「ボック」とは、ドイツ発祥の伝統的なハイアルコールビール
「ボック」とは、ドイツ北部の都市、アインベックを発祥とするアルコール度数が高いビールスタイルです。ドイツを中心にヨーロッパ各地に広がり、現在では世界中で「ボック」と名のつくさまざまなビールが造られています。今回はそんな「ボック」について紹介します。
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「ボック」の歴史と名前の由来とは
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「ボック」はドイツ生まれ、ドイツ育ちのビール
「ボック」は、古くからドイツで親しまれ、今では世界中で飲まれている下面発酵のアルコール度数の高いビールスタイルです。
もともと北ドイツのアインベックという町で14~15世紀ごろに造られていたとされるボックですが、17世紀ごろからは、おもにミュンヘンを中心とする南ドイツ地方で造られようになりました。ちなみに、宗教改革で有名なマルティン・ルターもボックを愛飲していたとされています。
ボックの製造法は、上面発酵(エール)から下面発酵(ラガー)へ
アインベックで造られていた当時のボックは、上面発酵によるエールビールでしたが、ミュンヘンで造られるようになると、当時人気だったラガー酵母を使って下面発酵で造られるように。
今日では、下面発酵によるラガービールのなかでも、通常よりもハイアルコールな飲みごたえのあるビールとして定着しています。
「ボック」の名前の由来とは
ボックの名前の由来には諸説あります。よく知られているのが、その発祥の地である「アインベック」が訛って「アインボック」となり、それがいつしか縮まってボックとなったという説です。
また、「ボック」という言葉には「雄ヤギ」の意味があり、ボックを飲むと若い雄ヤギにように元気になると言われたことからつけられたという説もあるようです。今でもボックのラベルには雄ヤギをあしらったものが多いのはそのためです。
「ボック」はアルコール度数が高く、重厚な味わいが特徴
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「ボック」は世界を代表するハイアルコールビール
「ボック」の一番の特徴は、濃い麦汁をふんだんに使うことによるアルコール度数の高さ。通常のビールのアルコール度数は4~5%ですが、ボックは6.5~7.5パーセント。なかには14.5パーセントのものもあるなど、ハイアルコールビールを代表するスタイルとして、世界中に愛好家が存在します。
ボックは香りと色合いでもファンを魅了
ボックのもうひとつの特徴が、ローストした麦芽(モルト)の豊かな香りと色合いです。色合いは、種類によって濃い黒色のものから琥珀色、茶色などとさまざまです。
濃い色をしたビールでは、同じドイツ発祥の黒ビール「シュバルツ」が有名ですが、ボックはシュバルツと比較しても、よりどっしりとした味わいだとされています。
ボックをたのしむなら、冬場に肉料理と一緒に
ボックの味の特徴は、モルトの重厚さ。その味わいから、夏よりも冬向けのビールとされています。また、料理の味に負けないしっかりとした味わいから、グリルした肉料理と相性がよいと言われています。
「ボック」のさまざまな種類を紹介
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「ボック」の幅広さをたのしむ
「ボック」は、14~15世紀から現在に至る長い歴史を通じて、さまざまな種類が造られてきました、今回はその代表的なものを紹介します。
【トラディショナル・ボック】
17世紀ごろにミュンヘンなどで造られていた伝統的なスタイル。重厚な麦芽風味が香る濃色のビールで、アルコール度数は6.5~7.5パーセント程度とされています。
【へレスボック(マイボック)】
19世紀ごろに造られていた薄い麦わら色や黄金色などの明るめの色をしたボック。ローストしていない通常の麦芽を使用。トーストやパンのような香りが特徴で、アルコール度数は6.5~8.0パーセント程度。
【ドッペルボック】
ミュンヘンのミニモ修道院で開発されたと言われるボック。「ドッペル」とはドイツ語で「2倍」の意味で、修道院における断食中の貴重な栄養源となるよう、通常よりも麦芽を多く使ったことからその名がつきました。アルコール度数も8.0~11パーセントと高めで、なかには14パーセントのものもあるのだとか。
【アイスボック】
「ドッペルボック」を凍らせることで、さらにアルコール度数を高めたビールです。ビールを凍らせると、水よりも融点の低いアルコールは凍らず、氷だけを取り除くとそのままアルコールが残ります。それを繰り返すことで、よりアルコール度数の高い「アイスボック」ができあがります。
【ヴァイツェンボック】
バイエルン州で造られる小麦を使ったボックで、ハイアルコールで濃い色をしたビール。ボックの強いコクと、ヴァイツェンのような甘い果実香と合わさったビールで、アルコール度数は6.9~9.3パーセント程度です。
以上がボックにおける一般的なスタイルですが、最近では世界中のクラフトビールメーカーが、オリジナルのボックを醸造しています。みなさんも機会があればぜひ味わってみてください
日本ではまだ知名度が低い「ボック」ですが、通常のビールでは飽き足らないコアなビール好きを中心に、少しずつ注目されるようになっています。ただし、アルコール度数が高めのビールなので、飲みすぎには注意しましょう。