「黄金千貫(コガネセンガン) 」とは?芋焼酎の原料のなかでも代表格とされるサツマイモについて解説!

「黄金千貫(コガネセンガン) 」とは?芋焼酎の原料のなかでも代表格とされるサツマイモについて解説!
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「黄金千貫(コガネセンガン)」は多くの芋焼酎の原料として使用されています。この記事では、黄金千貫(コガネセンガン)が芋焼酎のイメージを変えたと言われる理由や、おすすめの3銘柄について紹介します。

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黄金千貫(コガネセンガン)の登場が芋焼酎を変えた?

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黄金千貫(コガネセンガン)の誕生は昭和41年

黄金千貫(コガネセンガン)は、芋焼酎の原料に使われるサツマイモの品種の代表格。農林水産省が発表したいも・でん粉に関する資料「かんしょ(サツマイモ)品種の普及状況」(令和元年度版)によると、平成29年の品種別の作付けシェアは黄金千貫が22.2%で堂々1位。以下、生食用のベニアズマ(15.7%)、べにはるか(13.1%)、高系(こうけい)14号(11.8%)、でん粉原料用のシロユタカ(9.8%)と続きます。

日本で一番作られているサツマイモの品種、黄金千貫が誕生したのは、昭和41年(1966年)のこと。「農研機構」の略称で知られる国立の研究機関、九州沖縄農業研究センター(当時は九州農業試験場)にて、当時の所長で無類の酒好きで知られた農学博士・坂井健吉(さかいけんきち)氏によって育成され、「かんしょ農林31号」として品種登録されました。

黄金千貫(コガネセンガン)ってどんなサツマイモ?

黄金千貫は、在来品種とジャワ島由来の品種を交配した「鹿系7ー120」と、アメリカのでん粉原料用品種「L-4-5」から生まれたサツマイモ。黄金色の皮と淡黄色(黄白色)の果肉が特徴で、でん粉の粒子が細かく舌触りもよいことから、芋焼酎の原料だけでなく食用芋としても使われています。

黄金千貫という名前の由来には諸説あり、「黄金色のイモがざくざく穫れる」「黄金を千貫積むほど値打ちがあるイモ」といった説が語り継がれています。※「貫」は銭を数える単位です。

黄金千貫は、「ざくざく穫れる」といわれるように収穫量が多く、それまで芋焼酎の原料芋の主流とされていた「農林2号」と比べてアルコール発酵に必要なでん粉の含有量が多いことから、芋焼酎の原料の新定番として急速に普及していきました。

近年では、「サツママサリ」などの純アルコール収得量(純アルコールを収得できる量)が高い新品種が登場し、注目を集めていますが、黄金千貫の人気は今も健在です。

黄金千貫で造られる焼酎は味わいの面でも人気です。次で、焼酎ファンをうならせる、味わいの魅力を見ていきましょう。

黄金千貫(コガネセンガン)で造った芋焼酎の魅力

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黄金千貫(コガネセンガン)は芋焼酎の味わいを上品に

黄金千貫はでん粉の歩留まり率(生産割合)が高いことから、効率よくアルコールを造り出せる理想的な原料芋として多くの造り手に重宝されてきました。しかしこの品種の魅力は、それだけに留まりません。

黄金千貫を原料にした芋焼酎は、ふんわりとしたやさしい香りとキレのよい甘味が特徴で、バランスのよさに定評があります。かつて芋焼酎は独特の芋臭さから、「クセが強い酒」と敬遠されることもありましたが、黄金千貫の上品な香りと甘さのバランスによって多くの人に受け入れられるようになりました。もちろん減圧蒸留など、蒸溜技術発達の影響も見逃せませんが、「黄金千貫は飲み手の認識を書き換えた芋」といっても過言ではないでしょう。

■黄金千貫(コガネセンガン)は芋焼酎の圧倒的な主流に

黄金千貫は、その優れた醸造適性から、多くの焼酎蔵で芋焼酎の原料として用いられています。芋焼酎の人気が高まり、ニーズが多様化した近年は、ジョイホワイトをはじめとする40種以上のサツマイモの品種が焼酎の原料に使われていますが、そんななかでも黄金千貫の人気は圧倒的。その割合は、9割におよぶともいわれています。

黄金千貫(コガネセンガン)で造った芋焼酎を飲み比べ

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白麹で仕込んだ黄金千貫の芋焼酎

黄金千貫は芋焼酎の原料芋として圧倒的な人気品種で、多くの銘柄に用いられていますが、種麹の種類によって印象がガラリと変わります。まずは白麹仕込みのおすすめ銘柄を紹介しましょう。

【白霧島(しろきりしま):霧島酒造(宮崎県)】
1933年に商標登録された霧島酒造の代表銘柄。かつては「霧島」の名で親しまれ、「白霧島」への名称変更を機にリニューアル。白麹仕込みならではの飲みやすさはそのままに、酵母の改良や芋麹で造った原酒のブレンドにより香りとコク、甘味を引き出した、なめらかな口当たりの1本です。食中酒にも最適。

製造元:霧島酒造株式会社
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【小鹿(こじか):小鹿酒造(鹿児島県)】
鹿児島県の契約農家が栽培する高品質な黄金千貫と国産の麹米、地下100メートルから組み上げた清涼な水を使い、ていねいに造り上げた薩摩焼酎。ふわっとしたイモの香りと、ほのかな甘味が特徴です。ぎりぎりまで雑味を抑えたすっきりとした味わいは、どんな料理にもマッチ。

製造元:小鹿酒造株式会社
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【岳宝(がくほう) 白:天星酒造(鹿児島県)】
1901年創業の老舗蔵が手がける特約店限定の薩摩焼酎。白麹らしいさわやかで軽やかな風味と適度な甘さが特徴ですが、特筆すべきは鹿児島県でも無二の酒水として知られる硬度35mg/L 以下の超軟水「菱田の地下水」がもたらす口当たりのなめらかさ。料理の味を邪魔しないキレのよさも高ポイントです。

製造元:天星酒造株式会社
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黒麹で仕込んだ黄金千貫の芋焼酎

黄金千貫の魅力を堪能するなら、黒麹仕込みの芋焼酎がおすすめです。おすすめの3銘柄はこちら。

【黒麹仕込 佐藤:佐藤酒造(鹿児島県)】
黄金千貫と霧島山系の天然水を使い、素材の風味や香りを素直に表現したプレミアム級の芋焼酎銘柄。その味わいは、「幻の焼酎」と評される芋焼酎3Mに引けを取らないとの声も。骨太とも言えるボディと力強い香り、インパクトのある甘さといった黒麹仕込みらしい個性に、繊細で滑らかな舌触りを見事に調和させた、飲み応えのある逸品です。

製造元:佐藤酒造有限会社
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【白露黒麹(しらつゆくろこうじ):白露酒造(鹿児島県)】
享保15年(1730年)創業の老舗・白露酒造が、昔ながらの製法で醸し続ける定番商品。黒麹仕込みならではの芳醇な香りとイモの力強い風味、みずみずしさと深い甘味が感じられる1本です。国土交通省「水の郷百選」認定の山々の麓より湧き出る天然水と1年の熟成期間がもたらす絶妙なのどごしを堪能してみては。

製造元:白露酒造株式会社
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【魔界への誘い(まかいへのいざない):光武酒造場(佐賀県)】
元禄元年(1688年)創業の光武酒造場が展開する芋焼酎ブランドの人気商品。インパクト超ド級の銘柄名は、「黒麹のダークなイメージと、魔界へ誘われてしまうかのような飲みやすさ」から。黒麹仕込み特有の甘い香りをもちながら、まろやかな味わいに仕上げた、飲み過ぎ注意の一品です。

製造元:合資会社光武酒造場
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※あまりに有名な「黒霧島(くろきりしま):霧島酒造(宮崎県)」は、その名のとおり黒麹仕込みです

黄麹で仕込んだ黄金千貫の芋焼酎

蒸しいものような甘い香りが特徴の黄金千貫から、フルーティーで華やかな香味を引き出すのが黄麹の底力。芋焼酎を飲み慣れていない人は、黄金千貫×黄麹の組み合わせからスタートしてみては。

【黄猿(きざる):小正醸造(鹿児島県)】
本格焼酎「小鶴」で知られる小正醸造が手がける黄麹仕込みの芋焼酎。黄金千貫を完熟させることで、素材のもつ潜在能力を最大限に引き出した、香味豊かな1本です。マスカットを思わせるフルーティーな味わいは、ロックや水割り、ハイボールでさらにおいしく。

製造元:小正醸造株式会社
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【富乃宝山(とみのほうざん):西酒造(鹿児島県)】
「宝山」シリーズでおなじみの老舗焼酎蔵・西酒造が、厳選された黄金千貫を手間暇かけて磨き上げ、低温管理でていねいに仕込んだ黄麹仕込みの芋焼酎。柑橘系のさわやかな香りとキレのいい口当たり、そして黄金千貫ならではの深い旨味がバランスよく共存したおすすめの1本です。(ちなみに「吉兆宝山」は黒麹仕込みです)

製造元:西酒造株式会社
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【黄麹仕込 伝(でん):浜田酒造(正しくは濵田酒造・鹿児島県)】
「赤兎馬」シリーズで名高い濵田酒造(はまだしゅぞう)が、甕(かめ)仕込み・木桶蒸溜・甕貯蔵の伝統製法にこだわり抜いた、蔵を代表する一押し銘柄。飲み口はやわらかで、潤いのある後口は洗練の極みといっても過言ではありません。黄金千貫と黄麹、そして伝統の技が織りなす味わいを五感で味わって。

製造元:濵田酒造株式会社
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黄金千貫は、造り手の技や感性が生き生きと宿る最高の素材。蔵ごとの個性やこだわりに親しみ、またご自身の好みの傾向を再認識するためにも、いろいろ飲み比べてみては。

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