「ホワイトビール」ってどんなビール? おすすめの銘柄も紹介
「ホワイトビール」や「白ビール」と呼ばれるビールを知っていますか? 多くのホワイトビールは白濁していて、まろやかで飲みやすいのが特徴です。今回はホワイトビールの原料や味わい、名前の由来とともに、おもなビアスタイルやおすすめ銘柄を紹介します。
- 更新日:
「ホワイトビール」とは?
Viacheslav Rubel/ Shutterstock.com
「ホワイトビール」は小麦麦芽を使ったビール
「ホワイトビール(白ビール)」は、おもに小麦(小麦麦芽)を原料に造られるビールです。
小麦は、古くからビールの醸造に使われてきました。小麦のビールは人気で、収穫された小麦の多くがビール造りに回され、パンを作るための小麦が不足することもあったそう。国王が使用量を制限してもあまり効果が上がらないほど、親しまれていたようです。
とはいえ、ビールの原料としての小麦には、麦芽にするときに壊れやすい、粘性が強くてろ過しにくいといった扱いづらい面があります。そのため近年は、小麦だけでビールが造られることはほとんどなく、一定の割合で大麦と混ぜ合わせて造られています。
「ホワイトビール」の味わいの特徴
原料の小麦には「グルテン」というタンパク質が多く含まれているため、ホワイトビールは泡持ちがよいのが特徴。また、独特の酸味があり、さわやかなのどごし、まろやかな口当たりをたのしめるのも持ち味です。
ホワイトビールは、小麦麦芽由来のバナナのようなフルーティーな香り、やわらかく苦味の少ない味わいも魅力。ビールの苦味が苦手な人からも「飲みやすい」と人気を集めています。
「ホワイトビール」の名前の由来
ホワイトビールには、その名のとおり白っぽい見た目のものがある一方で、黄金色で「白」とはいえないものもあります。それではなぜ「ホワイト」なのかというと、ホワイトビールが誕生したころ、ほとんどのビールの色が濃かったためです。
当時主流であったビールと比較すると、ホワイトビールは液体の色が薄いうえ、タンパク質や酵母で白く濁っていたことから、「ホワイト」と呼ばれるようになったと考えられています。
ちなみに、ホワイトビールは国や地域によって、小麦を意味する「ヴァイツェン(独)」や「ウィート(英)」、白色を意味する「ヴァイス(独)」「ヴィット(蘭)」「ブランシュ(仏)」などと呼ばれることもあります。
「ホワイトビール」のおもなビアスタイル(ビールの種類)
Wirestock Creators/ Shutterstock.com
フルーティーな味わいが人気のビアスタイル「ヴァイツェン」
一口に「ホワイトビール」といっても、さまざまなビアスタイルがあります。「ヴァイツェン」は、よく知られたホワイトビールのひとつです。
ドイツに「ヴァイエンシュテファン醸造所」という世界最古級のブリュワリーがあり、この醸造所が1040年に造ったビールが「ヴァイツェン」の始まりといわれています。
白濁した液体の色とクリーミーな泡が「ヴァイツェン」の特徴。味わいはフルーティーで、バナナやバニラ、クローブを思わせる甘い香りが漂います。口当たりはやわらかく苦味はほとんどないため、苦いビールが苦手な人にも好まれる傾向があります。
スパイシーな香りが魅力のビアスタイル「ベルジャンホワイト」
「ベルジャンホワイト」は、14世紀ころからベルギーのヒューガルデン村で製造されてきた古典的なビールです。醸造が途絶えた時期もありましたが、1965年、村で牛乳屋を営むピエール・セリスが復活させました。
白濁した見た目が特徴で、クリーミーな味わいと、さわやかな酸味を味わえます。また、煮沸時にコリアンダーやオレンジピールで風味づけするのが「ベルジャンホワイト」の伝統的な醸造法。この製法によって生み出されるスパイシーな香りがビール好きをたのしませています。
「ホワイトビール」おすすめの銘柄
Kirill Z/ Shutterstock.com
やわらかいフルーティーな香りが魅力の「箕面ビール ヴァイツェン」
大阪府箕面(みのお)市の箕面ビールが造る「ヴァイツェン」は、ヴァイツェン酵母によるバナナやクローブを思わせるフルーティーな香りが特徴。ほかの「ヴァイツェン」と比べると香りはやや控えめで、爽快な後味とやわらかい飲み口が魅力です。
箕面市には、日本の滝百選にも選ばれている「箕面滝」があり、上質な水がビール造りにも大いに活用されています。また、かつて箕面山ニホンザルの生息地であったことから、「おさる」が箕面ビールのトレードマークになっています。
製造元:株式会社箕面ビール
公式サイトはこちら
「ベルジャンホワイト」を代表する銘柄「ヒューガルデン ホワイト」
「ヒューガルデン ホワイト」は、ベルギーの首都ブリュッセルから車で1時間ほどの場所にある、ヒューガルデン醸造所が造るビールです。
前述のビアスタイル「ベルジャンホワイト」を代表する銘柄で、見た目は白く濁った明るいイエロー。オレンジピールとコリアンダーシードのコンビネーションによる独特の香りが漂い、酸味とともにフルーティーな味わいもたのしめる、さわやかな飲み心地のビールです。
なお、専用のグラスは釣り鐘を逆さまにしたような形をしていて、手の熱がビールに伝わらないよう厚みのある造りになっています。
製造元:ヒューガルデン
公式サイトはこちら
世界が認めた日本産ホワイトビール「ホワイトベルグ」
ベルギーのホワイトビールの味わいを参考に、サッポロビールが造りだした新ジャンルが「ホワイトベルグ」です。
上質な旨味の詰まったベルギー産麦芽を使用し、豊かな味わいを実現。さらに小麦麦芽が、きめ細やかな泡とさわやかな飲み口を演出しています。コリアンダーシードによるフローラルな香りとオレンジピールによる柑橘系の香り、上面発酵酵母による華やかな香りが印象的な新ジャンルです。
「ホワイトベルグ」は、ベルギーのブリュッセルに本部を置く「International Taste Institute(国際味覚審査機構)」が実施するコンクールにおいて、最高レベルの「優秀味覚賞 三ツ星」を2014年の発売以来7年連続で受賞しています。
ホワイトビールの本場ベルギーの、いわば「お墨つきのビール」というわけです。
製造元:サッポロビール
公式サイトはこちら
「ビールは苦いもの」というイメージを持っていて、まだホワイトビールを飲んだことのない人は、この機会にぜひ試してみてはいかがでしょう。フルーティーでまろやかな味わいに、魅了されるはずですよ。