スモーキーなウイスキーの魅力にハマる! 独特のピート香がおすすめのシングルモルトも紹介

スモーキーなウイスキーの魅力にハマる! 独特のピート香がおすすめのシングルモルトも紹介
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ウイスキーのスモーキーフレーバーは、スコッチウイスキーを代表する香味のひとつ。アイラモルトなど、スモーキーなウイスキーにハマる愛飲家はたくさんいます。今回はスモーキーなウイスキーの特徴や、スモーキーな香りの正体、おすすめ銘柄を紹介します。

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ウイスキー愛飲家を惹きつけてやまない、スモーキーなウイスキーの魅力を紹介します。

スモーキーなウイスキーとは?

スモーキーなウイスキーとは?

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ウイスキーのスモーキーな香り(スモーキーフレーバー)についてみていきます。

「スモーキー」ってどんな香り?

「スモーキーな香り」は、ウイスキーのフレーバーを代表する香りのひとつ。煙でいぶしたような香ばしい香りを指し、「燻香(くんこう)」や「スモーク香」「ピート香」とも呼ばれます。

スモーキーさが特徴のウイスキーといえば、スコットランドのスコッチウイスキーです。スコッチウイスキーの6大産地のなかでも、アイラ島のシングルモルトウイスキーにはスモーキーな香りが際立つものが目立ちます。

スモーキーなシングルモルトウイスキーは、しばしば「個性的」「クセが強い」「独特の風味」などと評され、飲む人を選ぶ一面もありますが、世界中のウイスキー愛飲家から絶大な人気を誇ります。

なお、スモーキーと一口にいっても、ウイスキーのスモーキーさは一様ではありません。ウイスキーのブレンダーの世界では、テイスティング時に感じるスモーキーさを、以下の3つに分類しています。

◇ピーティー
スモーキーな香りと薬品のような香りが混じり合うよい香り。
◇メディシナル
海藻由来の薬品のようなヨード香。
◇ハーシュ
感じのよくない香り。

「ピーティー(ピート様)」という表現については、以下の記事でくわしく紹介しています。

泥炭や草炭とも呼ばれるピート

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ウイスキーのスモーキーさはピート由来

ウイスキーのスモーキーフレーバーは、原料の大麦を乾燥させるために使われるようになった「ピート」に由来します。ピートとは、ヒース(ヘザー)という野草や草などが長い年月をかけて堆積した、泥炭(でいたん)や草炭(そうたん)のこと。平たくいうと、炭化があまり進んでいない石炭のようなものがピートです。

スコットランド北部や周辺の島々では、ピートが豊富に採れるため、伝統的にピートが暖炉などの燃料として使われてきました。前述のアイラ島は、島の約1/4がピート層に覆われています。なお、ウイスキーの製造においては、密造時代にピートが使われるようになったといわれています。

ピートでいぶした大麦麦芽(モルト)を「ピーテッドモルト(ピート麦芽)」といい、これを原料とすることで、ウイスキーにスモーキーな香りが付与されます。

技術が発達した現在は、ピートは燃料源というより、ピーテッドモルトを作るための材料としての役割が強まっています。いずれにせよ、今も昔もピートは、スコッチウイスキーを語るうえで欠かせない材料のひとつであることに変わりはありません。

スモーキーなウイスキー

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ピートの種類によってウイスキーのスモーキーさが変わる

ピートは沿岸部と内陸部で性質が異なり、使うピートによってスモーキーさが違ってきます。

沿岸部のピートには海風が運ぶ海藻類が含まれ、海藻由来のヨウ素が潮気や磯の香りを想わせるスモーク香を生みます。一方、内陸部のピートには草花や灌木由来の成分が多く含まれ、ウイスキーに薫香をもたらすのが特徴です。一般に、クセのある香りがつきやすいのが沿岸部のピートで、モルトウイスキーの味わいの引き立て役が内陸部のピートといわれています。

現在は、原料の大麦麦芽をモルトスターと呼ばれる専門業者から仕入れるのが一般的ですが、ピートはウイスキーの個性を左右する重要な要素のひとつであるため、専用のピートボグ(湿原)を持ち、自社で製麦を行って個性を保っている蒸溜所もあります。

ピートの窯焚き

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スモーキーさの強弱は千差万別

スモーキーさを表す単位に「フェノール値」があります。フェノール値は「ppm」という単位で表され、理論的にはフェノール値が高いほど、ピーティーでスモーキーなウイスキーということになります。

ただし、本来フェノール値は大麦麦芽の乾燥時に発生するフェノール性成分の濃度、ピートレベルを表すもので、フェノール値が高いからといってスモーキーフレーバーが強くなるわけではありません。フェノール値は、ウイスキーのスモーキーさを判断するための目安として捉えてください。

スモーキーフレーバーをもたらす要素は、ピートの種類だけでなく、ピートを焚く時間の長さや焚くタイミング、ピート層を通過した仕込み水などさまざま。各蒸溜所では、それらを組み合わせて多種多様なスモーキーフレーバーを生み出し、スコッチウイスキーの魅力を押し上げています。

ちなみに、ピートを焚かない大麦麦芽(ノンピーテッドモルト)を使うと、基本的にはスモーキーフレーバーのないウイスキーに仕上がります。当然ながらスコッチウイスキーのすべてがスモーキーなわけではなく、近年はスモーキーフレーバーのないウイスキーが主流になってきています。

スモーキーな味わいはハマるとやみつきに

スモーキーなウイスキー

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力強いスモーキーな香りを持つウイスキーは、「クセがあって苦手」という人もいますが、熱狂的ファンもたくさんいます。とくに個性を存分にたのしめるのが、先述したアイラ島のスモーキーなシングルモルトウイスキー。一度ハマるとやみつきになる人も少なくなく、なかには穏やかで飲みやすいウイスキーに物足りなさを感じる愛飲家もいます。

スモーキーなウイスキーは、ストレートやロックなど多様な飲み方でたのしめます。ハイボールとの相性も抜群で、アルコール感やスモーキーさが和らいで飲みやすくなるため、初心者でも挑戦しやすいかもしれません。

スモーキーなウイスキーと合わせたいおつまみは、燻製したナッツやチーズなど、スモークされたもの。また、チョコレートと合わせるとスモーキーさが和らぐので、お好みで試してみてはいかがでしょう。

スモーキーなシングルモルトウイスキーのおすすめ銘柄

スモーキーで個性が強い、スコットランドのウイスキー銘柄を紹介します。

アードベッグ|強烈なスモーキーさ

アードベッグ10年

出典:アードベッグ公式ブランドサイト

「アードベッグ」は、アイラ島で造られているシングルモルトウイスキー。「アードベッグ10年」は、強烈なスモーキーさと繊細な甘さが完璧に調和しています。熟成年数の若い「アードベッグ ウィー・ビースティー 5年」も、破壊的なスモーキーさで人気です。

なお、「アードベッグ」をこよなく愛するファンは、自らを「アードベギャン」と呼びます。毎年開催されるファンイベントも盛況で、高く支持されている銘柄です。

国内販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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ラフロイグ|ザ・スモーキー・アイラ

ラフロイグ 10年

出典:サントリー株式会社サイト

アイラ島の海岸沿いで造られている「ラフロイグ」は、「アイラモルトの王」や「ザ・スモーキー・アイラ」と讃えられ、世界的な人気を誇る銘柄です。

フラッグシップモルトの位置づけの「ラフロイグ 10年」は、さわやかなピートの香りや磯の香りを感じる、強烈で独特の香りが特長。「ラフロイグ セレクト」は、フェノール値の高いヘビリーピーテッドを使用した、リッチ&パワフルなスモーキーフレーバーが魅力です。

国内販売元:サントリー株式会社
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オクトモア|世界最強のスモーキーフレーバー

スモーキーなシングルモルト

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「オクトモア」は、アイラ島のブルックラディ蒸溜所が造るシングルモルトウイスキー。世界最強のフェノール値を誇る、スーパーヘビリーピーテッドモルトを使用しています。

「オクトモア14.3アイラ・バーレイ」は、ラインナップのなかでも、よりフェノール値が高いアイラ島産の大麦を100%使用した1本。「世界一スモーキーなウイスキー」と称される「オクトモア」の、革新的な味わいを堪能できます。

同蒸溜所のノンピートの「ブルックラディ」やヘビリーピーテッドの「ポートシャーロット」との飲み比べもおすすめです。


国内販売元:REMY COINTREAU JAPAN株式会社
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ボウモア|気品あるスモーキーフレーバー

ボウモア 12年

出典:サントリー株式会社サイト

「ボウモア」は、アイラ島で育まれている、バランスのよい優美な味わいが魅力のシングルモルトウイスキー。気品あるスモーキーフレーバーで飲みやすく、潮の香りと甘美な甘味が感じられます。その特長から、「アイラの女王」や「海のシングルモルト」と称され、世界中で支持されています。

バーボン樽とシェリー樽をブレンドした「ボウモア 12年」は、スモーキーさとフルーティーさが見事に調和した1本で、まさに女王の味わいです。

国内販売元:サントリー株式会社
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タリスカー|スモーキーでスパイシー

タリスカー 10年

出典:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社 「タリスカー」ブランドサイト

「タリスカー」は、スカイ島産のシングルモルトウイスキー。小説『宝島』の著者ロバート・ルイス・スチーブンソン氏に「KING OF DRINKS(酒の王様)」と評された銘柄です。

「タリスカー 10年」は、力強い風味とスモーキーな甘さ、「タリスカー」独特の黒胡椒の爆発的な香味を合わせもつ複雑さが魅力。「ミストアイランド(霧の島)」と呼ばれる美しくも厳しい自然と荒々しい海に育まれた、男性的な味わいに魅了されます。

国内販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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ほかにもあるスモーキーウイスキー

スモーキーフレーバーが際立つウイスキーは、スコットランドのアイラ島やスカイ島以外にもあります。

たとえば、アイルランドのアイリッシュウイスキーはライトで穏やかな味わいが特徴的ですが、スモーキーなウイスキーもあります。「カネマラ」はアイリッシュ唯一のピーテッドシングルモルト。銘柄名は、かつてピーテッドモルトを使用してウイスキーが造られていたことにちなんで名づけられました。

また、日本にもスモーキーなウイスキーは存在します。ピートが採れる北海道のニッカウヰスキー余市蒸溜所や厚岸蒸溜所、アイラ島産ピートを使用している富山県の三郎丸蒸溜所などでは、スモーキーさにこだわったシングルモルトウイスキーが造られています。

スモーキーなウイスキーはクセが強く個性的で、飲む人を選びますが、沼にハマるファンも数多く存在します。スモーキーさは銘柄によって異なるので、飲み比べてお気に入りをみつけてみてはいかがでしょう。

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