東京の日本酒【千代鶴(ちよつる)】奥多摩・あきる野の老舗蔵が醸す酒
「千代鶴」は、東京都内のヒーリングスポット、奥多摩エリアのあきる野市に蔵を構える中村酒造が醸す、東京の地酒です。歴史ある蔵元ならではのていねいな酒造りは、200年の歴史を物語る資料館ともども、地域の人々や酒造り文化を愛する人々から、常に信頼のまなざしを集めています。
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「千代鶴」は奥多摩のヒーリングスポットで醸される酒
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「千代鶴」を醸すのは、鮎釣りが盛んな清流沿いの老舗蔵
「千代鶴」を醸す中村酒造は、鮎釣りで知られる、あきる野市の清流、秋川の流域に蔵を構えています。
中村家は、今から400年以上もさかのぼる慶長年間からこの地で暮らしてきました。酒造業を始めたのは江戸時代後期の文化元年(1804年)。以来200余年、十代にわたって酒造りを続けてきた、東京では指折りの歴史ある蔵元です。
「千代鶴」は縁起のよい鶴の飛来にちなんだ銘柄
代表銘柄である「千代鶴」は、縁起がよいとされる鶴が秋川流域に飛来したことにちなんで名づけられたもので、古くから“奥多摩の地酒”として地域の人々に親しまれてきました。
その品質は全国レベルで、東京国税局主催の清酒鑑評会では通算で30回も「優等賞」を獲得。「全国新酒鑑評会」でも金賞獲得の常連です。
「千代鶴」を育む奥多摩の豊かな自然と風土
「千代鶴」を育んできた奥多摩は、西に山々がそびえ、中央には台地や丘陵が広がる緑豊かな土地。東京都内とはいえ山間部に近く、冬は冷え込みが厳しく、年間平均気温は約13度という冷涼な気候は、日本酒造りにも適した風土と言えるでしょう。
中村酒造の仕込み蔵は、江戸時代に建築された土蔵と、年間を通じて10度以下に保たれる空調完備の近代蔵の2つ。両者の特徴を活かして「千代鶴」を醸しています。
「千代鶴」の蔵元がこだわる「四段仕込み」
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「千代鶴」は清涼な地下水と、ていねいな手作業で造られる酒
「千代鶴」のふくよかな味わいは、原料とする水と米へのこだわりから生まれたもの。仕込水は、秩父古生層に磨かれた多摩山系の軽硬水を地下170メートルから汲み上げています。
厳選した酒造好適米をしっかりと磨き、先進的な連続蒸米機と、伝統的な和釜と甑(こしき)を併用して蒸し上げます。
日本酒の味わいを左右する麹造りは、伝統的な「麹蓋(こうじぶた)」を用いた手作業で行うなど、ていねいな酒造りを行っています。
「千代鶴」は通常より一段多い「四段仕込み」で仕込まれる
日本酒の仕込みは、通常では「添(そえ)仕込み(初添え)」「仲(なか)仕込み(仲添え)」「留(とめ)仕込み(留添え)」と呼ばれる三段階で行われます。
これは、麹と蒸米を一度に全量仕込むのでなく、三度に分けてゆるやかに仕込むことで、酵母の発酵力を最大限に発揮させるためです。
中村酒造では、「留仕込み」の後に、さらにもう一段階、麹と蒸米を加えて仕込む「四段仕込み」を採用。
これにより、淡麗型でありながら、米の旨味もしっかりと引き出した日本酒となっています。
「千代鶴」の酒造りの歴史を学ぶなら「酒造り資料館」へ
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「千代鶴」の蔵元の200年の歴史を物語る「酒造り資料館」
「千代鶴」の蔵元、中村酒造は、蔵に隣接して「酒造り資料館」を設けて、一般に公開しています
資料館の建物は、200年におよぶ中村酒造の歴史の深さを感じさせる、土蔵造り2階建て。これは明治17年(1884年)に酒造用具蔵として建築されたものを、蔵元が2年の歳月をかけ復元したものです。
酒造りの伝統を今に伝える酒造用具や資料が充実
中村酒造蔵の「酒造り資料館」には、江戸時代から用いられてきた伝統的な酒造り用具が、そのままの姿で展示されています。近代化された現在の酒蔵では見られない、“酒造りの原風景”とも言える貴重な資料です。
このほかにも、中村家に残された酒造りの資料が豊富に展示されているので、日本酒造りの歴史や文化に興味がある人なら、一度は訪れたい場所です。
200年におよぶ歴史のなかで、常に人々に愛され続けてきた伝統の酒「千代鶴」は、都内のヒーリングスポット、奥多摩ならではの癒やしに満ちた日本酒。日々の疲れを癒すのにオススメの1本と言えるでしょう。
製造元:中村酒造
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