「ブレンデッドウイスキー」がウイスキー業界に果たした役割とは? 【ウイスキー用語集】

「ブレンデッドウイスキー」がウイスキー業界に果たした役割とは? 【ウイスキー用語集】
出典 : maeching chaiwongwatthana/Shutterstock.com

ブレンデッドウイスキーが登場してから約1世紀半。今や世界のウイスキー販売量の約9割を占めるに至っています。今回は、ブレンデッドウイスキーがウイスキー業界において果たしてきた役割を、その定義や成り立ちも交えながら紹介します。

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ブレンデッドウイスキーの定義

ブレンデッドウイスキーの定義

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ブレンデッドウイスキーとは「ブレンド」したウイスキー

ブレンデッドウイスキーとは、文字どおり、複数種類のウイスキーをブレンドした(混ぜ合わせた)ウイスキーのこと。
ブレンデッドウイスキーの細かい定義は産地によって異なりますが、一般的なのが“ウイスキーの代名詞”と呼ばれるスコッチウイスキーや、スコッチをお手本としたジャパニーズウイスキーにおける分類です。
スコッチウイスキーは、大麦の麦芽だけを原料とした「モルトウイスキー」と、トウモロコシやライ麦、小麦などを原料に連続式蒸溜で造った「グレーンウイスキー」に大別されます。この両者をブレンドしたものが「ブレンデッドウイスキー」です。

ブレンデッドウイスキーの魅力は飲みやすさ

スコッチウイスキーは、当初は単一の蒸溜所で造られたモルト原酒のみを瓶詰めした「シングルモルト」が一般的でした。モルトウイスキーはクセが強いうえに、蒸溜所ごとの個性がそのまま反映されるため、飲みやすいお酒とは言えませんでした。
その後、クセが少なく飲みやすいグレーンウイスキーが登場。これに、複数のモルトウイスキーを混ぜ合わせることで、飲みやすさと個性をあわせもった「ブレンデッドウイスキー」が誕生。万人受けする洗練された味わいで、今やウイスキー業界の主流となっています。

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ブレンデッドとヴァッテッドの違い

ブレンデッドとヴァッテッドの違い

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「ブレンデッド」は異種、「ヴァッテッド」は同種の混ぜ合わせ

ブレンデッドウイスキーは、複数の蒸溜所のモルトウイスキーとグレーンウイスキーを組み合わせたもの。この組み合わせ作業を「ブレンディング」と呼びます。
これに対し、モルトウイスキー同士や、グレーンウイスキー同士を組み合わせることを「ヴァッティング」と呼びます。

ブレンディングやヴァッティングはウイスキー造りの重要工程

ブレンディングはともかく、同じ種類のウイスキー同士を混ぜ合わせるヴァッティングに、どんな意味があるのか疑問に思うかもしれません。
「ウイスキーは生き物」と言われるほど繊細なものだけに、蒸溜所ごと、さらには熟成される樽ごとで、それぞれ個性や品質が異なります。そこで、複数の蒸溜所、複数の樽のモルト原酒同士をヴァッティングさせることで、味わいを調整します。
単一の蒸溜所のモルトウイスキーから造る「シングルモルト」も、熟成期間の違う複数の樽のモルト原酒をヴァッティングしたもので、かつては「ヴァッテッドモルト」と呼ばれていました(現在では明確に区分されています)。
単一の樽から瓶詰めした「シングルカスク」など稀少な商品を除いては、ほとんどのウイスキーがブレンディングやヴァッティングによって造られているのです。

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シングルモルトは風土が造る、ブレンデッドは人が造る

ブレンディングやヴァッティングを担うのが「ブレンダー」と呼ばれる専門家です。多ければ数十種類もの原酒から、最適な組み合わせと比率を導き出し、調和した味わいを生み出すブレンダーは、まさに“芸術家”と言えます。
このため、蒸溜所の所在地名がつけられることが多いシングルモルトに対し、ブレンデッドウイスキーではブレンダーの名が冠されることが少なくありません。たとえば、ブレンデッドの最高峰と称される「バランタイン」は、初代マスターブレンダーである創業者ジョージ・バランタインの名前が冠せられています。

ブレンデッドウイスキーがウイスキーの流行をもたらす

ブレンデッドウイスキーがウイスキーの流行をもたらす

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ブレンデッドウイスキーはウイスキーの大量生産を可能に

ブレンデッドウイスキーは、個性の強いモルトウイスキーと、飲みやすいグレーンウイスキーを組み合わせることで、ウイスキーを万人受けのする洗練された飲み物へと成熟させました。
ブレンデッドウイスキーが果たした役割はそれだけではありません。産業革命によって登場した「連続式蒸溜機」で造られるグレーンウイスキーは、従来よりも生産性が高く、そこに複数の蒸溜所から集めたモルトウイスキーを組み合わせることで、安定した大量生産が可能になったのです。
さらに、それまでは樽ごとに味や品質にバラつきがありましたが、ブレンデッドによって品質を一定に保てるようになりました。

ブレンデッドウイスキーがスコッチを世界に知らしめた

生産量を増やし、品質を高めたブレンデッドウイスキーは、多くの人々に愛飲されるなかで、さらにブレンド技術を磨き上げていきます。洗練されたブレンデッドウイスキーは、やがてイギリス全土、さらにはヨーロッパ、そして世界中に広がっていきました。
かつて“スコットランドの地酒”にすぎなかったウイスキーは、こうしてビールやワインと並ぶ世界規模のお酒へと成長を遂げたのです。

ブレンデッドウイスキーは、スコッチウイスキーの魅力を世界に広めるための牽引役を果たしました。そして今、ブレンデッドウイスキーのベストセラーの数々は、身近な存在として私たちのそばにあるのです。

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