押さえておきたい人気銘柄! クラフトウイスキー名鑑

クラフトウイスキーは、小規模の醸造所で一本一本手稲に作られた、職人独自のこだわりがつまったウイスキーです。もともと日本酒を作っていた酒造メーカーが新たな分野にチャレンジしようと日本でも始まりました。
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クラフトウイスキーとはなにか?

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ビールの世界で“クラフトビール”が一大ジャンルとして広がっているのと同様に、ウイスキーの世界にも“クラフトウイスキー”と呼ばれるジャンルが存在し、年々その存在感が増しています。日本を代表するウイスキーメーカーといえばサントリーとニッカウヰスキーが二大巨頭ですが、そうした全国区の巨大メーカーに対し、地域に根差した小規模なメーカーで、職人がこだわりを持ち、ていねいに作られる個性的なウイスキーが“クラフトウイスキー”と言えそうです。
近年始まったブームかと思えばそうではなく、クラフトウイスキーが広がってきたのは1980年代初頭のこと。おもに日本酒を作っていた日本各地の酒造メーカーが新たな分野にチャレンジしようとウイスキー造りに乗り出したことから、第一次ブームが始まりました。
世界が注目する「イチローズモルト」

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意外に長い歴史を持つクラフトウイスキーですが、近年のウイスキーブームとも相まって、新しい時代に突入しています。その象徴ともいえる存在が「イチローズモルト」。
これは、1980年代のクラフトウイスキーブームの一翼を担った東亜酒造創業者の孫、肥土伊知郎氏が創業したベンチャーウイスキーから発売されたもの。祖父の代から製造していた原酒を瓶詰した「イチローズモルト」は当初まったく無名な存在でしたが、国際的なコンペティションのひとつであるワールド・ウイスキー・アワードにおいて2007年のベスト・ジャパニーズ・シングルモルトに輝き、一躍脚光を浴びました。
当時、東亜酒造時代の蒸留所は閉鎖されていましたが、理想のウイスキー造りを実現するために2007年、蒸留所を埼玉県秩父市に新設、2008年から蒸留を開始しました。日本で単独の蒸留所が誕生したのは35年ぶり。
同社はすべて自前で行うことを目指しており、フロアモルティング(大麦を床に広げ発芽させる伝統的な方法)を学ぶためにイギリスで研修を重ねたり、秩父産の大麦やピートを使ったウイスキー造りを計画したり、世界でも珍しい国産のミズナラ材を使った発酵槽を使ったりと、まさにクラフトウイスキーならではのユニークな試みにチャレンジ。今後の動向にも目が離せません。
【人気の地ウイスキー】「イチローズモルト」は世界が評価する埼玉発のウイスキー
日本のクラフトウイスキーの注目株「あかし」

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日本初のウイスキー蒸留所はサントリーの山崎蒸溜所ですが、それ以前の1919年にウイスキー製造免許を得たのが、兵庫県明石市の江井ヶ嶋酒造。日本酒「神鷹」で知られる老舗の酒造メーカーです。
江井ヶ嶋酒造は日本酒以外にも焼酎や梅酒、ワインやブランデーも手掛ける総合酒造メーカーで、早くからウイスキーにも目を留めていました。とはいえ免許取得当時はまだジャパニーズウイスキーの黎明期。本格的にウイスキー造りが始まったのは、ホワイトオーク蒸留所を新設した1984年からです。
蒸留所の名前を冠したブレンデッドウイスキー「ホワイトオーク」シリーズを長年製造していましたが、2008年に同社初のシングルモルト「あかし」を発売。瀬戸内海の漁業の盛んな土地で仕込んだシングルモルトは魚介類を中心とした和食との相性が良いと言われ、今ではクラフトウイスキーのトップランナーのひとつとして全国的に高い支持を得ています。
ほかに、静岡に2012年に設立された「ガイアフロー」にも注目。2017年秋からウイスキー造りを開始。今後、要チェックのニューカマーです。
個性的で独自なスタイルを持ったウイスキーは世界でも注目の的!ぜひ、試してみてください。
