「ピルスナー」は日本でもっとも飲まれるビール

「ピルスナー」は日本でもっとも飲まれるビール
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ピルスナーは、「ラガービール(下面発酵ビール)」に分類され、世界的にも広く飲まれているビアスタイル。じつは日本のビールの大半が「ピルスナー」です。今回は、ピルスナービールの特徴や、日本で愛されている理由、代表的な銘柄などについて紹介します。

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「ピルスナービール」とは?

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「ピルスナー」は、世界中に150以上もあるといわれるビアスタイルのひとつ。まずは「ピルスナー」の製法と歴史を紹介します。

「ピルスナー」は「ラガービール(下面発酵ビール)」の一種

ビールには、大きく分けて「エール(上面発酵)」「ラガー(下面発酵)」「自然発酵」という3つの発酵方法があります。この3つのうち、「ピルスナー」は「ラガービール(下面発酵ビール)」に分類されます。

「ピルスナー」を含む「ラガービール」は、約10度前後の低温で発酵させる下面発酵という発酵方法で醸造されます。「ラガービール」はほかの2つの発酵方法で造るビールよりも歴史が新しく、低温でも発酵する酵母が発見されたことで生まれました。

「ラガービール」に共通する特徴は、爽快なのどごしと雑味のないマイルドな味わい。低温下でゆっくりと酵母を発酵させると、香りや味の成分があまり生成されないため、そのような特徴を持ったビールに仕上がりやすくなります。

「ピルスナー」はチェコ発祥のラガービール

「ピルスナー」の発祥地はドイツの隣国、チェコのボヘミア地方にあるピルゼンという町です。「ピルスナー」という名称も、このピルゼンの地名に由来します。

ピルゼンは古くから、良質なホップの産地として知られ、ビール醸造も盛ん。「ラガービール」がヨーロッパ全土に広がり、地域性を帯びていくなか、ピルゼンでは1842年、当地の醸造家たちが本場・ドイツのミュンヘンから招いた醸造技術者の協力を受けて、「ピルスナー」を生み出しました。

「ピルスナー」は現在世界的に飲まれているビールですが、その誕生の背景には、国境を越えたビール醸造家たちの交流があったのです。

ピルスナービールの特徴

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「ピルスナー」の魅力は、黄金色の見た目とその飲みやすさ。ここではその魅力について改めて解説します。

「ピルスナー」は世界初の黄金色の「ラガービール」

「ピルスナー」の特徴は、その輝くような美しい黄金色の液体です。「ピルスナー」の登場以前はビールの色の多くが濃褐色でした。そのため、「ピルスナー」が生まれると「世界初の金色のラガービール」と呼ばれ、評判となりました。

「ピルスナー」が黄金色である理由には、ピルゼンの水が、ほかの地域と違い、ミネラル量が少ない軟水であることに関係しています。当時、ドイツのミュンヘンなどビールの生産地として知られる地域の水はミネラルが多い硬水で、色の濃いビールしか造れなかったそう。ピルゼンの軟水は、ビールの歴史を変える大きな発見となったのです。

「ピルスナービール」の味わい

「ピルスナー」は多くの人にとって飲みやすいビールとされています。その味わいはホップ由来の香りとほのかな苦味が特徴で、後味もあまり残りません。

アルコール感が薄いことも、「ピルスナー」の飲みやすさの理由。アルコール度数は3.0~5.0度ほどで、アルコールが苦手な人でもおいしく飲めることから人気が高まったともいわれています。

「ピルスナー」が日本でもっとも愛されるビールになった理由

「ピルスナー」は日本でも圧倒的なシェアを誇るビアスタイルですが、それはいったいなぜなのでしょうか。

「ピルスナー」は日本の大手メーカー商品の大半を占める

「ピルスナー」は世界のビールシェアの約7割を占めるビールですが、その人気ぶりは日本も同様。大手ビールメーカーの販売する商品の大半が、品名には掲げられていなくとも「ピルスナー」スタイルのビールで、その占有率は95% 以上。「ピルスナー」は現在、日本でもっとも愛されるビアスタイルといっても過言ではありません。

「ピルスナー」は日本の風土に合ったビール

日本における「ピルスナー」の歴史は、明治のはじめまで遡ります。明治2年(1869年)に横浜外国人居住区でジャパン・ヨコハマ・ブルワリーが設立されたのを皮切りに、翌3年にはアメリカ人醸造技師ウィリアム・コープランドがキリンビールの前身、スプリングバレー・ブルワリーを設立。明治9年にはドイツでの修行経験がある中川清兵衛がサッポロビールの前身、北海道開拓使麦酒を設立します。

日本はドイツをビール造りの手本に据えて来たこともあり、「ピルスナー」のなかでも国内で親しまれているのが「ジャーマン・ピルスナー」です。明治時代から現在までその影響力は顕著で、多くの国内ビールメーカーが「ジャーマン・ピルスナー」をビール造りのお手本にしています。「スッキリ・クリアで苦味の利いた味わい」というビールの印象形成に一役を買っているといえます。

「ピルスナー」が、ここまで日本に定着した理由のひとつに、日本の風土的条件が関係しています。軟水が多いという製造面でのメリットはもちろん、夏場の高温多湿という気候の日本においては、口当たりがさわやかで、のどごしよく飲める「ピルスナー」は最適です。まさに日本人向きのビールだといえるでしょう。

日本の定番おつまみとの相性もバツグン

日本の「ピルスナー」は、世界で造られるものよりも苦味がスッキリしているものが多く 、和洋中のどんな料理にも合わせられるのが特徴です。日本の定番おつまみとの相性もバツグン。

そのひとつが揚げ物です。なかでも鶏唐揚げのとの相性がよく、おいしいペアリングがたのしめます。また、炭酸が強い「ピルスナー」には、口中に残る油分を中和して、リセットしてくれる効果もあります

ほかにも、ほどよい塩味があとを引く枝豆や、アレンジの幅が広い冷奴などの定番メニューも「ピルスナー」に合うおつまみとして挙げられます。

代表的な「ピルスナー」の銘柄

日本では多くの「ピルスナー」ビールが存在します。ここではそのなかでも特徴的な銘柄を紹介します。

ピルスナー・ウルケル

ピルスナー・ウルケル

画像提供:アサヒビール株式会社

「ピルスナー」発祥の地であるチェコのボヘミア地方ピルゼンで、1842年の誕生以来、元祖の味を守り続けてきた銘柄が「ピルスナー・ウルケル」です。

「ウルケル」とはドイツ語で「源泉、元」という意味。文字どおりの「元祖ピルスナー」で、土地名を冠したビアスタイル「ボヘミアン・ピルスナー」の代表格といえます。

輸入元:アサヒビール株式会社
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ピルスナー・ウルケルの魅力を最大限に引き出す「ハラディンカ」

ピルスナー・ウルケルの魅力を最大限に引き出す「ハラディンカ」
画像提供:アサヒビール株式会社

箕面ビール MINOH BEER ピルスナー

出典:株式会社箕面ビールサイト

「箕面ビール」は、世界各地の品評会でも数々の受賞歴を持つ、大阪を代表するクラフトビール。「MINOH BEER ピルスナー」は、厳選したホップを贅沢に使用した、さわやかな苦味が特徴です。

製造元:株式会社箕面ビール
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小樽ビール ピルスナー

出典:小樽ビール公式サイト

北海道を代表するクラフトビール「小樽ビール」の「ピルスナー」は、フィルターによるろ過を行わず、0度以下の低温でじっくりと酵母を沈殿させて造るのが特徴。伝統のレシピを忠実に守り、自然な炭酸の泡立ちと、なめらかなのどごしを今に伝えています。

製造元:株式会社アレフ 小樽ビール醸造所
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横浜ベイブルーイング ベイピルスナー

出典:横浜ベイブルーイング株式会社サイト

トリプルデコクションという伝統的な製法で造る「横浜ベイブルーイング ベイピルスナー」。本場チェコの最上級ザーツホップが織りなすさわやかな香りが、飲む人を虜にする、昔ながらの「ピルスナー」です。

製造元:横浜ベイブルーイング株式会社
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田沢湖ビール ピルスナー

出典:株式会社わらび座サイト

「田沢湖ビール ピルスナー」は伝統的なドイツビールのスピリットを継承しつつも、日本の風土に合わせて進化を遂げた「ピルスナー」。麦芽とホップと水以外のものは使用しておらず、モルトの確かな味をたのしめるビールです。

製造元:株式会社わらび座 田沢湖ビール
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富士桜高原麦酒 ピルス

出典:富士観光開発株式会社サイト

「富士桜高原麦酒 ピルス」は富士北麓の軟水を贅沢に使用した「ピルスナー」。
3種のホップを煮沸工程のなかで4回に分けて投入することでホップの香りと苦みを引き立て、モルトの風味と苦味、キレのバランスが取れたビールに仕上がります。

製造元:富士観光開発株式会社
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ひでじビール 太陽のラガー

出典:宮崎ひでじビール株式会社サイト

宮崎県のまぶしい太陽を表現した「ひでじビール 太陽のラガー」は自家培養の酵母を活かしたさわやかな舌触りと苦味、マイルドなコクが特徴。モルトとホップのバランスなど、製造面で徹底的にこだわり抜かれて造られた「ピルスナー」です。

製造元:宮崎ひでじビール株式会社
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「ピルスナー」は世界中で多くの人に愛されているビール。それゆえに、こだわりを持って造られた銘柄がたくさん存在します。今回の記事を参考に、「ピルスナー」の魅力の奥深さを探ってみてくださいね。

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