ぬるいほうがおいしいビールもある! 常温で飲むビールのたのしみ方を解説

ぬるいほうがおいしいビールもある! 常温で飲むビールのたのしみ方を解説
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「ビールはキンキンに冷やして飲むもの」「ぬるいビールはおいしくない」などと、思い込んでいませんか? じつは世界には、「常温で飲むのが定番」というビールも多くあります。ここでは、「ぬるいほうがおいしいビール」の魅力について解説します。

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世界にはぬるくてもおいしいビールがある

世界にはぬるくてもおいしいビールがある

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「エール系」ビールはぬるいほうがおいしい?

日本のビールのほとんどは、冷やして飲むのに適したラガータイプですが、エール系のビールの多くは、あまり冷やさずに飲むのが一般的です。

エールはもともと、イギリスやアイルランドなどの涼しい気候の土地で育まれたビールです。冷涼な地域には、ビールを冷蔵庫に入れてキンキンに冷やす習慣がありません。そのため、エールは、常温のまま飲むことを想定して造られています。

また、エールはラガーよりも香りや味わいが豊かなのが特徴。冷やしすぎると、せっかくの風味を感じにくくなってしまうので、ぬるめの温度が適温とされています。つまり、エールはラガーに比べて、ぬるいほうがおいしく飲めるものが多いのです。

「エール」と「ラガー」は発酵方法が違う

ビールは、製法によってエールとラガーの大きく2つに分けられます。エールとラガーの違いは、発酵の方法にあります。

【エール】

エールは、「上面発酵」という、冷蔵技術がなかった時代からある伝統製法で造られます。高温で発酵させる「上面発酵」では、酵母が活発に働くため、発酵期間が3〜4日と短いのが特徴。この製法で造ると、濃厚な味わいと豊かな香りを持つ、飲みごたえのあるビールができあがります。
エールタイプのビールは、日本では最近になってよく見かけるようになりましたが、世界では古くから愛されているビアスタイルです。

【ラガー】

ラガーは、「下面発酵」という製法で造られます。冷蔵技術が発達し、低温での長期保存が可能になったことで、よく用いられるようになりました。「下面発酵」では、酵母の働きがゆるやかなため発酵期間は長めですが、低温下で発酵させるので雑菌が繁殖しにくいといったメリットがあります。この「下面発酵」で造ると、すっきりとした飲み口と爽快なのどごしのビールに仕上がります。なお、日本のビールのほとんどは、ラガーです。

ぬるいほうがおいしいエールビールにはどんな種類がある?

ぬるいほうがおいしいエールビールにはどんな種類がある?

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モルトの甘味とホップの苦味が絶妙「ペールエール」

「ペールエール」は、イングランドの中部に位置する、バートン・オン・トレントで誕生したビアスタイル。「ペール」は「淡い」という意味です。

液体の色はオレンジ色または銅色。日本のビールと比べると色が濃いのに「ペール」と名づけられた理由は、ペールエールが誕生するまでのビールはダークブラウンのような濃色が主流だったためです。

エールのなかでもペールエールは、モルトの甘味とホップの苦味のバランスがよいものが多い傾向にあります。またフルーティーなエステル香を持ち、甘味がドライなのが特徴です。

【ヤッホーブルーイング よなよなエール】

「カスケード」というアロマホップを原料に使用し、グレープフルーツやレモンを思わせる柑橘系の香りと、モルトのやさしい甘味を堪能できるビールです。メーカー推奨の飲みごろは13度。

【サントリー プレミアムモルツ 香るエール】

日本人好みのフルーティーな味わいが特徴のエールビール。フルーティーさを生む酵母「BH-154」から生まれる醸造香とホップ香が混ざり合い、さわやかなのどごしをたのしめます。

強い苦味が魅力の「IPA(インディアペールエール)」

IPAは、1790年代にロンドン在住の醸造業者ジョージ・ホジソンがインド向けに輸出していたビールが原型とされています。当時は、「イギリス東インド会社」がインドに設立され、多くのイギリス人が現地で生活していました。イギリスからインドにペールエールを送る際、長い航海に耐えられるように、アルコール濃度を高くし、防腐効果のあるホップを大量に加えて醸造したそう。これがIPAの始まりです。

IPAの大きな特徴は、ホップの香りと苦味の強さ。すっきりとした飲み口で、モルトの甘味が強く、アルコール度数が高めなのも特徴です。アンバー(琥珀色)の液体と、持ちのよい白い泡もIPAならではの魅力といえます。

【ヤッホーブルーイング インドの青鬼】

イギリスの伝統製法で造られたIPA。グレープフルーツのような華やかなホップの香りが特徴で、強い苦味と深いコクが口の中に広がる、個性的な味わいです。メーカー推奨の飲みごろは13度。

【エチゴビール FLYING IPA】

アメリカンスタイルのIPA。さわやかなシトラス系の香りと、突き抜けるような強い苦味が特徴です。すっきりしていてキレのよい飲み口をたのしめます。

焙煎した麦芽の香りが魅力の「スタウト」

スタウトは、「どっしりとした」という意味。日本では「黒ビール」とも呼ばれます。グラスに注ぐと、漆黒の液体の上にクリーミィーな泡が乗るのが特徴。焦げたようなかぐわしい香りに、ほのかに漂うカラメルのアロマ、強い酸味とコク、ドライな味わいも魅力です。

スタウトは、1759年、アイルランドの実業家アーサー・ギネスによって生み出されました。誕生当時、ビールの原料となる麦芽に税金が課されていたため、税の負担を軽くすることを目的に、麦芽化していない大麦を焙煎して使用したのが始まりとされています。

【ギネス オリジナルエクストラスタウト】

1821年の誕生以来、愛され続けている飲みごたえのあるビール。かすかに熟したフルーツ香とロースト香が漂い、苦味と甘味が絶妙に調和しています。口当たりはスムーズでキレがよく、後味はさわやかです。

【ヤッホーブルーイング 東京ブラック】

「ロブスト・ポーター」というスタイルの黒ビール。コーヒーやココアのような香りが特徴です。口当たりはなめらかで、麦の甘味をかすかに感じられます。メーカー推奨の飲みごろは13度。

ぬるい温度が飲みごろのエール系ビールをおいしく飲むコツ

ぬるい温度が飲みごろのエール系ビールをおいしく飲むコツ

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エール系のビールは最適な温度で味わう

エールは、前述のとおり、あまり冷やさずに飲むのがおすすめです。エールの適温は、8~13度程度。夏場は冷蔵庫で1~2時間ほど、室温20度くらいでは1時間ちょっと、室温10度くらいでは5分ほど冷やすと飲みごろの温度になります。

あるいは、温度が下がりすぎないように、冷蔵庫の野菜室で保存するのもよい方法です。この場合は、取り出してから20~30分ほど置いてから飲むと、おいしくいただけるでしょう。

また、夏場など気温の高い季節には、大きめの器に水道水を入れ、そこに冷蔵庫から出したビールを瓶や缶ごと10分間ほど浸すことで適温にする方法も活用できます。

日本は暑いので、常温のエールを飲むなら秋や冬がおすすめ

エールが発展したイギリスなどでは、夏でも平均気温が20度ほどまでしか上がらないので、基本的には常温のままでもおいしく飲むことができます。

しかし日本では、夏になると平均気温が30〜40度になることもあるため、常温保存のままではビールが温まって、本来の風味が損なわれてしまいます。エールだからと常温にこだわらず、冷暗所や冷蔵庫など適切な場所で保管することも大切です。

以上のことをふまえて、日本でエールを常温で飲みたい場合は、気温が下がって室温が8~13度くらいになる、秋・冬にたのしむのがよいでしょう。

ちなみに、日本産のエールの多くは、冷蔵庫で冷やしてから飲むのを前提としているようです。夏季限定商品があるのも、暑い日本らしいですね。

華やかな香りが魅力のエールは、グラスに注いでから飲むと、いっそうおいしく感じられます。「ビールは冷たいほうがおいしい」と思い込んでいた人も、この機会にぜひ、ぬるい温度が適温のエールを、グラスでたのしんでみてください。

冷えたビールと常温程度のビールはどちらがおいしい?

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