ブレンデッドウイスキーってどんなウイスキー? 種類や特徴、魅力を知ろう

ブレンデッドウイスキーってどんなウイスキー? 種類や特徴、魅力を知ろう
出典 : barmalini/ Shutterstock.com

ブレンデッドウイスキーは、大麦麦芽だけを原料にしたモルトウイスキーと、大麦以外の穀物を主原料としたグレーンウイスキーをブレンドして造られたウイスキーです。その特徴や魅力をさまざまな角度から深掘りしながら、代表的な銘柄やたのしみ方を紹介していきます。

  • 更新日:

ブレンデッドウイスキーとは?

ブレンデッドウイスキーとは?

Marian Weyo/ Shutterstock.com

ウイスキーの原料別の種類をおさらい

ブレンデッドウイスキーの特徴を知るうえでまずチェックしておきたいのがウイスキーの種類です。ウイスキーは原料によって、大きく以下の2種類に分けられます。

【モルトウイスキー】

大麦麦芽(モルト)だけを原料にしたウイスキー。単式蒸溜機で2度蒸溜するのが一般的です。ひとつの蒸溜所で造られたウイスキーだけを瓶詰めしたものを、「シングルモルト」と呼びます。

【グレーンウイスキー】

トウモロコシや小麦、ライ麦など、大麦以外の穀物を主原料にしたウイスキー。糖化のために大麦麦芽を加えて造られ、蒸溜にはおもに連続式蒸溜機を使用します。なお、グレーン(grain)とは、穀物を意味する英単語です。

このほか、ライ麦で造る「ライウイスキー」やトウモロコシを原料にした「コーンウイスキー」などがあります。

ブレンデッドウイスキーの定義と特徴

ブレンデッドウイスキーとは、モルトウイスキーの原酒とグレーンウイスキーの原酒をブレンドして造られるウイスキーのこと。単式蒸溜で抽出されるモルトウイスキーの複雑な味わいと、連続式蒸溜ならではの飲みやすさを兼ね備えた万人受けする味わいが特徴です。

なお、アメリカンウイスキーでは、バーボンやライ、コーンなどのストレートウイスキーに異なるウイスキーやスピリッツをブレンドしたものを、ブレンデッドウイスキーとしています。

「ブレンディング」と「ヴァッティング」の違い

ほとんどのウイスキーは、ブレンダーが原酒をブレンドすることで造られます。ここでは、ブレンドの方法である「ブレンディング」と「ヴァッティング」についてかんたんに確認しましょう。

モルトウイスキーとグレーンウイスキーのように、異なる種類のウイスキー同士を混ぜ合わせる作業を「ブレンディング」といいます。ブレンディングされたウイスキーは、「ブレンデッドウイスキー」と呼ばれます。

一方、モルトウイスキー同士やグレーンウイスキー同士を混ぜ合わせることを「ヴァッティング」といいます。ヴァッティングされたウイスキーは、「ヴァッテドウイスキー」と呼ばれます。

複数の原酒から生まれるウイスキー造りには、「ブレンディング」も「ヴァッティング」も欠かすことのできない作業です。

ウイスキーの産地とブレンデッドウイスキーの歴史

ウイスキーの産地とブレンデッドウイスキーの歴史

KIM DONG HYEOK/ Shutterstock.com

ウイスキーの主要産地

ウイスキーはアイルランドを起源にスコットランドや北米大陸、日本へ広まり、現在も広い地域で生産されています。なかでもスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本は世界的な産地として知られています。これらの国々が育む個性の異なるウイスキーは「世界5大ウイスキー」と呼ばれ、多くのファンに愛されています。

ブレンデッドウイスキーの歴史

ブレンデッドウイスキーが生まれたのは19世紀半ばのスコットランドですが、その歴史を語るには、ブレンデッドウイスキー造りに欠くことのできないグレーンウイスキーの誕生から紐解かなければなりません。

単式蒸溜機よりも効率的にアルコールを生成できる連続式蒸溜機が発明されたのは、1830年のこと。これを用いて造られたのが、クリアな味わいのグレーンウイスキーです。ただ、グレーンウイスキーは雑味が少なく飲みやすい反面、風味に欠けるというデメリットがありました。

そこへ生まれたのが、風味豊かなモルトウイスキーとブレンドするという考え方です。当時は、モルト原酒とグレーン原酒を熟成庫内でブレンドすることが禁止されていましたが、1860年の法改正で可能になりました。

すると直ちに、ブレンディングの祖の異名で知られるアンドリュー・アッシャーが、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドした世界初のブレンデッドスコッチを発売。ほぼ同時期にバランタインがブレンデッドをリリースすると、それに追随するかのように、ブレンデッドウイスキーの銘酒が続々と誕生していきました。

ブレンデッドウイスキーの魅力

ブレンデッドウイスキーの魅力

Shaiith/ Shutterstock.com

シングルモルトとブレンデッドの特徴

「シングルモルトは風土が造る、ブレンデッドは人が造る」といわれるように、シングルモルトウイスキーの風味には、主原料や水、気候など、蒸溜所の個性が色濃く出るのに対して、ブレンデッドウイスキーには、ブレンディングを手がける「ブレンダー」の技とセンスが反映されています。

シングルモルトウイスキーが蒸溜所の個性をたのしむウイスキーだとしたら、ブレンデッドウイスキーは、ブレンダーの手による風味のバランスや洗練された味わいをたのしむお酒といえるでしょう。

ブレンデッドウイスキーならではの魅力

ブレンデッドウイスキーは、複数の蒸溜所で造られたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンダーが厳選し、幾重にも組み合わせることで、複雑な風味を持つ飲みやすいウイスキーに仕上げられています。

複数種類の原酒を卓越したブレンディング技術によって混ぜ合わせ、極上の味わいに仕上げられるブレンデッドウイスキーは、無限の可能性を秘めた芸術作品といっても過言ではありません。

ブレンデッドウイスキーがウイスキー業界にもたらしたもの

ブレンデッドウイスキーがウイスキー業界にもたらしたもの

KikoStock/ Shutterstock.com

ブレンデッドウイスキーの誕生でウイスキーがより身近な存在に

ブレンデッドウイスキーの材料のひとつ、グレーンウイスキーが生まれる以前のウイスキーといえばモルト。それも、ヴァッティングを行わずに瓶詰めされるシングルモルトでした。

当時のウイスキーは樽ごとに風味や品質にバラつきがあり、味わいが安定していなかったそう。

しかし、ブレンデッドウイスキーが誕生すると、一定の品質を保てるようになります。複数の蒸溜所から集めたモルトウイスキーと大量生産が可能なグレーンウイスキーをブレンドすることで、万人受けするウイスキーを安定供給できるようになったのです。

こうして、ウイスキーはより多くの人々の生活に浸透していきました。

ブレンデッドウイスキーはウイスキー流行の立役者

ブレンデッドウイスキーの人気が高まるにつれ、ブレンド技術は飛躍的に向上。より洗練度を増したブレンデッドウイスキーは、スコットランドからイギリス全土へ、ヨーロッパ各地へ、さらには北米大陸や日本へと広がっていきました。

一時は、モルト蒸溜所が造る原酒のほとんどがブレンドに使われていたというほど、隆盛を極めたブレンデッドウイスキー。多くのファンを魅了するその味わいと、無限の広がりを持つ世界観が、ウイスキーの流行を牽引してきたのだといえるでしょう。

ブレンデッドウイスキーの人気銘柄と味わい方

ブレンデッドウイスキーの人気銘柄と味わい方

538294273/ Shutterstock.com

ブレンデッドウイスキーおすすめ5選

ブレンデッドウイスキーのおすすめ銘柄を紹介します。

【バランタイン】

初代マスターブレンダーのジョージ・バランタインの名を冠した、ブレンデッドスコッチの代表的な銘柄。定番は、40種類以上のモルト原酒をブレンドした「バランタイン ファイネスト」。甘く華やかな香りとなめらかな味わいが特徴です。

販売元:サントリー
公式サイトはこちら

【シーバスリーガル】

バランタインと並び、ブレンデッド黎明期から歴史を刻んできた世界に名だたるブレンデッドスコッチブランド。その代表格である「シーバスリーガル 12年」は、バニラやヘーゼルナッツの風味とともに蜂蜜や果物の味わいが広がる、クリーミーかつまろやかな舌触りが魅力の逸品。

販売元:ペルノ・リカール・ジャパン
公式サイトはこちら

【ジョニーウォーカー】

世界的に有名なスコッチウイスキーのブランド。日本でも昭和の時代から「ジョニ黒」「ジョニ赤」の相性で知られ、高級酒の代名詞として親しまれてきました。「ジョニ黒」こと12年熟成の「ブラックラベル」は、スモーキーさとバニラのような甘味、フルーティな味わいが特徴。「ジョニ赤」こと「レッドラベル」はスモーキーな味わいとスパイシーな力強さが魅力の1本です。

発売元:ディアジオ ジャパン株式会社
公式サイトはこちら

【響】

サントリーが創業90周年を迎えた1989年に生まれた、ジャパニーズ・ウイスキーのハイクラスブランド。京都郊外・山崎蒸溜所と山梨・白州蒸溜所で育まれた多彩なモルト原酒と、伊勢湾を臨む知多蒸溜所で生まれた複数のグレーン原酒がブレンドされています。定番の「響 JAPANESE HARMONY」の柔らかく奥深い味わいは、日本人の繊細な味覚を満足させています。

発売元:サントリー
公式サイトはこちら

【フロム・ザ・バレル】

「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」にて5度の金賞受賞、2015年にはカテゴリー最高賞の「トロフィー」を受賞したジャパニーズ・ウイスキー。熟成したモルト原酒とグレーン原酒をブレンド後、樽に詰めて再貯蔵し、異なる個性をなじませた至高の1本です。濃厚にして繊細な香りと味わいが人気の秘密。

製造元:ニッカウヰスキー(販売元:アサヒビール)
公式サイトはこちら

ブレンデッドウイスキーのたのしみ方

ブレンデッドウイスキーは、ストレートからカクテルまでどんな飲み方でもたのしめますが、洗練された味わいを堪能するならオン・ザ・ロックがおすすめです。

香りをたのしみたい人は、ウイスキーに同量の天然水を加えて飲むトゥワイスアップがよいでしょう。ブレンデッドの繊細な風味を堪能するなら、ホットウイスキーという飲み方もあります。

ウイスキー初心者には、水割りやハイボールもおすすめ。食事のお供にも最適なので、飲み方に迷ったら、こちらを試してみてください。

ブレンデッドウイスキーは、世界で流通するウイスキー量の大部分を占めているといわれています。それだけに、種類も豊富。スコッチウイスキーからジャパニーズ・ウイスキーまでいろいろと飲み比べてみて、お気に入りの1本を見つけてくださいね。

おすすめ情報

関連情報

ウイスキーの基礎知識

日本ビール検定(びあけん)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事