エールビールとはどんなビール?初心者にもわかる特徴やビアスタイル、コンビニで買えるおすすめ商品も紹介

「エールビール」とは上面発酵で造られるビールの総称。「上面発酵ビール」とも呼ばれ、クラフトビールの多くはこのタイプに分類されます。ここではエールビールの特徴やラガービール(下面発酵ビール)との違い、おもなビアスタイル、コンビニで買えるおすすめ商品について紹介します。
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ビールは発酵方法で3つのタイプに分類されます。「エールビール」はそのひとつ。詳しくみていきましょう。
エールビールとは?

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エールビールは、上面発酵で醸造されるビールの総称。「ペールエール」や「IPA」「スタウト」「ヴァイツェン」をはじめ、クラフトビールの多くがこのタイプに分類されます。のどごしやキレが魅力のビールとは一味違った豊かな香りとコクが特長です。
以下で、詳しくみていきましょう。
エールビールは上面発酵で造られるビール
ビールのスタイル(ビアスタイル)は、その発酵方法によって「上面発酵ビール」「下面発酵ビール」「自然発酵ビール」の3種類に大別されます。
エールビールとは上面発酵酵母を使用して発酵を行う「上面発酵ビール」のことで、豊かな香りと味わいを特長に持ちます。「ペールエール」「IPA」「スタウト」「ヴァイツェン」など、多くのビアスタイルがエールビールに分類されます。
「下面発酵ビール」は下面発酵酵母を使用して発酵を行うビールの総称で、「ラガービール」と呼ばれています。この発酵方法で造られたビールはスッキリとして飲みやすい傾向にあり、「ピルスナー」「シュバルツ」「デュンケル」などが有名です。
「自然発酵ビール」は、醸造所の空気中や木樽に存在する野生酵母を発酵に使うビールのこと。ベルギーなどのごく一部の地域で造られるもので、「ランビック」が有名です。

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エールビールの香りと味わいが生まれる理由
エールビールの魅力のひとつであるフルーティーな香りと豊かな味わいは、こだわりのモルトやホップ選びに加えて、上面発酵という発酵方法などによってもたらされます。
エールビールに使われる上面発酵酵母は摂氏15〜25度と常温に近い温度で発酵し、発生した炭酸ガスとともにタンクの上のほうに浮かび上がります。この温度帯で発酵させることで、フルーティーな香りのもととなる酢酸エチルや酢酸イソアミル、カプロン酸エチル、乳酸エチルといった芳香性エステル成分など、香りのもととなる成分が多く生成されます。
エールビールの発酵期間は3〜5日。熟成期間も比較的短期間で終わらせるので、発酵由来の華やかな香りや豊かな風味はボトリング後もしっかりと残ります。

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普通のラガービール(下面発酵)との違いは?
日本で広く飲まれている大手ビールメーカーのビールは、その多くが「ラガービール(下面発酵ビール)」に分類されます。
下面発酵ビールに使用する下面発酵酵母は、摂氏10度前後と比較的低温で発酵し、タンクの底へ沈殿します。発酵期間は7〜10日、貯蔵期間は約1カ月と、エールビールに比べて長めです。
低温でじっくり発酵させることで、発酵の副産物であるエステル類などの生成が抑えられ、また長めの熟成期間にタンパク質やホップ成分のうち凝固したものは底へ沈むため、雑味の少ないスッキリとキレのある味わいに仕上がります。
エールビールとラガービールの違いは、以下の記事でも詳しく紹介しています。それぞれの歴史や特長、種類について知りたい人は、ぜひ読んでみてください。

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「ペールエール」と「エールビール」はどう違う?
「エールビール」と混同されがちなものに、「ペールエール」があります。
エールビールは、ビールの醸造法による大分類のひとつ。一方ペールエールは、18世紀にイギリスで発祥したビアスタイルで、エールビールの一種です。
当時よく飲まれていた褐色のビールよりも色が淡いことから、「ペールエール(Pale Ale)」と呼ばれるようになりました。「ペール」は「淡い」「薄い」を意味する言葉です。
エールビールの種類は豊富!おもなビアスタイル

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世界には150種類ほどのビアスタイルが存在するといわれ、その多くは「エールビール」か「ラガービール」に分類されます。
ここでは「エールビール」に焦点を絞り、日本で人気の高いビアスタイルについてみていきます。
ペールエール|フルーティーな香りとホップの苦味
「ペールエール」は、18世紀にイングランド中西部のバートン・アポン・トレントで生まれたイギリスの伝統的なビアスタイル。フルーティーな香りとホップ由来の強い苦味が特長です。
のちにアメリカに伝わり、アメリカンホップの強い香りを持つ「アメリカンペールエール(アメリカンスタイルペールエール)」が派生。これと区別するべく、イギリス生まれのものを「イングリッシュペールエール」と呼ぶこともあります。

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IPA|ホップの香りと強い苦味が魅力!アルコール度数はやや高め
「IPA」とは、「India Pale Ale(インディア・ペールエール)」の略。「ペールエール」から派生した人気のビアスタイルで、ホップ由来の華やかな香りと苦味、高めのアルコール度数が特長です。
18世紀末、イギリスからインドへ船でビールを輸送する際、腐敗防止策としてホップを大量に使用し、アルコール度数を高めたことから生まれた「IPA」は、世界中に広まり各地で進化。「アメリカンIPA」「インペリアルIPA」「セッションIPA」などテイストの異なる多彩な派生スタイルが誕生し、人気を集めています。

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ポーター|18世紀にロンドン生まれた黒ビール
18世紀前半にロンドンで発祥した黒ビール。古くなったブラウンエールに新しいブラウンエールとペールエールを混ぜた「スリースレッド」という飲み方が流行したころ、ロンドンのパブのオーナーが3種のエールビールをブレンドしたビールを発売。「ポーター」と呼ばれるようになりました。
現在は、濃い茶色でロースト麦芽由来のフレーバーが特徴の「ブラウンポーター」と黒色でコーヒーやチョコレートのような風味が魅力の「ロブスト・ポーター」があります。

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スタウト|ポーターから派生しアイルランドで確立した黒ビール
イギリス生まれの「ポーター」から派生し、アイルランドで洗練されたビアスタイル。麦芽化せずに焙煎した大麦を使用することで、真っ黒な見た目とロースト香、強い苦味を生み出しています。
「スタウト」も世界各地で独自の進化を遂げ、ロースト麦芽由来の苦味とドライな後味が魅力の「ドライ・スタウト」、香味が強く、アルコール度数が高めの「インペリアル・スタウト」、苦味を抑えた「スイート・スタウト」、牡蠣のエキスを使った「オイスター・スタウト」など、多彩な「スタウト」が市場を賑わしています。

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アンバーエール|アメリカ西海岸で生まれた琥珀色のエールビール
「アンバーエール」は、アメリカ西海岸で生まれたエールビール。アメリカ産のホップと高温で焙煎されたカラメル麦芽(カラメルモルト)で造られます。
「琥珀」を意味する「アンバー」は、琥珀色〜赤褐色の見た目から。ホップの強い香りと苦味、カラメルを思わせるロースト麦芽の風味も魅力です。

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ヴァイツェン|小麦麦芽を使ったドイツ生まれの白ビール
小麦麦芽を50パーセント以上使ったドイツの伝統的な白ビール。「ヴァイツェン」はドイツ語で「小麦」を表します。
クリーミーな泡と酵母由来のフルーティーかつスパイシーな香りが特長で、ホップ由来の香りは少なめ。苦味がほとんどないことから、ビールの苦味が苦手な人にも親しまれています。
ろ過していない白濁した「へーフェ・ヴァイツェン」、色が濃い目の「デュンケル・ヴァイツェン」、アルコール度数が高めの「ヴァイツェン・ボック」など多彩なバリエーションがあります。

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セゾンビール|ベルギー南部で古くから親しまれるフルーティーなビール
ベルギー南部発祥の伝統的なビアスタイル。「セゾン(Saison)」はフランス語で「季節」を表します。
農閑期に自家醸造し、夏の畑仕事の合間にたのしんだのが始まりとされ、フルーティーでスパイシーな風味と軽めの飲み口を特徴としています。
クラフトビール初心者におすすめ!コンビニで買えるエールビール
最後に、コンビニで入手可能なエールビールを紹介します。
よなよなエール|クラフトビールの王道の味わい

出典:よなよなエール公式サイト
クラフトビールの王道ともいえる味わいがたのしめるエールビール。アメリカ原産の人気アロマホップ品種「カスケード」がもたらす柑橘系のフレッシュな香りと、モルト由来のやさしい甘味、心地よいのどごしが魅力です。
製造元:株式会社ヤッホーブルーイング
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ドラフトギネス|ドライスタウト

出典:キリンホールディングス株式会社サイト
「スタウト」の代表的銘柄に、アイルランドの世界的ビールブランド・ギネス社の「ギネス オリジナルエクストラスタウト」が挙げられますが、こちらは「ドライスタウト」の代名詞ともいえる黒ビール。ビターチョコを思わせる甘くほろ苦い風味とクリーミーな泡、なめらかなのどごしが特長です。
製造元:キリンビール株式会社
商品詳細はこちら
銀河高原ビール|へーフェヴァイツェン

画像提供:株式会社ヤッホーブルーイング
小麦麦芽を50パーセント以上使用し、酵母をそのまま残した自然なまろやかさが魅力のヘーフェヴァイツェン。バナナやピーチ、クローブを思わせる酵母由来の奥深い香りとやさしい口当たりが堪能できます。苦味が少ないので、ビールが苦手な人やビール初心者にもおすすめです。
製造元:株式会社ヤッホーブルーイング
商品詳細はこちら
【番外編】IPA専門ブランド「J-CRAFT HOPPING」もおすすめ!

「HOPPING」は、ホップの華やかな香りと苦味のバランスがたのしめるIPA専門ブランド。ダブルIPAスタイルの「ガツんとIPA」、ニューイングランドスタイルの「ジューシーIPA」などの定番商品に加えて、フルーティーで飲みやすい「セッションIPA」、穏やかな苦味の「ももふわIPA」、さわやかな柚子風味の「ゆずふわIPA」、3つの限定品がラインナップ。フルーティーなホップの香りをたのしみたい人は、ぜひ味わってみてください。
豊かな香りと味わいが魅力のエールビールは、料理とのペアリングを探すのもたのしみのひとつ。といっても、ビアスタイルごとに相性のよい料理が異なるので、それぞれの記事で確認してみてください。エールビール全般に合うおつまみについては、以下の記事も参考になります。

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