世界中に広まりました。

低温で貯蔵・発酵されるため、味わいはマイルド。爽快なのどごしで、ビールの苦味が苦手な人でも飲みやすいことから、多くの人に愛飲されています。

下面発酵のビールも、使用される麦芽の色によって、淡色や褐色、濃色とバリエーションがあります。

ライトな見た目と味わいが特徴の「淡色ビール」のビアスタイル

下面発酵の淡色ビールには、次のようなビアスタイルがあります。それぞれの特徴を紹介します。

【ピルスナー】

1842年にボヘミア(現チェコ)で誕生した、ラガービールを代表するビアスタイル。日本で親しまれているビールの多くが、このピルスナータイプです。すっきりとしたシャープな味わいと、ホップの爽快な香りや苦味が特徴。黄金色の液体に白い泡が乗る見た目もおなじみです。

【アメリカンラガー】

アメリカで発展したピルスナータイプのビールを指します。とうもろこしなどを副原料に用いるほか、炭酸ガスの含有量を高めているのが特徴。炭酸の刺激を強く感じる一方で、ホップの苦味や香りは少なく、ライトな飲み口です。

【ドルトムンダー】

北ドイツの工業都市ドルトムントで生まれたビアスタイル。19世紀ごろ、当時人気を集めていたピルスナーを参考に、ホップの苦味や香りを控えめにして、バランスのよい味わいのビールを新たに造り出しました。軽快で心地よい麦のフレーバーもたのしめます。

深い味わいが特徴の「褐色ビール」「濃色ビール」のビアスタイル

下面発酵で造られる褐色ビールと濃色ビールの代表的なビアスタイルと特徴を、それぞれ紹介します。

【メルツェン】

褐色ビールのひとつ。ドイツ語の「メルツェン」には「3月」の意味があり、その名のとおり、3月に造られるビールのことをメルツェンといいます。冷却技術が未発達であった中世の時代、衛生上の理由から夏の間はビールの醸造が禁じられていました。しかし、夏にもビールをたのしめるよう、3月に日持ちのするビールを造りました。それがメルツェンです。ビールの腐敗を防ぐためにアルコール度数は6%程度と高めで、抗菌作用のあるホップも大量に投入して造られます。麦芽の量も多く、深い味わいを堪能できるビールです。

【デュンケル】

ドイツ語で「デュンケル」は「暗い」という意味。その名のとおりデュンケルは濃色のビールですが、色合いはブラウンからダークブラウンの銘柄が多いようです。ホップよりも麦芽の個性を強く感じられるデュンケルは、麦芽由来のカラメルっぽさや、ほのかなチョコレートのようなフレーバーが特徴。見た目のイメージとは異なり、すっきりとした飲み口も魅力です。

【ボック】

濃色ビールの「ボック」は、ドイツのアインベックが発祥のビアスタイル。アルコール度数が6〜7%と高めで、ナッツのような香りと甘味があります。見た目はブラウンに近い色合いで、重厚な麦芽の風味も特徴。アルコール度数をより高くした「ドッペルボック」、淡い色合いの「ヘラーボック」などのバリエーションがあります。

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酸味が特徴の「自然発酵ビール」

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自然発酵のビール「ランビック」の特徴とは?

「ランビック」は、ベルギーのブリュッセルとその南西に位置する、ゼネ川流域で造られている自然発酵のビールです。500年ほど前に誕生してから、ほとんど製法が変わらずに造られています。

ランビックの醸造工程では、麦汁を冷却する際に外気にさらして野生の酵母を取り込み、その麦汁を木樽に入れて3年間発酵・熟成させることで仕上げます。一般的に、ビールの醸造所は、雑菌が入り込まないよう厳重に管理されていますが、ランビックでは、あえて空気中に漂う野生酵母を取り込むのです。そうすることで、ビールにさまざまな種類の酵母が取り込まれ、造るたびに異なる味わいになるのが特徴です。

また、大麦麦芽のほかに、製麦していない小麦を30~40%使ったり、3年以上寝かせて酸化させたホップを使用したりと、原料の使い方にも特徴があります。

なお、同じ製法で造られていても、ほかの地域で造られた自然発酵のビールはランビックと名乗ることはできず、「ランビックスタイル」と呼ばれます。

ランビックにもいろいろな種類がある

ランビックの味わいの特徴は、レモンや酢を思わせる強烈な酸味にあります。甘味はほぼなく、後味もドライです。ただし、ランビックそのものが飲まれることは少なく、一般的には、以下に挙げるようなブレンドしたりほかの原料を加えたりしたものがたのしまれています。

◇グーズ・ランビック
1年熟成させた若いランビックと、2〜3年熟成させたランビックをブレンドし、二次発酵させたビール。酸味があり、グレープフルーツやリンゴのような香りが漂います。

◇ファロ・ランビック
ランビックに砂糖を加えて飲みやすくしたビール。甘味と苦味のバランスのとれた味わいをたのしめます。

◇クリーク・ランビック
ランビックに、クリークと呼ばれるチェリーを漬けて二次発酵させたビール。赤みを帯びた色合いやさわやかな飲み心地が魅力です。

◇フルーツ・ランビック
フランボワーズやカシスなどの果実を漬けて二次発酵させたビール。フルーティーなワインのような味わいをたのしめます。


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ビールには多くのバリエーションがあり、色合い、香り、味わい、口当たりなど、種類ごとにそれぞれ異なる魅力を持っています。さまざまなビアスタイルに挑戦して、ビールの世界を深めてみてはいかがでしょう。


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