ビールの一種である「ラガービール」とは?発祥と歴史を知る

ビールの一種である「ラガービール」とは?発祥と歴史を知る
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「ラガービール」とは、10度前後の低温で発酵する「下面発酵ビール」の総称。長期熟成を行うため、「貯蔵」を意味するドイツ語から「ラガー」と呼ばれています。今回は、ラガービールの発祥や歴史から、製法や特徴、種類、おいしい飲み方まで紹介します。

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ラガービールとはどんなビール?

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「ラガービール」とは、低温(通常約10℃前後)で発酵するビールのこと。発酵の過程で酵母が凝縮して沈んでいくことから「下面発酵」と呼ばれています。

下面発酵で造られるビールは長期熟成を行います。そのため、“貯蔵”を意味するドイツ語から「ラガー」という呼称になりました。現在の日本ではもっともポピュラーなスタイルで、商品名に「ラガー」とついていなくとも、市販されている大手メーカー製ビールのほとんどはピルスナーなどのラガービールです。

のどごしが良いすっきりとした味わいのビール

「ラガービール」は下面発酵させたビールですが、原料や製法によってさまざまなビアスタイルに分かれます。

クセが少なくすっきりとした「ピルスナー」や、香ばしさとすっきりした味わいを両立させた黒ビール「シュバルツ」、軽い味わいで爽快感のある「アメリカンラガー」などが代表的なものですが、すべてラガービールの一種です。

ほとんどのラガービールに共通するのは、爽快なのどごし。ビールが苦手な人でも飲みやすいものが多いため、一般的なお店で「とりあえずの1杯」としてビールをオーダーすると提供されるのは、ほとんどの場合※1「ラガー(下面発酵)」タイプのビールになっています。

※1 例:「アサヒスーパードライ」「キリン 一番搾り」「サッポロ生ビール黒ラベル」など

ラガービールの歴史と本場ドイツ

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日本で最もポピュラーな「ラガービール」。ではそれはどこで生まれ、どのように普及してきたのでしょう。その歴史や本場ドイツのビール事情について解説します。

ラガービールの登場とビールの普及

ラガービールの原型が誕生したのは、15世紀ごろ。中世のビール醸造は、腐敗の少ない冬に行われていましたが、当時は温度が低すぎると発酵が進まないため、温度管理が悩みの種でした。しかし、15世紀になると、低温でも発酵が進む事例が発見され、低温で貯蔵したほうがマイルドな味わいだと気づきます。そこで秋の終わりにビールを仕込み、天然の氷を入れた氷室や洞窟でビールを春まで貯蔵する方法が確立しました。これがラガービールの原型です。

19世紀後半には、60~80度の熱を15~30分間加えることで雑菌を死滅させる「低温殺菌法」を細菌学者ルイ・パスツールが発見し、さらに1876年「ビールに関する研究」を発表、ビールも低温殺菌法(50~60℃)が応用できるとしました。これによりビールを細菌から守り、安定した品質を長持ちさせることができるようになりました。この「低温殺菌法」によってビールの保存期間や輸送範囲が画期的に拡がります。

また、ドイツのリンデによってアンモニア冷凍機が発明されたおかげで、季節を問わずラガービールの醸造ができるようになります。

この後1883年、デンマークのカールスバーグ研究所でハンゼンが「酵母純粋培養法」を発明。均一で良質なビールの大量生産への道が開かれます。

ビールをどこへでも運べるようにした「低温殺菌法」、いつでもつくれるようにした「冷凍機」、安価に大量に作れるようにした「酵母純粋培養法」の3つは、近代ビールの三大発明と呼ばれ、ビールの品質向上と生産力拡大につながり、世界中でラガービールが飲まれるようになっていきました。

ラガービール発祥の地ドイツのビール事情

ラガービールは、15世紀ごろ南ドイツで誕生。18世紀に発明された冷蔵技術とともに、世界中で愛飲されるようになりました。世界最古の食品の品質を保証する法律「ビール純粋令」発祥の地でもあるドイツの都市ミュンヘンは、良質なビールを製造する「ビールの都」としても有名です。秋には、ビール祭り“オクトーバーフェスト”が開催され、ドイツだけでなく世界中からビールファンが集まり賑わいます。

深い歴史を持つドイツのビールは、嗜好品というよりもドイツの人たちにとっては生活や文化の一部。歴史や製造方法を学ぶ工場見学も盛んに行われています。また、ドイツでは16歳(※2)からビールを飲むこともでき、昼間からビールをたのしむ家族も珍しくありません。

※2日本人は、ドイツに行っても20歳以上でなければ飲酒できません。

ラガービールの種類

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「ラガービール」は下面発酵させたビールの総称ですが、前述したように、製法によってさまざまなビアスタイルがあります。そのなかでも代表的な「ピルスナー」「シュバルツ」「デュンケル」「メルツェン」「ボック」について解説します。

ピルスナー(ラガービールの一種で、その代表格)

ラガービールに限らず、全ビールのなかでも世界でもっとも消費されているといわれる「ピルスナー」。1842年にボヘミア(現チェコ共和国)のピルゼンで誕生したことから名づけられたピルスナーは、淡色の美しい黄金色をしていることから、「世界初の金色のラガービール」と呼ばれていました。原料には淡色麦芽とノーブルホップ、軟水が使用されています。

アルコール分は4~5%。クリアなのどごしに苦みの効いた味わいが魅力です。その飲みやすさから世界中で愛され、日本でもビール生産量のほとんど※3がピルスナーです。

※3クラフトビール、地ビールなどで、ピルスナー以外にも多くの銘柄が生産されています。

「ピルスナー」はチェコ発祥のビールスタイル

シュバルツ

ドイツ南部のバイエルン地方で誕生したといわれ、ドイツ語で「黒」を意味する「シュバルツ」。文字どおり黒に近い濃褐色はローストした麦芽を使用しているからで、色と同時に香ばしさが特徴です。

見た目は黒いですが、ほかの黒ビールと比べると軽めで、甘味が少なくほどよい苦みが感じられ、ラガーらしいすっきりとした味わいにまとまっています。

デュンケル

ドイツ語で「暗い」という意味の「デュンケル」。バイエルン地方で生産されるライトブラウンからダークブラウンの濃色ビールですが、「シュバルツ」に比べるとやや明るいのは麦芽のロースト具合の違いです。

ローストの香ばしさとほのかな苦みに加え、麦芽の甘味とコクが感じられます。同時に、下面発酵の特徴であるさっぱりとした味わいもあり、飲みやすさが魅力です。

メルツェン / オクトーバーフェストビール

ドイツ語で「3月」を意味する「メルツェン」は、ドイツのミュンヘンで19世紀ごろに誕生したラガービールです。3月にアルコール度数が少し高めになるようにして仕込み、長期熟成するようにしたのが「メルツェン」。

高アルコールによる長期熟成のため、一般的なラガービールよりもホップの香りや苦みが薄まり、まろやかな味わいとなります。
9月から10月にかけてミュンヘンで開催される世界最大のビールのお祭り「オクトーバーフェスト」で提供されるビールで、従来は美しい赤褐色のものが主流でしたが、最近は金色に近いものも増えてきたようです。

ボック

14世紀ごろ、ドイツ北部のアインベックで誕生した歴史の古い「ボック」ですが。17世紀ごろからおもにミュンヘンで造られるようになりました。

「トラディショナル・ボック」の特徴は、6.5~7.5%と高めのアルコール度数。麦芽をローストし、濃い麦汁をたっぷり使った濃褐色の「ボック」は、ナッツのような凝縮感のある香りと味わいが魅力です。

アルコール度数が高いのは輸出用として発展したことから、防腐対策であったと考えられていますが、それが「ボック」の力強さを決定づけています。

アルコール度数8~10%と、「ボック」よりもさらにアルコール度数の高い「ドッペルボック」というビアスタイルもあります。

「ボック」とは、ドイツ発祥の伝統的なハイアルコールビール

ラガービールの飲み方

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すっきりとしたのどごしで、どんなシーンにも合い、世界中で愛される「ラガービール」。飲み方は自由ですが、よりおいしく味わうための基本を押さえておきましょう。

グラスが変われば味わいも変わる

缶ビールであっても、家で飲む場合はできるだけグラスに注ぎたいもの。そのほうが泡立ちや香り、味わいを存分にたのしめ、ビール本来のおいしさが味わえるはずです。
ラガービールの持ち味は、なんといってもすっきりとした「キレ」と「のどごし」。それを生かすのは脚のないタンブラーグラスです。
飲むときに自然とアゴが上がり、「のどごし」の気持ちよさが味わえるはず。

ガラス製のタンブラーのほかにも、錫(すず)製や陶器のタンブラーもおすすめです。泡のキメが細かく、まろやかな味わいがたのしめます。

基本的な適温は5~9℃前後

飲むときの気温や湿度などによって多少前後はしますが、しっかり冷やして飲むのがおすすめです。ラガービールの特徴であるすっきりとした味わいは冷やすことでよりクリアになり、のどごしも気持ちよくなるからです。

ただ、冷やしすぎるとビール本来の風味や香りが感じられなくなるうえ、泡立ちも悪くなるので注意してください、もっともポピュラーなピルスナーであれば、グラスに注いだときの温度が6~9℃、アメリカンラガーであれば5~7℃が適温とされています。

もちろん、「もっと冷やしたほうが好き」という人は自由に!

また、暑い日には冷凍庫でキンキンに凍らせたジョッキやグラスに注ぐという飲み方もありますが、ビール本来の味わいをたのしむにはNGという意見もあります。見た目は涼しげで最高ですが、凍ったグラスの内側についた水分が溶けだしてビールを薄めてしまうというデメリットも。それを理解したうえで、お好みやシーンによって使い分けたいですね。

日本では「ビール」といったら(意識せずとも)ほとんどの人が思い浮かべるのが「ラガービール」。それほどなじみ深いラガービールですが、材料や製法、生産者によって味わいはいろいろ。自分にぴったりのビールを見つけておいしくたのしみたいものですね。

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