大分の日本酒【八鹿(やつしか):八鹿酒造】時代のニーズを捉えた淡麗辛口の味わいの酒

大分の日本酒【八鹿(やつしか):八鹿酒造】時代のニーズを捉えた淡麗辛口の味わいの酒
出典 : 出典:八鹿酒造株式会社

「八鹿」は、江戸時代に創業した大分県の蔵元、八鹿酒造の銘柄酒です。淡麗辛口の味わいは、甘口の日本酒で評判を得ていた蔵元が、時代のニーズを捉えて昭和60年(1985年)に刷新したものです。「酌(く)めどもつきぬ酒」をめざす「八鹿」の魅力を紹介します。

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「八鹿」の蔵元の歩み

「八鹿」の蔵元の歩み

出典:八鹿酒造株式会社

「八鹿」の蔵元の始まりと挫折

「八鹿」は、大分県九重(ここのえ)町の蔵元、八鹿酒造の日本酒ブランドです。

八鹿酒造は、今から155年以上も前となる江戸末期の元治(げんじ)元年(1864年)、初代・麻生東江(あそうとうこう)氏が創業した老舗蔵。川の船着き場に蔵があったことから、当時は「舟来屋(ふなこや)」と称していました。現存している往時の仕込み蔵の壁には、この屋号をかたどった「鏝絵(こてえ):こてを使い漆喰で仕上げたレリーフ」が描かれています。

麻生家は、初代・東江氏と2代目・豊助(とよすけ)氏が、酒造業に加え、農業用水不足に悩む地域の水利事業に資産を投じて尽力したことで知られています。しかし、予想外の難工事が続いて挫折。家財や山林のほか、酒造権利まで手放すことになったという苦難の歴史を持ちます。

「八鹿」の蔵元の再興

「八鹿」の蔵元・舟来屋の再興を成し遂げたのは、3代目の観八(かんぱち)氏です。

観八氏は15歳で麻生家に養子入りしました。生家も酒造業を営んでいましたが、観八氏が12歳のときに破産。養家も水利事業の挫折で苦境にあるなか、努力を重ね、明治18年(1885年)に蔵元の再建を果たしました。

同年、観八氏と杜氏の仲摩鹿太郎(なかましかたろう)氏が醸した日本酒「龍門(りゅうもん)」が、次第に評判となっていきます。これを受けて観八氏は、自らと仲摩氏の心意気を称え、それぞれの名から1字ずつ取って、酒名を現在の「八鹿」に改めました。

酒造業が軌道に乗ると、観八氏は、養家の父祖が果たせなかった水利事業に力を注ぎ、明治40年(1907年)に農業用水路「右田井路(みぎたいろ)」を完成させます。そのほか、鉄道の誘致や電力事業などにも多大な功績を遺しました。

「八鹿」はどんな日本酒?

「八鹿」はどんな日本酒?

出典:八鹿酒造株式会社

「八鹿」は酒造りに適した環境で造られる日本酒

「八鹿」の蔵元が蔵を構える大分県西部の九重町は、九州の屋根ともいわれるくじゅう連山の麓に位置しています。

暖かい九州にあって、山々に囲まれる九重町の冬場の平均気温は4.1度。ときには氷点下にもなるという日本酒造りに適した環境のなかで、「八鹿」は醸されています。

「酌めどもつきぬ酒」を理想の酒とする「八鹿」。その味わいを決める仕込み水や割り水に使われている水も、地元のくじゅう連山に由来する山の恵みの地下水です。この水は、蔵の敷地内にある岩盤を貫いて掘られた深さ約250メートルの井戸から汲み上げられています。

「八鹿」は時代のニーズを捉えた淡麗辛口の酒

「八鹿」は、甘口が主流を占める大分の地酒のなかでも、淡麗辛口の銘酒として知られる日本酒です。

もともとは「八鹿」も甘口の酒で、全国新酒鑑評会で金賞に輝くなど評判を得ていました。しかし、いつしか菓子類でさえ甘さを控えたものが好まれるような時代に。蔵元は悩んだ末、「これからの時代に相応しい、より洗練された酒を造っていこう」と、昭和60年(1985年)に「八鹿」の味の刷新を決意しました。

そうして淡麗辛口の酒に生まれ変わった「八鹿」は、3年後の昭和63年(1988年)に全国新酒鑑評会で金賞を受賞。時代のニーズを見事に捉えた「八鹿」は、新たな歴史を刻み始めたのです。

「八鹿」は国内外で評価されている日本酒

「八鹿」は国内外で評価されている日本酒

出典:八鹿酒造株式会社

「八鹿」ブランドの特徴

「八鹿」は、「普通酒にして銘酒」というモットーのとおり、大吟醸酒から普通酒まで、そのすべての酒に蔵人の技と心を注いで醸される日本酒ブランドです。

酒名の由来ともなった仲摩鹿太郎氏をはじめ、歴代の杜氏たちが研鑽を重ねて培ってきた技術は、令和の時代にも受け継がれています。

蔵元の熱い想いが込められた「八鹿」ブランドの酒は、地元大分をはじめ、国内外で高く評価されています。

「八鹿」の、世界的な品評会で3冠に輝いた酒とは?

日本酒「八鹿」は、全国新酒鑑評会の常連で、これまでに何度も金賞を受賞しています。

「八鹿」ブランドのなかでも、くじゅう連山由来の水と地元・九重町産の米を原料に、瓶内二次発酵方式で造られた純米スパークリング酒「八鹿スパークリング Niji」は、令和元年(2019年)に世界的な3つの品評会でトリプル受賞を果たし、頂点を極めました。

日本の「SAKE COMPETITION」スパークリング部門でGOLD、イギリスの「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」SAKE部門スパークリングの部でゴールドメダルとトロフィー、フランスの「Kura Master」スパークリング Soft部門でプラチナ賞を獲得し、3冠の栄誉に輝いたのです。

「八鹿スパークリング Niji」は日本のみならず、海外でも高く評価されている酒なのです。

「八鹿」のラインナップ紹介

最後に、伝統の技術で造られる「八鹿」ブランドのラインナップのなかから、創業150年を機に生まれた特定名称酒新シリーズ「八鹿五酒」を中心に紹介しましょう。

【八鹿 純米大吟醸(金)】

兵庫県産「山田錦」を精米歩合40%で使用し、吟醸香より日本酒本来の旨味を極めた、深くふくよかな味わいの純米大吟醸酒。料理との相性も抜群で、口中にじんわりと広がる米の旨味もたのしめます。

【八鹿 大吟醸(銀)】

兵庫県産「山田錦」を35%まで磨き、熊本系酵母で醸した全国新酒鑑評会金賞受賞酒。上品な香りと優美なキレのある、華やかでありながら主張しすぎない品のよい飲み口が絶品の大吟醸酒です。

【八鹿 特別純米(緑)】

麹米に「山田錦」、掛米に「五百万石」を精米歩合60%で使用。ふくよかな米の旨味と芯のとおった深い飲み応えがたのしめる特別純米酒で、温めると米の香りが、冷やすとキレが引き立ちます。

【八鹿 吟醸(桃)】

精米歩合60%の「山田錦」を協会1801号酵母で醸した吟醸酒。新鮮な果実を思わせるほんのり甘く華やかな香りと、きれいな余韻がたのしめます。軽やかな飲み口で、食中酒としてもおすすめ。

【八鹿 本醸造辛口(青)】

大分県産「日本晴(にっぽんばれ)」を精米歩合70%で使用した、きりりと冴えわたる凛とした飲み口の辛口本醸造酒。大分の食文化に合わせて造られた地酒で、どんな温度帯でもおいしい、毎日の晩酌におすすめの1本です。

【笑門 八鹿】

蔵元のモットー「普通酒にして銘酒」を体現する1本。自然の旨さと味わいが特長の酒で、おでんや肉じゃが、大根の煮物など和食によく合います。

「八鹿」は、国内外で高く評価されている日本酒です。一方で、八鹿酒造は「銀座のすずめ」などを造る焼酎蔵としても知られています。淡麗辛口の日本酒「八鹿」と飲み比べてみてはいかがでしょう。


製造元:八鹿酒造株式会社
公式サイトはこちら


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