【ベンチャーウイスキー】世界が注目!イチローズモルトを生み出した秩父蒸溜所の魅力とは?

【ベンチャーウイスキー】世界が注目!イチローズモルトを生み出した秩父蒸溜所の魅力とは?
出典 : 株式会社ベンチャーウイスキーフェイスブック

「ベンチャーウイスキー」は埼玉県秩父市に拠点を置くウイスキー専業メーカー。少量生産の強みを活かし、「イチローズモルト」を筆頭に世界中から絶賛されるボトルを次々とリリースしています。今回は肥土伊知郎(あくといちろう)氏が率いるベンチャーウイスキーの魅力をご紹介します。

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ベンチャーウイスキーは世界が熱視線を送る人気の蒸溜所

株式会社ベンチャーウイスキーフェイスブック

ベンチャーウイスキー設立の背景

株式会社ベンチャーウイスキーは、肥土伊知郎(あくといちろう)氏が2004年に埼玉県秩父市で創業したウイスキー専業メーカーです。創業のきっかけは、江戸時代から続く家業の造り酒屋(東亜酒造)が他社に譲渡される際、廃棄寸前となった約400樽のウイスキー原酒を守るためでした。

肥土氏は、樽の引き受け先の企業探しに奔走し、福島県の笹の川酒造の協力を取りつけます。そうして創業の翌年、20年近くも熟成された原酒を使用した初代「イチローズモルト」の販売を実現させました。

当時は無名の銘柄でしたが、地道な営業と個性的な味わいにより「イチローズモルト」の評判は口コミで広まり、世界のウイスキーファンを熱狂させるブランドへと成長していったのです。

世界が注目する秩父蒸溜所とは?

2007年に設立、2008年に蒸溜免許を取得したベンチャーウイスキーがつくった秩父蒸溜所は、日本のクラフトウイスキーブームの先駆けとなった蒸溜所です。

埼玉県西部に位置する秩父市は、森林と良質な天然水に恵まれた自然豊かな環境です。夏と冬では大きな寒暖差があり、「イチローズモルト」にほどよい熟成感をもたらすといいます。

ベンチャーウイスキーではこの秩父の地で、秩父産大麦を原料にした製品造りや秩父の木材を使用した貯蔵樽の導入を検討しながら、「30年ものの秩父産ウイスキー」を飲む日をめざし、秩父ならではのウイスキー造りに励んできました。

2019年10月には、秩父蒸溜所から車で数分の場所に新設した秩父第二蒸溜所が稼働を開始。ベンチャーウイスキーは、数多のニーズに応えるべく、生産能力を増強して新たなステップへと踏み出しています。

肥土伊知郎氏の経歴

ベンチャーウイスキーの創業者である肥土伊知郎氏は、世界に名だたるウイスキー醸造家として有名ですが、はじめからウイスキー造りに携わっていたわけではありません。

肥土氏は、東京農業大学で醸造学を学んだのちに、サントリー社で営業などを経験し、家業の東亜酒造を継承。経営悪化に伴い東亜酒造は他社の手に渡りますが、埼玉県羽生市の羽生蒸溜所で祖父の代から大切に育んできた原酒に魅力を感じてベンチャーウイスキーを立ち上げ、ウイスキー造りをスタートさせました。

日本のウイスキー需要が低迷するなかでの決断でしたが、このときの肥土氏の熱意により貴重な原酒は失われることなく、ベンチャーウイスキーの製品として脚光を浴びることとなったのです。秩父発のクラフトウイスキーは世界の称賛を集め、肥土氏自身もウイスキー醸造家として高い名声を獲得しました。

なお、肥土氏は、2019年に世界的な酒類品評会「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」にて、1年でもっとも活躍したブレンダーとして「マスター・ブレンダー・オブ・ザ・イヤー」に選出されています。

ベンチャーウイスキーを代表する「イチローズモルト」の魅力

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5年連続世界最高賞を獲得する実力派

「イチローズモルト」が世界から注目されるようになったのは、ウイスキー専門誌『ウイスキーマガジン』で、プレミアム・ジャパニーズウイスキー部門ゴールドメダル(最高得点)を獲得したことからでした。

その後、世界でもっとも権威のあるイギリスのウイスキー品評会「ワールド・ウイスキー・アワード(WWA)」のジャパニーズ部門で2007~2013年まで世界最優秀賞を7年連続受賞。勢いは止まらず、2017年からは5年連続で世界最高賞を受賞し、世界一の座をキープし続けています。

なお、2021年の世界最高賞受賞ボトルは、「イチローズモルト&グレーン ジャパニーズブレンデッドウイスキー リミテッドエディション2021」。500本限定、1本198,000円(税込)で販売されましたが、すでにプレミアつきで入手は極めて困難となっています。

「イチローズモルト」は手間隙かけて造られるウイスキー

「イチローズモルト」は、伝統的なスコットランドのウイスキー造りに敬意を払い、日本のエッセンスを取り入れながら、ていねいに造られているウイスキーです。

原料の多くにイギリス産の大麦を使用していますが、近年は秩父産の大麦も取り入れ、手間のかかるフロアモルティングにより大麦麦芽(モルト)を製造。麦芽の乾燥には、伝統的なキルン(乾燥塔)を使用しています。

マッシュタン(糖化槽)のかき回しは手作業で行い、ウォッシュバック(発酵槽)には風味を重視して管理の難しい国産ミズナラ製の木桶を採用。さらに自社製樽の製作工場を構えるなど、随所にこだわりの光るウイスキー造りが行われています。

製麦からボトリングまでの全工程を自社で行い、手間隙かけて完成する「クラフト(手造り)」ウイスキーが「イチローズモルト」なのです。

比較的入手しやすい「イチローズモルト」とは?

「イチローズモルト」にはさまざまなシリーズがありますが、どれも生産量が少なく、世界中のファンが求めるウイスキーブランドなので常に品薄状態。運よく目にすることができても、プレミアのついた高価格ボトルがほとんどです。なかなか手の届きにくい存在ですが、そのなかでも比較的入手しやすいのは、「イチローズモルト&グレーン ホワイトラベル」でしょう。

「イチローズモルト」の定番品ともいえるボトルで、木の香りや柑橘系のアロマが漂い、飲みごたえのある味わいが魅力です。ハイボールにしても、コクやさわやかな香りをたのしめます。ラベルの裏にロットナンバーが刻印されているので、ちょっとした特別感も味わえるでしょう。ロットによって風味が異なるといわれているので、いろいろと試してみたくなりますね。

ベンチャーウイスキーの最新トピック

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投機対象として争奪戦が激化

国際的なコンテストで高く評価される「イチローズモルト」の価値は、近年のジャパニーズウイスキー人気も後押しして、ますます高まっています。

2019年に香港で開催されたオークションで、「イチローズモルト カードシリーズ」計54本のセットが、約1億円相当の高額で落札されたニュースは記憶に新しいでしょう。

ちなみに「カードシリーズ」とは、1985~2000年に羽生蒸溜所で蒸溜された原酒を、2005年から2014年にかけてシングルモルトウイスキーとして販売されたシリーズもので、ラベルにトランプのカードがデザインされている印象的なボトルです。

このほかにも、ベンチャーウイスキーがリリースするボトルの多くは投機対象となっていて、世界的に争奪戦が激化しています。流通数が少ないうえ、プレミアがついて価格が高騰しているため、一般の愛好家にはさらに手の届きにくい存在となっています。

原酒交換による共同企画ウイスキーを発売

2021年4月下旬、ベンチャーウイスキーとマルスウイスキー(本坊酒造)が、共同企画ウイスキーを発売しました。この企画は、2015年4月に交換した互いの原酒をそれぞれの貯蔵庫で熟成させ、自社の原酒とブレンド(ヴァッティング)して造った「ブレンデッドモルトウイスキー」をリリースするというもの。スコッチの本場スコットランドでは原酒交換はよく行われているようですが、ジャパニーズウイスキーでは初めての試みでした。

それぞれ約1万本ずつ限定で発売されましたが、すでに完売済み。オークションサイトなどでは見かけますが、プレミアつきの高値で取引されています。ぜひ、第二弾、第三段の共同企画ウイスキーの登場を待ちたいところですね。

21年夏に新貯蔵庫が完成

ベンチャーウイスキーでは、2019年に設立した秩父第二蒸溜所の稼働により、生産能力が増強されています。それに伴ってウイスキー原酒を貯蔵・熟成させるスペースが足りなくなってきたため、7つめとなる新貯蔵庫を建設、2021年に完成しました。こだわりのニューポットは、自社製造のミズナラ樽のなかで静かに熟成中です。

第二蒸溜所の直火焚き蒸溜によって生まれた力強い原酒が、新しい熟成庫でどのように熟成されていくのかたのしみですね。



世界中のウイスキーラバーを魅了するベンチャーウイスキー。転売目的での購入がなくなり、本当に自分で味わいたい人が適正価格で購入できるようになるとよいですね。


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