【佐賀の日本酒|七田(しちだ)】米の旨味を感じる純米酒の魅力に迫る!
「七田」をご存知ですか?佐賀県の天山酒造が生み出した日本酒は、米本来の旨味を引き出した純米酒です。今回は、驚きの造り方や、なぜ七田が特別なのかを解説します。
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「七田」の造り手「天山酒造」は、有形登録文化財に登録される歴史ある酒蔵
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「七田」の造り手である天山酒造は、酒造りで知られる佐賀の地において、江戸時代末期の文久元年(1861年)以来の伝統を築いてきました。
天山酒造を営むのは、「七田」という銘柄の由来でもある七田家です。もともとは水車業を営んでいましたが、酒造りをはじめたのは明治の初めごろ。廃業する蔵元から「酒造道具だけでなく酒蔵もろとも買い取って欲しい」と頼まれ、やむなく引き受けたところ、周囲から「七田家が酒造を始めるらしい」とのウワサが広がり、成りゆきで始めたのだとか。
こうしたおもしろい歴史をもつ天山酒造ですが、二代目蔵元が建築に強いこだわりがあり、その指揮によって作られた蔵や水車、水路などは、国の有形登録文化財や佐賀県遺産に認定され、その多くが今も現役として活躍しています。
七田家の「こだわりのDNA」は、もちろん酒造りにも活かされており、天山酒造の代表作である「七田」につながっているのです。
「七田」は、「逆転の発想」から生まれた7割5分の純米酒
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「七田」の日本酒としての特徴は、7割5分(75%)という意外なほどの精米歩合(せいまいぶあい)の高さにあります。
先述したとおり、精米歩合とは、「原料となる玄米を削った(精米した・磨いた)あと、玄米の重量を100としてどれくらい残したか」をパーセントで示す指標。なので精米すればするほど精米歩合は低くなります。ただし「たくさん精米した」という意味で「高精白」という表現もありますので、混乱しないよう注意しましょう。
酒造りでは、雑味のないスッキリした日本酒を造るために、お米の外側にある、タンパク質や脂質を多く含んだ部分を削り取ります。日本酒の造り手の間では、この工程を「米を磨く」と表現しています。
主食として食べている米の精米歩合は95%ほどですが、日本酒造りの場合、削れば削るほど(精米歩合が低いほど)上質な酒と考えられており、精米歩合60%以下なら「吟醸」、50%以下なら「大吟醸」との表記が許されます。
もちろん、原料を削った分だけ「割高」になりますので、「精米歩合が低い(高精白)=高級品」という図式が定着しているわけです。
「七田」は、こうした日本酒造りの定石を、あえて打破することで生まれた、いわば常識破りの日本酒です。
そもそもの発想は、「使用するお米の品質が高ければ、磨き過ぎなくともおいしい日本酒ができるのでは?」というものでした。
このアイデアを実現するため、「山田錦」という好適米を用いて試行錯誤した結果、精米歩合が低くても雑味がなく、かえって米本来のおいしさを引き出した日本酒、すなわち「七田」が誕生したのです。
「七田」のキレ味は、ホタルの里の名水が生むキレ味
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「七田」が生まれた佐賀県小城市は、ホタルの舞う里としても知られています。ホタルは水のきれいな河辺でなければ生息できない生き物。ホタルが舞うということは、よい日本酒を造るための条件のひとつである名水に恵まれているということです。
小城市を流れる祇園川は、周囲の山々から流れてくる水を集めた清流で、その水系には「日本の名水百選」にも選ばれた清水の滝も含まれています。
その水質は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富で鉄分の含まれていない硬水。まさに酒造りに最適な水です。
天山酒造では、その名水を蔵まで引く水路を設けて、十分に使える環境を整えています。そんな水へのこだわりが、「七田」のキリッとした飲み口につながっているのでしょう。
「七田」は、造り手の米や水へのこだわりによって、繊細でありつつ、ふくよかさと、キレ味を備えた日本酒になっています。蔵元のこだわりの味を、ぜひ、味わってみてください。
製造元:天山酒造株式会社
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