大分の日本酒【豊潤(ほうじゅん):小松酒造場】復活した蔵元の米にこだわって醸される食中酒

大分の日本酒【豊潤(ほうじゅん):小松酒造場】復活した蔵元の米にこだわって醸される食中酒
出典 : 小松酒造場公式フェイスブック

「豊潤」は、大分県の蔵元、小松酒造場の日本酒ブランドです。蔵元は、昭和63年(1988年)に休止していた酒造りを平成20年(2008年)に復活させ、新たな銘柄「豊潤」を生み出しました。蔵元家族が中心となって醸す「豊潤」の魅力に迫ります。

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「豊潤」は酒造りを再び始めた老舗蔵の銘柄酒

「豊潤」は酒造りを再び始めた老舗蔵の銘柄酒

出典:小松酒造場公式フェイスブック

「豊潤」の蔵元の歩み

「豊潤」は、大分県の北部に位置する宇佐(うさ)市の蔵元、小松酒造場の銘柄酒です。

小松酒造場は、今から150年以上前となる明治元年(1868年)に小松悦蔵氏が創業した老舗蔵。かつては、2代目の小松弘太氏が、シベリアで戦死して勲章を授与された息子を想い、繁栄の象徴である松と合わせて命名したという日本酒「勲の松(いさおのまつ)」の醸造元として知られていました。

一時は約1,500石(一升瓶約15万本)もの生産量を誇りましたが、昭和63年(1988年)、酒造りの中心を担ってきた杜氏が事故に遭ったことがきっかけで自社での日本酒製造を休止。以降、ほかの蔵元に製造を委託しながら営業を続けてきました。

「豊潤」は蔵元の6代目が父とともに醸す酒

「豊潤」の蔵元、小松酒造場が、自社での酒造りを復活させたのは、6代目の小松潤平氏が蔵に戻った平成20年(2008年)のことです。

杜氏を務める潤平氏は、東京農業大学農学部醸造学科(現、応用生物科学部醸造科学科)を卒業後、滋賀県や高知県の蔵元で修業を重ねたのちに帰郷。製造休止からちょうど20年後となる平成20年(2008年)に、父である5代目の小松弘見氏とともに、新たな日本酒ブランド「豊潤」を立ち上げました。

「豊潤」の名は、潤平氏の大学の恩師が、大分県の旧国名「豊前(ぶぜん)」「豊後(ぶんご)」と潤平氏の名からそれぞれ1字を取って名づけたもので、「豊かに潤う日本酒」という意味が込められています。

「豊潤」は大分の米にこだわる日本酒

「豊潤」は大分の米にこだわる日本酒

出典:小松酒造場公式フェイスブック

「豊潤」に使われている米は?

「豊潤」の蔵元には、「九州の蔵元にしか出せない味を追求したい」という想いがあります。そのため、「豊潤」の原料米には、地元大分県をはじめとする九州ゆかりの米がおもに使われています。

品種はさまざまで、大分県で開発された酒米「大分三井(おおいたみい)」や九州生まれの酒造好適米「吟のさと」、福岡県産の酒造好適米「山田錦」、九州を代表する食用米ながら酒米としても広く用いられている「ヒノヒカリ」などが使用されています。

このほか、「雄町(おまち)」や「五百万石(ごひゃくまんごく)」といった定番の酒造好適米を使って醸した限定酒などもあります。

「豊潤」の蔵元が復活させた「大分三井」

「豊潤」の蔵元である小松酒造場は、大分県下最大の穀倉地帯、宇佐平野が広がる宇佐市に蔵を構えています。「豊潤」の仕込みに使われる米の約7割は、この地元で生産されたものです。

そのひとつ「大分三井」は、大正14年(1925年)に大分で誕生した米。かつては食用米として大分県全域で盛んに作られていましたが、栽培が難しく昭和40年代に姿を消しました。

蔵元6代目の小松潤平氏は、大分の固有米である「大分三井」を使った「大分ならではの日本酒を仕込みたい」と、農家を営む同級生とひと握り残っていた種もみからの復活栽培に挑戦。その熱意と努力が実り、平成22年(2010年)から「豊潤」の原料米として「大分三井」が使われるようになりました。

「豊潤」は料理の味を引き立てる日本酒

「豊潤」は料理の味を引き立てる日本酒

出典:小松酒造場公式フェイスブック

「豊潤」がめざす「名脇役のような日本酒」

「豊潤」は、蔵の敷地内にある井戸から汲み上げた中硬水で仕込まれています。一般的に、中硬水は酵母の栄養分となるミネラルを豊富に含んでいるため、アルコール発酵を促進してキレのよさを生み出すといわれています。そのため、「豊潤」も、キレがよくすっきり飲めるタイプが多いのが特徴です。

「豊潤」の蔵元は、料理を引き立てながらも存在感のある、「名脇役のような日本酒」をめざして酒造りを行っています。仕込み水由来のすっきりとしたあと味とキレのよさがあるため、飲むほどに料理に箸が伸びます。赤身の刺身や揚げ物、肉料理など濃厚でコクのあるつまみに合わせても、米の甘味や旨味はしっかりと感じられるでしょう。

食中酒「豊潤」は、蔵元が抱く理想を体現する日本酒なのです。

「豊潤」のラインナップ紹介

「豊潤」ブランドは、原料米のバラエティーが豊か。そのラインナップのなかからいくつかを紹介します。

【豊潤 純米吟醸 雄町 火入れ】

岡山県産の「雄町」を精米歩合60%で使用。ほどよい香りとまろやかな口当たりが特徴の、ほのかな甘味と米の旨味が広がる食中酒です。

【豊潤 特別純米 大分三井 無濾過生】

大分の固有米「大分三井」を使った、大分でしか造れない特別純米の無ろ過生酒。米味とともに「大分三井」ならではの透明感を感じさせる辛口の酒です。数量限定酒。

【豊潤 特別純米 おりがらみ 生】

「吟のさと」を協会11号酵母で醸した、さわやかな味わいが特徴の発泡性おりがらみ生酒。季節限定商品です。

【豊潤 Begin 無濾過生原酒】

麹米に「五百万石」、掛米に「大分三井」を使用した無ろ過生原酒。搾りたてならではのフレッシュな味わいと、キレのよいあと味が特徴の食中酒です。

【豊潤 特別純米】

契約栽培された酒造好適米「吟のさと」を全量使用。冷酒からぬる燗まで料理とともにたのしめる芳醇辛口の酒です。

【豊潤 大分三井 白麹仕込み】

「大分三井」を焼酎造りで用いる白麹(しろこうじ)で醸した純米酒。甘酸っぱい柑橘系の酸味とさっぱりとしたキレのよいあと味が特徴で、食前や食後の1杯におすすめです。

「豊潤」は蔵元家族中心の体制で、丹精込めて少量生産している日本酒です。他県にはない酒米「大分三井」を使ったものなど、希少価値の高い大分の地酒をぜひ味わってみてください。


製造元:株式会社小松酒造場
公式サイトはこちら

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