「スタウト」は黒ビールの一種!種類や味の特徴、「ポーター」との違いも解説

「スタウト」は黒ビールの一種!種類や味の特徴、「ポーター」との違いも解説
出典 : Kirill Z / Shutterstock.com

「スタウト(Stout)」とは、おもに上面発酵で造られるアイルランド発祥の黒ビール。ロースト麦芽由来の真っ黒な色味と強い香味が特長です。今回は、「スタウト」の種類や味の特長、「ポーター」との違い、おすすめ銘柄、おいしい飲み方などを紹介します。

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「スタウト」は黒ビールのなかでも人気のビアスタイル。その特徴や魅力を余すところなく紹介します。

「スタウト(Stout)」とはどんなビール?

スタウトはポーターから派生した黒ビール

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「スタウト」とは、18世紀後半にアイルランドで生まれた黒ビール。ロンドンで人気があった「ポーター」から派生したビアスタイルで、エール(上面発酵)ビールに分類されます。

「スタウト」は真っ黒な見た目とナッツやチョコレート、コーヒーを思わせる香ばしい風味が特徴で、日本の酒類業界が定める公正競争規約では、「濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビールでなければ、スタウトと表示してはならない。」という表示基準が設けられています。

以下で詳しくみていきましょう。

「スタウト」は黒ビールの一種

「スタウト」は、黒ビールの一種。黒ビールとは濃色ビールの総称で、「スタウト」のほかに上面発酵(エール)ビールの「ポーター」や下面発酵(ラガー)ビールの「シュバルツ(シュヴァルツ)」などがあります。「スタウト」は基本的に「ポーター」と同じエールスタイルに分類されます。

ビールの色は、麦芽の種類や使用比率、麦汁製造工程の温度経過、仕込み水の成分、副原料などさまざまな要因に左右されますが、中等色から濃色のビールの色は、麦芽の色に大きく影響されます。「スタウト」の色味は、焦げるまでしっかりロースト(焙煎)し、焦げ色をつけた麦芽に由来しています。

黒ビールのなかでも「スタウト」の色はひときわ黒く、グラスに注ぐと、漆黒の液体と淡い色の泡のコントラストをたのしめるのも特徴です。

なお、日本で「スタウト」と表示するためには、日本洋酒輸入協会の定める公正規約上、以下の基準を満たす必要があります。

濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビールでなければ、スタウトと表示してはならない。

出典 一般社団法人 全国公正取引協議会連合会

ほとんどの場合、「スタウト」は上面発酵で造られますが、日本の公正競争規約には上面発酵でなければならないという規定はありません。実際、大手ビールメーカーから下面発酵のスタウトが発売されたことがありました。

ロースト麦芽と黒ビール

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「スタウト」はロースト麦芽独特の香ばしさや苦味が特徴

「スタウト」は、ローストした麦芽に由来するナッツやチョコレート、コーヒーのような香ばしい風味とコクが特徴です。「スタウト」にはさまざまな種類があり、なかには、カラメルの風味を持つものも。また、後味にロースト麦芽のドライな苦味が残るのも、「スタウト」の魅力といえるでしょう。

「スタウト」は「ポーター」から派生したビアスタイル

「スタウト」と「ポーター」は、どちらも上面発酵で醸造された、香ばしさが特徴の黒ビール。両者の違いは決定的な違いは、歴史的背景にあります。

「ポーター」が誕生したのは、1722年のこと。古くなって酸味が出たブラウンエールに、新しいブラウンエールとペールエールを加えた、ロンドンのパブ生まれの「エンタイア」というビールが人気を博します。これがのちに「ポーター」と呼ばれるようになり、アイルランドへ伝わって、ギネスビール社の創業者であるアーサー・ギネス氏によって、「スタウト・ポーター」へと進化します。

アーサー・ギネス氏は、当初、人気の「ポーター」を造ろうと研究していましたが、水などの違いから、アイルランドの首都ダブリンでの製品化は困難だと判断。また、原料の麦芽に税金がかかることもあり、節税のために「大麦を発芽させずにロースト(焙煎)する」という手法を編み出しました。

この麦芽化せずにローストした大麦「ローストバーレイ(ローステッドバーレイ)」を原料の一部に使用し、アルコール度数を高めたギネス氏のポーターは、「スタウト(強い)ポーター」と呼ばれるように。より色が濃く、香ばしい苦味を持つこのビールは、その後「スタウト」の名でロンドンを中心に大ヒット。瓶の製造技術が発達した19世紀には輸出先が拡大し、世界的に愛飲されるビールとなりました。

「スタウト」の種類や味の特徴

スタウトの種類と特徴

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世界中に広まった「スタウト」は、それぞれの国で独自の発展を遂げました。近年ではクラフトビールの流行も相まって、さまざまな「スタウト」が造られています。その種類をいくつか紹介しましょう。

◇ドライ・スタウト
甘味は少なく、コーヒーを思わせる香ばしさや苦味、ドライな後味が特徴。現在主流のスタウトで、単に「スタウト」というと、このスタイルを指します。アルコール度数は4〜5.5%程度。

◇インペリアル・スタウト
アルコール度数が7~12%と高めで、味わいや香りも強め。木樽で熟成されているものもあります。

◇ミルク・スタウト
乳糖を加え、甘くまろやかな味わいにしたクリーミーな口当たりのスタウトです。

◇スイート・スタウト
ローストの苦味が抑えられた甘い味わいのスタウトで、「クリーム・スタウト」とも呼ばれます。チョコレートやカラメルの香りが特徴。

◇オイスター・スタウト
牡蠣の身と殻を煮だしたエキスを使い、深みのある味わいに仕上げられているスタウトです。

◇オートミール・スタウト
原料の一部にオーツ麦を使用したスタウトで、なめらかな舌触りが特徴です。

◇フォーリンスタイル・スタウト
ドライ・スタウトよりアルコール度数と甘味を強くしたスタウトです。

「スタウト」の有名&おすすめ銘柄

「スタウト」の有名銘柄とおすすめ銘柄を紹介します。

ギネス オリジナルエクストラスタウト|スタウトの原点

ギネス オリジナルエクストラスタウト 330mlびん

出典:キリンホールディングス株式会社サイト

アーサー・ギネス氏が最初に生んだギネスのレシピを再現した伝説の黒ビール。スタウトの原点ともいうべき1本です。

豊かなロースト香とキレのあるさわやかな苦味、フルーツを思わせる風味をたのしんでください。

アルコール度数:5%
原産国:アイルランド
内容量:330ml

国内販売元:キリンビール株式会社
商品詳細はこちら

箕面ビール スタウト|受賞歴多数の人気スタウト

箕面ビール スタウト

出典:株式会社箕面ビールONLINE STORE

大阪・箕面市のブルワリー、箕面ビールのフラッグシップ。コーヒーやビターチョコレートを思わせる焙煎モルトのフレーバーと、クリーミーな飲み口、ドライな後味にこだわった、飲み飽きしない逸品です。

「World Beer Award 2009」「World Beer Awards2014」世界金賞のほか、受賞歴複数。

アルコール度数:5.5%
原産国:日本
内容量:330ml

製造元:株式会社箕面ビール
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三陸牡蠣のスタウト|牡蠣の身と殻を使ったオイスター・スタウト

スタウト

vzwer / Shutterstock.com

造り手のいわて蔵ビールは、岩手県の老舗蔵元、世嬉の一(せきのいち)酒造をはじめ地元企業数社で立ち上げたクラフトビールブランド。「三陸牡蠣のスタウト」は、三陸広田湾産牡蠣の身と殻を使った濃厚さが魅力のオイスター・スタウトです。

「ジャパン・アジア・ビアカップ 2006(現・The Asia Beer Cup)」金賞、「World Beer Cup 2008」銀賞受賞。

アルコール度数:7%
原産国:日本
内容量:330ml

製造元:いわて蔵ビール
公式サイトはこちら
商品詳細・通販はこちら

「スタウト」のおいしい飲み方

スタウトのおいしい飲み方

Ihor Bulyhin / Shutterstock.com

「スタウト」の魅力は、なんといってもその香りです。

香りのもととなるニオイの分子は常温で気化します。温度が上がるとニオイの分子の揮発性が高まるため香りを感じやすくなりますが、温度が下がると揮発性が下がって香りを感じにくくなります。

「スタウト」独特の香りを存分にたのしむためには、冷やしすぎはNG。11〜15度程度を目安に、少しぬるめの温度帯で、ゆっくり味わいながら飲んでみてください。

「スタウト」に合うおつまみは?

スタウトとおつまみ

Shebeko / Shutterstock.com

濃厚な香味が魅力の「スタウト」には、以下のようなおつまみがよく合います。

◆イギリスやアイルランドの伝統料理
イチオシは、ローストビーフやフィッシュアンドチップスなど、「スタウト」の故郷で育まれた伝統料理。この地域で古くから食されている生牡蠣なども、「スタウト」と相性抜群です。

◆スイーツ
一度は試したいのが、スイーツです。なかでも「スタウト」と引き立て合うのは、ナッツやチョコレート、コーヒーと合うスイーツ。さまざまな組み合わせを試して、お気に入りを探してみてください。

◆色や味の濃いおつまみ
濃色のビールには、濃色のおつまみがマッチします。ステーキやビーフシチューなどの肉料理、カレーなどもおすすめです。
また、香味が濃厚な「スタウト」には薄味のおつまみよりも、ビールに負けない濃い味つけの料理のほうがよく合います。

「スタウト」は、強い香味が魅力の黒ビール。ドライな後味のものから甘い風味のものまでさまざまな種類があるので、機会があったら飲み比べて、好みの「スタウト」を見つけてみてくださいね。

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