「ケルシュ」というビールを知っていますか? ユニークな飲み方やおすすめの銘柄も紹介
「ケルシュ」は、ビールの本場ドイツで誕生したビアスタイル(ビールの種類)。いったいどんなビールなのでしょう? 今回は「ケルシュ」の魅力に迫ります。
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「ケルシュ」ってどんなビール?
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「ケルシュ」はケルンのみで造られるエールビール
「ケルシュ(köisch)」はドイツ・ケルン地方の方言で「ケルンの」という意味。その名のとおり、ドイツ中西部に位置する都市ケルンで誕生しました。「ケルシュ」は、EUのA.O.C(原産地統制名称)に認定されているビールで、なおかつ1986年に「ケルシュ協定(ケルシュ協約)」に調印した24の醸造所だけに製造が認められている、貴重なエールビールとして知られています。
なお、ケルン以外でも「ケルシュ」に似たビールが造られていますが、それらは「ケルシュ」ではなく「ケルシュスタイル」と呼ばれています。
「ケルシュ協定」とは?
「ケルシュ協定」は、「ケルシュ」の伝統と品質を守ることを目的に締結されました。16の掟(条項)で構成されていて、原産地や醸造法はもちろん、注ぐグラスの形状にも規定があります。
明記されている条項の一部を紹介すると、「ケルシュ」と名乗ることができるのは、ケルン市から50キロメートル圏内で醸造されたもののみです。また、ライン川流域にあるケルンは水に恵まれた地域で知られますが、ケルンの水で造られたビールでなければ「ケルシュ」を名乗ることができません。このような規定を明確化することで、「ケルシュ」のブランドと品質が守られているのです。
「ケルシュ」は、上面発酵酵母を使い、下面発酵のように熟成させるビール
「ケルシュ」はエールビールの一種なので、通常のエールビールと同様に上面発酵酵母で麦汁を発酵させますが、熟成方法は異なります。
一般的なエールビールを造るときは、常温に近い温度下(15~25度程度)で、短期間で熟成させるのが一般的。対して「ケルシュ」は、ラガービールのように比較的低温下(5~10度程度)で長期間熟成させます。また二次発酵の際に、下面発酵酵母を追加投入することもあります。
このような製法で造られた「ケルシュ」は、エールビールらしい豊かな香りを持ちながら、ラガービールのようにすっきりとした飲み心地のビールになるのが特徴です。
「ケルシュ」は、エールとラガーのよいところを兼ね備えたビールといえるかもしれませんね。
「ケルシュ」の魅力とは?
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「ケルシュ」はフルーティーな香りのすっきり爽快なビール
「ケルシュ」の見た目は黄金色で、日本でよく飲まれているビアスタイル「ピルスナー」に似ていますが、風味は異なります。
多くの「ケルシュ」では、フルーティーで華やかな、白ワインのようなアロマをたのしめるのが特徴。なかには、原料に小麦麦芽を使うことでフルーティーさをさらに強調した銘柄もあります。
また「ケルシュ」を口に含むと、麦芽由来の甘味は控えめで、ホップの苦味とわずかな酸味が感じられます。そのため、「ピルスナー」のようなすっきりとした爽快感をたのしめるでしょう。
なお、一般的にエールビールは常温に近い温度が飲みごろですが、「ケルシュ」はラガービールのように冷やしても風味が失われにくく、その味わいを堪能できます。
「ケルシュ」は、お代わりしながらたのしむビール
前述の「ケルシュ協定」では、グラスも具体的に規定されています。
「ケルシュ」は「シュタンゲ」と呼ばれる、200ミリリットル容量の細長いグラスで飲むのが基本。「シュタンゲ(Stange)」はドイツ語で「小枝」の意。ケルンなどのお店で「ケルシュ」をオーダーすると、「クランツ(Kranz=花輪)」と呼ばれる専用のお盆に乗せて運ばれてきます。
シュタンゲはお代わりすることを前提に小さく作られていて、グラスが空になるとわんこそばのように、すぐに新しい「ケルシュ」と交換されます。そのたびにコースターに線が引かれ、これが伝票の代わりになります。このコースターでグラスにフタをすれば、店員さんに「おしまい」を知らせる合図になります。
「ケルシュ」スタイルのおすすめの銘柄
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奥羽山脈の伏流水で造られる「田沢湖ビール ケルシュ」
田沢湖ビールは、1997年に秋田県仙北市で醸造を開始した秋田県初の地ビールブランド。上質なドイツ産の麦芽とチェコ産のザーツホップを原料に、広大な原生林を擁する和賀山塊(わがさんかい)の伏流水を用いて醸造されています。
ラインナップのなかでも人気の高い「ケルシュ」は、ほのかに果実の香りが漂う、すっきりとしたやさしい味わいが特徴。ビールの苦味が得意でない人でも飲みやすいと感じられるでしょう。
伝統的なドイツスタイルで造られる田沢湖ビールの「ケルシュ」は、ワールド・ビア・アワード2013において「ワールドベストケルシュ」を受賞。インターナショナル・ビア・コンペティションでも、複数の賞を受賞している実力派です。
販売元:株式会社わらび座・田沢湖ビール
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北海道の天然水で造られる「大沼ビール ケルシュ」
大沼ビールは、新日本三景のひとつに数えられる北海道亀田郡七飯町・大沼湖畔の醸造所で、横津(よこつ)山麓の天然アルカリ水を用いて醸造されている地ビールブランドです。
大沼ビールの「ケルシュ」は、苦味は弱めながらしっかりとした味わいが魅力。キレがよく、すっきりとした後味で、エールビールならではの豊かな香りもたのしめます。
「大沼ビール ケルシュ」は、2009年インターナショナル・ビアコンペティションで金賞を受賞しています。
製造元:株式会社ブロイハウス大沼・大沼ビール
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「ケルシュ」のおすすめの銘柄
小麦麦芽のやさしい香りが魅力の「ガッフェル ケルシュ」
ガッフェルは、ドイツで1302年からビール造りを行っている歴史ある醸造所。製造の7割以上が樽詰めビールというこだわりを持ち、正統派の「ケルシュ」を造り続けています。
「ガッフェル ケルシュ」は、大麦だけでなく小麦の麦芽も使用して造られるため、フルーティーな香りが豊か。白いパンのようなやわらかい香りも漂います。やさしいアロマながら、甘味の少ないドライな味わいで、炭酸感は強め。ほのかな苦味が後味に残るキレのよさも魅力のビールです。
販売元:大榮産業株式会社
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正統派の味わいをたのしめる「フリュー ケルシュ」
「フリュー ケルシュ」は、ドイツ・ケルンで100年以上も続く、家族経営のフリュー醸造所で造られているエールビールです。ドイツ・ハラタウ産のホップとモルト酵母のみを原料に、地元の軟水で仕込み、豊かな香りの透明度の高いビールに仕上げられています。
「フリュー ケルシュ」も、フルーティーで華やかな香りが魅力。口に含むとまろやかなハチミツのような甘味が感じられ、ホップ由来の心地よい苦味も余韻としてたのしめます。
販売元:昭和貿易株式会社
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「ケルシュ」は、日本の「ピルスナー」のように飲みやすいビールなので、いつもとちょっと違う味をたのしみたいときなどに、ぜひ試してみてください。