大分に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【九州編】

大分に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【九州編】
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大分県は日本酒よりも焼酎のイメージが強いかもしれませんが、じつは古くから名酒の産地として全国的な知名度を誇っています。温暖な気候で育った良質な米と、温泉県ならではの名水を活かした大分の酒造りの特徴と、おすすめの大分の地酒を紹介します。

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大分県の日本酒のルーツ「豊後練貫酒」と「麻地酒」

大分県の日本酒のルーツ「豊後練貫酒」と「麻地酒」

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大分の日本酒造りは、室町時代の日記にも記録

大分県は、かつては豊後(ぶんご)の国と呼ばれ、古くから知る人ぞ知る日本酒の名産地でした。
大分の酒造りが記された最古の文献とされるのが、室町時代の応仁2年(1468年)に京都・東福寺の僧侶が記した「壁山日録(へきざんにちろく)」という日記。そこには「豊後の練貫酒(ねりぬきざけ)」というお酒が紹介されています。
練貫酒とは、米やもち米を発酵させたペースト状のお酒。甘酸っぱい味で、当時の庶民に愛飲されていたようです。

大分の日本酒、もうひとつの起源が「麻地酒」

大分の日本酒のもうひとつのルーツとされるのが「麻地酒(あさじざけ)」。蒸し米と米麹、水を仕込んで密封し、土中に埋めて熟成させた濁り酒で、誕生したのは江戸時代と言われています。
麻地酒は、豊後国日出(ひじ)藩(現在の大分県速見郡日出町)が江戸幕府への献上品にしたほか、「御伽草子」や「甫庵太閤記」といった当時の庶民の読み物にも登場するなど、全国的な知名度を持っていました。
現在の大分の日本酒造りは、この麻地酒の流れをくんでいると考えられます。

大分県は知られざる米作りの好適地

大分県は知られざる米作りの好適地

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大分県の米造りを支える気候風土

大分県は、面積の70%を山林が占めているため耕地は少ないながらも、九州で有数の米産地です。
その秘密は、温泉県ならではの豊かな水資源と、昼夜の温度差が大きい気候。さらに、畜産が盛んなため、豊富な堆肥を利用した土作りを行っていることも、大分産米の良質さの要因となっています。
こうした質量ともに豊富な大分県産米が、大分の酒造りを支えているのです。

大分県各地で、地域ごとの条件に合った酒造好適米が栽培

大分県の米作りの大きな特徴が、海抜0~800メートルにおよぶ大きな標高差のなかで、土地ごとの気候や土質に合った米作りが行われていること。
日本酒造りに適した酒造好適米も、“酒造好適米の王様”と呼ばれる「山田錦」をはじめ、「雄町」「五百万石」「若水」など幅広い品種が栽培されていて、各蔵元がそれぞれの特徴を活かした酒造りを行っています。

大分の日本酒、人気銘柄

大分の日本酒、人気銘柄

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復活した老舗が醸す、辛口の食中酒【豊潤(ほうじゅん)】

「豊潤」の蔵元、小松酒造場は、明治元年(1868年)に新時代の幕開けとともに創業。敷地内の湧水を用いて、地域に根ざした酒造りを続けてきましたが、後継者不足により昭和63年(1988年)に休業。それから約20年の歳月を経た2007年、現在の6代目当主が自ら杜氏となって、家族3人での小規模な酒造りを再開させました。
復活した「豊潤」は、香り控えめで、旨味と酸味のバランスのとれたキレの良い辛口の純米酒。どんな食事にもよく合う食中酒として、地酒ファンの人気を集めています。

製造元:株式会社小松酒造場
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二人の生みの親の名を冠した九重の地酒【八鹿(やつしか)】

八鹿酒造は、“九州の屋根”と呼ばれる九重連山の麓に、江戸末期の元治元年(1864年)に創業した老舗。当初は「舟来屋(ふなこや)」を名乗っていましたが、昭和になって法人組織に改組する際に、代表銘柄の名を社名に冠しました。
社名の由来となった「八鹿」は、明治18年(1885年)、弱冠20才の三代目当主、麻生観八氏が、杜氏の仲摩鹿太郎氏と二人三脚で生み出したもの。その味わいが評判を呼び、二人の名をとって「八鹿」と名づけられました。
現在も清酒専門の「笑門蔵」で「笑門 八鹿」を造り続ける一方で、新設した「新永錫蔵」において、本格麦焼酎「銀座のすずめ」をはじめとした各種焼酎を造るなど、幅広い酒造りを行っています。

製造元:八鹿酒造株式会社
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大分の焼酎【銀座のすずめ】銀座の粋なイメージにふさわしい本格麦焼酎

西日本を代表する国東半島の地酒【西の関(にしのせき)】

「西の関」の蔵元は、九州を代表する戦国大名であった大友氏の血を引く萱島(かやしま)家が、明治6年(1873年)に創業した萱島酒造です。蔵を構える国東半島は、山岳信仰が仏教と調和した“神仏習合”の地。萱島酒造の酒造りも、おおらかな思想を育てた国東ならではの自然の恵みを大切にしながら続けられてきました。
「西日本を代表する酒」をめざして命名された「西の関」は、明治40年(1907年)に開催された「第1回全国清酒品評会」で1位に輝くなど、品質重視の伝統を今に受け継いでいます。

製造元:萱島酒造有限会社
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天領・日田の老舗蔵が育てた地酒【山水(さんすい)】

「山水」の蔵元は、江戸幕府の天領(直轄地)であった日田地方において、江戸時代中期の寛政元年(1789年)に創業した老舗、老松酒造。「閻魔(えんま)」「魔界(まかい)」「おこげ」といったインパクトのある銘柄名の各種焼酎を造り分ける一方で、地元産の良質な米を原料とした清酒造りも続けてきました。
なかでも代表銘柄である「山水」は、その名のとおり、緑豊かな山々と清冽な水源に囲まれた日田の地の恵みから生まれた地酒。その最高峰となる「純米大吟醸 山水」は、地元で契約栽培した酒造好適米「山田錦」を低温発酵で醸した、華やかさとさわやかさを兼ね備えた1本です。

製造元:老松酒造株式会社
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大分の焼酎【閻魔(えんま)】名前もラベルもその味もインパクト超ド級!

大分の焼酎【魔界(まかい)】原生黒麹で仕込んだこだわりの麦焼酎

大分の焼酎【おこげ】独特の香りがクセになる玄人向きの麦焼酎

創業当初の屋号を冠した新たな代表銘柄【鷹来屋(たかきや)】

「鷹来屋」は、豊後大野市緒方町の蔵元、浜嶋酒造が、明治22年(1889年)に創業した当時の屋号を冠した銘柄です。その屋号は、吉兆とされていた鷹が、よく蔵に飛来したことから名づけられたのだとか。
長らく主力銘柄であった「金鷹(きんたか)」は、大正3年(1914年)に開催された九州連合品評会で一等の栄誉に輝いた実力派。その伝統を受け継ぎつつ、現代のニーズに合った新た酒造りに挑んだ五代目当主が、1997年に生み出したのが「鷹来屋」です。キレと旨味を兼ね備えた、飲み飽きのこない食中酒として、地酒ファンの注目を集めています。

製造元:浜嶋酒造合資会社
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大分の日本酒、そのほかの注目銘柄

大分の日本酒、そのほかの注目銘柄

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すべての日本酒が低温発酵・低温醸造【一の井手(いちのいで)】

「一の井手」を生んだ久家(くげ)本店は、国宝の臼杵(うすき)石仏や臼杵城跡など、歴史の伊吹を伝える臼杵市で、万延元年(1860年)の創業以来、地元産の原料にこだわった酒造りを続けています。
代表銘柄である「一の井手」は、大正8年(1919年)に誕生。この地を流れる清流・末広川の河口から最初の井手(堰)のほとりに蔵を構えていたことから命名されました。主力となる「上撰 一の井手」から、淡麗で上品な味わいの「純米大吟醸 一の井手」まで、いずれも低温発酵・低温貯蔵による高品質な味わいで、地元はもちろん、全国の地酒ファンに愛飲されています。

製造元:株式会社久家本店
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元禄時代の蔵で伝統的な酒造りを守る【薫長(くんちょう)】

「薫りが長く続くような酒」をめざして命名された「薫長」を造るのは、銘柄名をカタカナにしたクンチョウ酒造。創業は昭和7年(1932年)ですが、蔵そのものの歴史はさらに古く、江戸時代中期の元禄15年(1702年)に建てられたものだとか。
「薫長」を育んだ日田市は、幕府の天領(直轄地)で、「九州の小京都」とも呼ばれた伝統ある町。国から「重要伝統的建築物群保存地区」に指定された豆田町の一角で、伝統に裏付けられた“匠の技”と、天領・日田の豊かな水で、昔ながらの酒造りを続けています。
その名のとおり、穏やかで後をひく香りと、豊かなコクをたのしめる「薫長」は、常温でも燗でも、食中酒としてもオススメです。

製造元:クンチョウ酒造株式会社
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「いいちこ」の蔵元が造るこだわりの酒【福貴野(ふきの)】

「福貴野」を醸すのは、“下町のナポレオン”として焼酎ブームを牽引した麦焼酎「いいちこ」で知られる三和酒類。昭和33年(1958年)に、宇佐市で古くから酒造りを続けてきた3社が合併した誕生した三和酒類は。本格焼酎から日本酒、リキュールまで、幅広い酒造りを行っています。
日本酒の代表銘柄として大吟醸から本醸造まで各グレードを造り分ける「和香牡丹(わかぼたん)」とは別に、単一銘柄として提供しているのが「福貴野」。宇佐の名瀑・福貴野の滝にちなんで命名されたこの酒は、“酒造好適米の王様”「山田錦」を、普通酒ながら吟醸酒レベルの精米歩合50%まで磨き上げ、地下300メートルから汲み上げる自家井戸水で醸した、こだわりの1本です。

製造元:三和酒類株式会社
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大分の焼酎【いいちこ】「下町のナポレオン」の愛称でおなじみの麦焼酎

創業時の女将の名を冠した銘柄を漢字と平仮名で【智恵美人/ちえびじん】

「智恵美人」で知られる臼杵の蔵元、中野酒造は、明治7年(1874年)の創業です。蔵の創業期を支えた初代女将の名にあやかった「智恵美人」は、モンドセレクションで3年連続の最高金賞に輝いた名水を仕込み水に、地元産米を丁寧に醸して造った臼杵を代表する地酒です。
近年では、6代目当主が、この代表銘柄に新たな伊吹を吹き込み、平仮名「ちえびじん」ブランドを立ち上げ。世界的なワイン評論家ロバート・パーカー・Jr氏が日本酒銘柄を格付けした際、「ちえびじん 純米吟醸 山田錦」が大分県の銘柄で唯一、パーカーポイント90点以上を獲得したことで、大きな注目を集めました。

製造元:有限会社中野酒造
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「いいちこ」の原点にあたる日本酒銘柄【和香牡丹(わかぼたん)】

本格焼酎の国民的ブランド「いいちこ」の醸造元、三和酒類は昭和33年(1958年)に宇佐市の老舗蔵3社の合併により誕生しました。合併した各社の日本酒銘柄のなかで、もっとも知名度の高かったものを統一銘柄としましたが、それが「和香牡丹(わかぼたん)」です。「いいちこ」が誕生したのは、それから約20年後のことですから、「和香牡丹」は「いいちこ」の原点と呼ばれるのも納得です。
現在も、三和酒類の日本酒を代表する銘柄であり、全国に4万社以上ある八幡社の総本宮・宇佐神宮の御神酒でもあります。

製造元:三和酒類株式会社
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大分県内には、固有の歴史や風土を持つ多くの地域に分かれていて、それぞれに特徴ある地酒が造られています。大分県を訪れた際は、各エリアをゆっくりと周りながら、その地ならではの地酒をたのしんではいかがでしょうか。

大分県酒造組合

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