黄麹で仕込む本格焼酎の魅力とフルーティーな香り【徹底解説】
フルーティーで華やかな香りが特徴の黄麹仕込み本格焼酎。焼酎通やビギナーからも注目されるその魅力と、黒麹や白麹との違いを詳しく解説します。黄麹の歴史やおすすめ銘柄もご紹介します。
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黄麹、黒麹、白麹…焼酎造りに欠かせない麹の役割
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焼酎造りに欠かせない麹の役割
「麹(こうじ)」は、焼酎造りに必要不可欠な材料のひとつです。麹の役割は、芋や麦、米などの主原料に含まれるデンプンを糖に変えること。この糖を酵母が分解して、アルコールを生み出します。
麹は、蒸した米や麦などにコウジカビを植え付けて繁殖させたものです。麹を造る「製麹(せいきく)」工程で用いられるのが「種麹(たねこうじ)」。種麹を米にまぶせば「米麹」、麦にまぶせば「麦麹」となります。
黄麹、黒麹、白麹は、種麹の種類
麹造りに用いられる種麹には、黄麹、黒麹、白麹の3種類があり、どの種麹を用いるかによって、焼酎の味わいが大きく変化します。それぞれの特徴を簡単に説明しましょう。
【黄麹】
黄麹は、長年、日本酒造りに使われてきた種麹。明治の終わりごろまでは、ほとんどの焼酎がこの黄麹で造られていました。
【黒麹】
沖縄で泡盛造りに用いられていた麹。クエン酸を分泌する特徴があり、腐敗のもととなる雑菌を抑制するため、安全な焼酎造りを可能にしました。
【白麹】
黒麹から突然変異したのが白麹。クエン酸の分泌に加え、糖化能力にも優れ、まろやかでやわらかな味わいの焼酎になります。
黄麹の特徴とその歴史を知ろう!
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黄麹の衰退と復活の歴史をたどる
黄麹は、古くから日本酒や味噌、しょうゆなどの醸造に用いられてきた種麹です。
黒麹や白麹が登場するまでは、種麹と言えば黄麹のことでしたが、黄麹はクエン酸を分泌しないため、焼酎造りには雑菌による腐敗のリスクがつきまといました。このため“近代焼酎の父”と呼ばれる河内源一郎氏によって黒麹が発見され、さらに白麹が登場すると、黄麹はほとんど姿を消してしまいます。
しかし、焼酎の多様化が進む2010年ごろから、黒麹や白麹とは異なる魅力を持つため、衛生的な環境下で黄麹仕込みの焼酎造りに挑戦する蔵元も登場しています。
黄麹仕込みの本格焼酎に注目が集まる理由
黄麹で造る焼酎には、日本酒の吟醸香のようなフルーティーで華やかな香りがあります。
素材の特徴が生きた濃厚な味わいの黒麹仕込みの焼酎と比べれば、淡麗かつ軽快な飲み口。雑味が少なくスッキリした白麹仕込みの焼酎と比べれば、あっさりと飲みやすい傾向があります。こうした黄麹ならではの魅力が、焼酎通のみならず、焼酎ビギナーからも注目を集めています。
黄麹焼酎のおすすめはこちら
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黄麹仕込みの焼酎銘柄をピックアップ
黄麹を使った焼酎造りは、南九州を中心に各地に広がりつつあります。ここでは、なかでもオススメの3銘柄を紹介します。
【海(うみ):大海(たいかい)酒造(鹿児島県)】
焼き芋など食用に適した原料芋「ベニオトメ」と黄麹を使用し、低温発酵&減圧蒸溜で仕上げた、焼酎ビギナーにイチオシの芋焼酎。フルーティーかつ華やかな香りと、爽快な味わいが人気の秘密です。
【がばい 黄麹仕込み:天山酒造(佐賀県)】
佐賀県屈指の日本酒蔵、天山酒造が手がける焼酎銘柄が、佐賀弁で「すごい」を意味する「がばい」。「がばい 黄麹仕込み」は、佐賀県産大麦「ニシノホシ」を黄麹で仕込んだ麦焼酎で、麦の香ばしさとスッキリとした飲み口が魅力です。
製造元:天山酒造株式会社
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【前田利右衛門(まえだりえもん):指宿酒造(鹿児島県)】
江戸時代中期に琉球から日本へサツマイモを持ち込んだとされる人物の名を冠した、黄麹造りの薩摩焼酎です。黄麹由来の吟醸香はもちろん、上品な味わいと口当たりがたのしめます。
製造元:指宿酒造株式会社
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黄麹で仕込んだ焼酎のフルーティーな香りとすっきりライトな味わいは、一度飲んだらクセになります。ロックや水割り、お湯割りなど、さまざまな飲み方を試して、黄麹の魅力を堪能してください。