東京に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【関東編】
東京といえば日本酒造りとはかけ離れた大都市と思われがちですが、じつは地下水や伏流水に恵まれ、江戸時代から酒造りが盛んな土地です。時代の流れとともに変化する東京の日本酒造りとはどのようなものでしょうか? 代表銘柄とともに紹介します。
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「澤乃井」の蔵元は、元禄15年(1702年)創業という長い歴史をもつ小澤酒造です。秩父古生層の岩盤を掘り抜いた、洞窟の奥から湧き出る水を使用して日本酒を仕込んでおり、良質な水を活かした豆腐造りでも成功を収めています。
「澤乃井」はそんな良質で清らかな水や、澄み切った奥多摩の空気をはじめとする奥多摩の大自然が育んだ銘柄。なかでも「澤乃井大吟醸凰(こう)」はやや辛口な仕上がり。はなやかな香りを感じさせる、醸造センスあふれる1本で、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017」で金賞を獲得しています。
製造元:小澤酒造株式会社
東京の日本酒【澤乃井(さわのい)】奥多摩の名水が生んだ美しい東京の地酒
東京の地酒のなかでも入手困難な人気銘柄【屋守(おくのかみ)】
全国新酒鑑評会において、多くの金賞受賞歴を誇る豊島屋酒造は、慶長元年(1596年)以来の歴史をもつ、東京でも指折りの老舗蔵です。江戸ではいち早く白酒の醸造を行い、結婚式で祝いの樽酒を用いるようになったのは、この蔵が発祥ともいわれています。
そんな豊島屋酒造を代表する銘柄が、無ろ過、無加水で造られる「屋守」です。米の香りが濃厚でありながらもキレのある味わいが魅力の日本酒。できるだけよい状態で飲む人の手に届くようにと、全量を瓶貯蔵している点も特徴です。東京の地酒のなかでも近年、たいへん人気が高く、入手困難になっています。
製造元:豊島屋酒造株式会社
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伝統の味と新しい味の両面を追求する銘柄【金婚(きんこん)】
豊島屋酒造が手掛ける日本酒のなかでも、「屋守」と人気を二分する銘柄が「金婚」です。明治天皇の銀婚式を祝う気持ちを込めて命名された銘柄で、長く日本酒ファンを魅了してきました。なお「金婚」は明治神宮と神田明神の御神酒として使用されていることでも知られています。
量よりも質を重視するという蔵元の醸造スタイルは、数々の受賞歴にも現れており、その清らかなおいしさは折り紙つき。東京サミットの晩餐会でも用いられた「金婚 純米大吟醸吟の舞」や、東京産の原料米「キヌヒカリ」を用いて江戸酵母で醸した「金婚 純米吟醸 江戸酒王子」など、充実したラインナップにも注目です。
東京の日本酒【金婚(きんこん)】その名に込められた歴史が裏づける、江戸の“祝い酒”
寒造りに最適な環境が育む銘酒【千代鶴(ちよつる)】
清流にしか棲まないとされる鮎が多く生息する、東京のヒーリングスポット・秋川渓谷。その流域に蔵を構えるのが、文化元年(1804年)創業の中村酒造です。この地は都内としては冬の冷え込みが厳しく、日本酒の寒造りに適した環境です。中村酒造では多くの酒に四段仕込みを採用し、淡麗でありながらも米の旨味を存分に感じられる日本酒造りを目指しています。全国新酒鑑評会や東京国税局主催清酒鑑評会などでの受賞歴も数多い実力派の蔵元です。
代表銘柄「千代鶴」は、秋川に鶴が飛来したことにちなんで命名されたもの。富山にも同じ銘柄の日本酒があるので、購入の際には蔵元名を確認することをおすすめします。「千代鶴 純米大吟醸」は低温で長期発酵させることで、のびやかな香りと上品な味わいを引き出した魅力の1本です。
製造元:中村酒造
東京の日本酒【千代鶴(ちよつる)】奥多摩・あきる野の老舗蔵が醸す酒
都心で醸造される話題の日本酒【江戸開城(えどかいじょう)】
日本酒といえば自然の恩恵を受けて醸すイメージがありますが、「江戸開城」が醸造されるのは、なんと鉄筋コンクリート4階建てのビル内。こうした常識を覆す酒造りを行っている蔵元が、東京都港区芝の東京港醸造です。
その前身となるのは「江戸無血開城」を導いた会談の舞台ともいわれる造り酒屋「若松屋」。明治末期に廃業しましたが、それから約100年を経た2016年に、その子孫が再興を果たしました。
テレビや雑誌などメディアへの露出も多く、話題性に富んだ「江戸開城」。革新的な経営スタイルでありながらも、味わいは伝統的な日本酒だと高く評価されています。
製造元:株式会社若松 東京港醸造
東京の日本酒【江戸開城(えどかいじょう)】幕末以来の伝統を復活させた東京・港区の地酒