「イチローズモルト」とは? 世界に誇るウイスキーブランドの特徴や種類を紹介
「イチローズモルト」はベンチャーウイスキーが世界に誇るウイスキーブランド。埼玉県の秩父蒸溜所で育まれる高品質の味わいが高く評価されていて、国内外のファンを魅了しています。今回は「イチローズモルト」の特徴や種類などについて紹介します。
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日本のウイスキーブランド「イチローズモルト」の魅力に迫ります。
「イチローズモルト」とは?
画像提供:株式会社ベンチャーウイスキー
「イチローズモルト」の特徴や、これまでの歩みをみていきます。
「イチローズモルト」は秩父生まれの世界的ウイスキーブランド
「イチローズモルト」は、ベンチャーウイスキーの肥土伊知郎(あくといちろう)氏が立ち上げた、日本が世界に誇るウイスキーブランドです。
肥土氏の故郷である埼玉県秩父市に2007年に建てられた秩父蒸溜所は自然豊かな場所にあり、空気がきれいで質のよい水に恵まれています。秩父地方は盆地や山岳の気候を有し、夏の平均最高気温は約37度近く、冬は最低気温がマイナス10度程度になることもあり、年間をとおして気温差が大きいのが特徴です。
そのきびしい環境がウイスキーの熟成によい影響を与え、短い熟成期間でも、フルーティーでバランスの取れた味わいに仕上がります。
日本のクラフトウイスキーの先駆者である秩父蒸溜所では、手造りにこだわり、世界で唯一のミズナラ製発酵槽を使用して、丹念に秩父産ウイスキーを生産しています。リリースされるウイスキーはいずれも評価が高く、世界的なウイスキー専門家や熱狂的ファンに称賛されています。
画像提供:株式会社ベンチャーウイスキー
ベンチャーウイスキーの始まりは父から受け継いだ原酒
ベンチャーウイスキーは、肥土氏が父上から受け継いだ原酒がなければ生まれませんでした。創業までの歩みを少し振り返ります。
肥土家は、秩父で代々造り酒屋を営んできた一家です。実家の造り酒屋が経営悪化により他社に譲渡されると、ウイスキー事業撤退、および羽生蒸溜所(※)の原酒は引き取り先が見つからなければ廃棄するという決定が下されました。
※閉鎖後は取り壊されましたが、その後同名の施設が誕生し、現在も稼働しています。
羽生蒸溜所のウイスキーの味を評価していた肥土氏は、廃棄を迫られていた400樽の原酒を守るために奔走します。頭を悩ませたのは原酒の保管先。酒造免許がなければ保管はできません。最終的に福島県の笹の川酒造が「廃棄は業界の損失だ」と樽の預かりを快諾。肥土氏はその原酒からウイスキーを製造・販売するために、2004年、ウイスキー専業メーカー、ベンチャーウイスキーの設立を実現しました。
こうして初代「イチローズモルト」が、創業翌年の2005年に発売されました。リリースされたのは、「カードシリーズ」と呼ばれる52(のちに54)種類のシングルモルトウイスキー。そのうちの「キング オブ ダイヤモンズ」が、権威あるイギリスのウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』主催のコンテストにて最高得点の「ゴールドアワード」に選ばれ、世界的に注目されるようになりました。
「カードシリーズ」は、羽生蒸溜所で生まれた原酒をボトリングしたものですが、秩父蒸溜所が生み出したモルト原酒もリリース当初から絶大な人気を誇ります。
2011年に念願の秩父蒸溜所のシングルモルトウイスキー「イチローズモルト 秩父 ザ・ファースト」がリリースされると、発売日当日に全7,400本が予約で完売。 羽生蒸溜所の原酒からスタートした「イチローズモルト」は、以後もさらなる名声を得ていくこととなります。
なお、現在は、秩父蒸溜所や羽生蒸溜所の原酒をはじめ、国内外の厳選した原酒を使った多彩な「イチローズモルト」が発売されていて人気を呼んでいます。
「イチローズモルト」のウイスキーは大きく分けて3種類
出典:株式会社ベンチャーウイスキーFacebookページ
「イチローズモルト」には、大きく分けてシングルモルトウイスキーとブレンデッドモルトウイスキー、ブレンデッドウイスキーの3種類があります。それぞれの特徴を紹介します。
「イチローズモルト」のシングルモルトウイスキーは入手困難
「イチローズモルト」のシングルモルトウイスキーは、秩父蒸溜所で造られているジャパニーズウイスキーです。定番商品はなく限定品ばかりで、貴重な羽生蒸溜所の原酒のみが使用されているボトルもあり、リリースされればすぐに売り切れてしまうほど国内外で人気です。
ネット上で販売されているのを見つけたとしても、高額なプレミアつきで、ボトルを入手するのは困難を極めます。
「イチローズモルト」のブレンデッドモルトウイスキーも人気で定価購入は困難
「イチローズモルト」のブレンデッドモルトウイスキーも人気です。ブレンデッドモルトウイスキーは、複数の蒸溜所のモルト原酒をブレンディング(ヴァッティング)したモルトウイスキー100%のウイスキーで、日本ではピュアモルトウイスキーとも呼ばれます。
秩父蒸溜所と羽生蒸溜所のモルト原酒をブレンドしたものや、秩父蒸溜所のモルト原酒とスコットランドのモルト原酒を合わせて後熟したものなどがあり、どれも人気が高く入手困難です。定価での購入も難しくなっています。
「イチローズモルト」のブレンデッドウイスキーは初心者にもおすすめ
「イチローズモルト&グレーン」と呼ばれるブレンデッドウイスキーは、国内外のモルト原酒とグレーン原酒をブレンドし、秩父で熟成したものです。秩父蒸溜所の高いブレンディング技術と後熟によって仕上げられたクオリティーの高い味わいで、こちらも高く評価されています。
「イチローズモルト」のブレンデッドウイスキーは、シングルモルトやブレンデッドモルトと比べると安価で、商品によっては店頭やネットショップで入手できることもあります。とはいえ、希少な限定品は、ネットオークションなどで高額なプレミア価格で取り引きされていて、入手は難しくなっています。
ラベルのミズナラの葉が目印! 「イチローズモルト」の注目商品
モルト原酒とグレーン原酒をブレンドした「イチローズモルト&グレーン」と、モルト原酒同士をブレンドしたブレンデッドモルトウイスキー「リーフラベルシリーズ」のなかから、いくつかの商品を紹介します。
イチローズ モルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキーホワイトラベル
画像提供:株式会社ベンチャーウイスキー
「イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー」の定番商品。秩父蒸溜所の原酒を中心に5大ウイスキーがブレンドされています。柑橘系の香りが特長で、水で割るとコクが出るので、ハイボールによく合います。
店頭やネットで定価に近い価格で入手できる可能性が高く、オーセンティックバー以外の飲食店でも提供されているため、「イチローズモルト」のなかでも比較的身近な存在といえるのがホワイトラベルです。とても飲みやすく、「イチローズモルト」を飲んだことがない方にもおすすめです。
イチローズモルト ダブルディスティラリーズ
画像提供:株式会社ベンチャーウイスキー
モルト原酒同士をブレンドした「リーフラベルシリーズ」のなかでも人気の逸品。羽生蒸溜所と秩父蒸溜所の貴重な原酒をブレンドしたブレンデッドモルトジャパニーズウイスキーで、頭文字をとって「DD」の愛称で親しまれています。羽生蒸溜所ならではの甘さと、秩父蒸溜所のミズナラ樽由来のオリエンタルなニュアンスとスパイシーさが融合した、極めてバランスのよい味わいが人気です。
前述の『ウイスキーマガジン』が主催するワールドウイスキーアワード2009で「ベストジャパニーズ・ブレンデッドモルト」に選ばれるなど、世界的にも評価が高く定価では入手困難ですが、ネット上ではプレミア価格で入手できることもあります。
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出会ったらぜひ飲んでみたい! その他の人気商品
「ワールドブレンデッドウイスキー」のなかでも、華やかでフルーティーな香りの「イチローズモルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー リミテッドエディション」はぜひ味わってみたい逸品。熟成年数10年以上の原酒のみを使用し、秩父蒸溜所のモルト原酒をキーとして、世界の5大ウイスキーをバランスよくブレンドしています。
「リーフシリーズ」には、多彩な樽で後熟させた魅力的な種類があります。
赤い葉っぱの「イチローズモルト ワインウッドリザーブ」は、秩父のモルト原酒とスコットランドのモルト原酒をバッティングし、赤ワイン樽で仕上げたモルト100%のブレンデッドモルトウイスキー。フルーティーで複雑な味わいです。
金色の葉っぱの「イチローズモルト ミズナラウッドリザーブ」は、羽生蒸溜所のモルト原酒とスコットランドのモルト原酒をバッティングし、ミズナラ樽で追熟させたブレンデッドモルトウイスキー。ドライフルーツのような風味と、ピーティー&スパイシーさが特長です。
いずれも秩父蒸溜所のたぐいまれなるブレンド技術および熟成技術で仕上げられた極上の味わいです。
日本が世界に誇るベンチャーウイスキーの「イチローズモルト」。極めて人気が高く、ほとんどが定価では入手困難ですが、身近な飲食店で提供されているボトルもあります。機会があればぜひ貴重な1杯を堪能してみてくださいね。
製造元:株式会社ベンチャーウイスキー
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