佐賀の焼酎【天山(てんざん)】佐賀を代表する清酒蔵が造る純米酒粕焼酎
「天山」と聞いて「焼酎ではなく日本酒の銘柄では? 」と思う人もいるでしょう。確かに「天山」は明治以来の歴史をもつ老舗蔵が良質な酒米と天山山系の名水で醸す、こだわりの清酒ブランド。しかし近年では、純米酒の酒粕を使用した純米酒粕焼酎も「天山」の銘柄で販売し、おおいに注目を集めています。
- 更新日:
「天山」の造り手は佐賀県指折りの日本酒蔵
mTaira/ Shutterstock.com
「天山」を造るのは、“九州の小京都”と呼ばれる佐賀県小城市において、文久元年(1861年)以来の歴史を積み重ねてきた天山酒造です。
祇園川の清流を利用した水車業を営み、製粉や製麺、酒米の精米などを手がけていた七田家が、酒造業に乗り出すことになったのは、明治8年(1875年)のこと。廃業する蔵元から酒蔵を引き取ったことがきっけでした。
戦後の復興ムードに沸く頃には、農業者のリーダー育成をめざす専門の農業大学を蔵元自らが創立。さらに当時は希少だった酒造好適米「雄町」の栽培を自社所有の田んぼで手がけるなど、こだわりの酒造りを貫いてきました。
昭和40年代には、当時はまだほとんど知られていなかった純米生酒(無添加清酒)の醸造に挑戦。純米酒の普及活動にも意欲的に取り組んだといいます。
このように、長きにわたって清酒業界を牽引してきた天山酒造は、地元・佐賀や九州はもちろん、全国の日本酒ファンから支持される存在。蔵の名を冠した主力銘柄「天山」に加えて、酒造好適米「山田錦」の魅力を引き出した「七田」をはじめ、さまざまなブランドで国内外の日本酒コンテストを賑わせています。
「天山」は純米酒の酒粕から生まれた純米酒粕焼酎
Botamochy/ Shutterstock.com
「天山」の蔵の前を流れる祇園川は、源氏ボタル発祥の地として知られています。祇園川の水源である天山山系の水は、鉄分がなく、カルシウムやマグネシウムが豊富な硬水。天山酒造では、酒造りに適したこの名水を、天山の中腹から蔵まで導き、仕込み水に使用しています。
「天山」をはじめ、天山酒造の日本酒や焼酎は、いずれもこの名水を用いて、米や麦など厳選した原料を醸して造られます。なかでも異色なのが、酒粕を原料とした「純米酒粕焼 天山」です。
酒粕とは、日本酒の製造工程で、醪(もろみ)を搾った後に残る、いわば搾りカス。粕汁や甘酒、酒粕付けなど、料理の材料として利用されていますが、これを原料に造った酒が酒粕焼酎(粕取り焼酎)です。
酒粕焼酎といえば、余った酒粕を再利用するお酒というイメージがありましたが、「純米酒粕焼酎 天山」は品名からもわかるように、純米酒の酒粕だけを使用した贅沢な酒粕焼酎です。
天山酒造の日本酒は、純米酒に限らず、佐賀県産の良質な酒米を厳選して使用。地元の生産農家とともに「天山酒米栽培研究会」を立ち上げるなど、酒米栽培技術の研鑽に余念がない蔵元だけに、酒米の質には定評があります。
「純米酒粕焼酎 天山」は、純米酒「天山」の特徴である米本来の香りや旨味を感じられる一方で、酒粕焼酎ならではの風味もたのしめます。水やお湯で割ってもおいしくいただけますが、ロックで飲むことで、より「天山」シリーズならではの魅力が堪能できます。
「天山」だけではない天山酒造の焼酎ラインナップ
Norwalk/ Shutterstock.com
「天山」の蔵元、天山酒造は、清酒蔵というイメージが強いものの、じつは「純米酒粕焼酎 天山」以外にも麦焼酎や米焼酎を造っており、日本酒好きだけでなく焼酎好きからも支持される蔵元です。
そんな天山酒造の焼酎ラインナップのなかでも、代表格とされるのが、「とても」「すごく」を意味する佐賀の方言を銘柄名にした「がばい」。ここでは、おすすめの2本を紹介しましょう。
【がばい 黄麹仕込み】
佐賀県産の大麦「ニシノホシ」を、同じく佐賀県産の米の黄麹で仕込んだ、飲みやすい麦焼酎。麦本来の香ばしさとスッキリとした飲み口が特徴です。
【純米焼酎 がばい】
佐賀県産の良質な米を原料に、黄麹と吟醸酵母で低温発酵させた米焼酎。吟醸酒のようなはなやかな香りと、すっきりとした味わいは、焼酎ファンはもちろん、日本酒好きも満足させること間違いなし。
「天山」銘柄では唯一の焼酎「純米酒粕焼酎 天山」は、プロレスラーのマスクを彷彿させるラベルの文字も印象的。ホームパーティーやお土産にもおすすめしたい1本です。
製造元:天山酒造株式会社
公式サイトはこちら
幻の日本酒【七田(しちだ)】米本来の旨味を感じる酒