「オクトモア」は“ピーティーさ”を極めたアイラモルト

「オクトモア」は“ピーティーさ”を極めたアイラモルト
出典 : Kirill Z/ Shutterstock.com

「オクトモア」は、“ウイスキーの聖地”と呼ばれるスコットランドのアイラ島生まれのシングルモルトウイスキー。「アイラモルト」と言えば、“ピーティー”と表現される、ピート(泥炭)由来の独特な香りが特徴ですが、なかでも最強クラスとされる銘柄が「オクトモア」。その歴史や魅力を紹介します。

  • 更新日:

「オクトモア」を生んだアイラ島とブルックラディ蒸溜所の歴史

「オクトモア」を生んだアイラ島とブルックラディ蒸溜所の歴史

13threephotography/ Shutterstock.com

「オクトモア」を育んだ“ウイスキーの聖地”アイラ島

「オクトモア」は、ウイスキー王国スコットランドの6つの生産地のひとつ、アイラ島で造られるシングルモルトウイスキー。
アイラ島は、スコットランドの北西に浮かぶ小さな島ですが、アードベッグ、ボウモア、ラガヴーリンなど、ウイスキー好きなら誰もが知っている有名蒸溜所を数多く擁しています。
アイラ島で造られる「アイラモルト」の大きな特徴が、モルト(麦芽)を乾燥させる際に燃料として使用するピート(泥炭)や、周囲の海からの潮風や海藻に由来するヨード香に由来する、独特かつ強烈な香り。スコッチウイスキーのなかでも個性的な銘柄が多いことから、ウイスキーマニアからの人気が高く、“ウイスキーの聖地”とも呼ばれています。

アイラ生まれのシングルモルトウイスキー「アイラウイスキー(アイラモルト)」の魅力

「オクトモア」の生みの親、ブルックラディ蒸溜所の波乱の歴史

「オクトモア」を造るのは、現在、アイラ島で稼働する9つの蒸溜所(※)のひとつ、ブルックラディ蒸溜所です。
アイラ島の西海岸沿いにあるこの蒸溜所は、今から140年前、1881年に設立されました。日本で言えば明治時代に当たります。
第一次世界大戦による景気悪化のため、1929年に生産を停止。その後、何度となく経営者が交替しましたが、1995年にはついに閉鎖されてしましました。
しかし、“アイラの女王”と呼ばれるボウモア蒸留所でマネージャーを務めていたジム・マッキュワン氏が中心となり、2000年に再建されました。

※2018年末に、9番目の蒸溜所として「アードナッホー蒸溜所」が操業を開始しました。樽詰めから3年以上経たないと出荷できないため、市場に出るのは2020年頃になりそうです。

「オクトモア」はブルックラディ蒸溜所の3つのシングモルトのひとつ

「オクトモア」はブルックラディ蒸溜所の3つのシングモルトのひとつ

Martin M303/ Shutterstock.com

「オクトモア」を生んだブルックラディ蒸溜所のテロワール

新たな経営者によって再建されたブルックラディ蒸溜所の大きな特徴が「テロワール」へのこだわりです。
「テロワール」とは、もともとはワイン造りで使われる用語で、生産地の風土や気候によってもたらされる個性を重視することを意味します。ブルックラディ蒸溜所では、ウイスキーの原料となる大麦は、アイラ産を中心に、100%スコットランド産。島内の湧き水を使って仕込み、蒸溜からボトリングまで、すべての工程をアイラ島内で行っています。
「オクトモア」をはじめ、ブルックラディ蒸溜所のウイスキーは、すべて“アイラ生まれのアイラ育ち”と言えるでしょう。

「オクトモア」と「ブルックラディ」そして「ポートシャーロット」

ブルックラディ蒸溜所では、テロワールにこだわりながら、創業当時のままの伝統的な蒸溜設備を駆使し、3種類のシングルモルトウイスキーを造り分けています。
メインとなるのは、蒸溜所の名を冠した「ブルックラディ」。アイラモルトとしては珍しく、ピートを用いずに麦芽を乾燥させた「ノン・ピーティッド」のウイスキーで、比較的、飲みやすい銘柄として知られています。
一方で、「ヘビリー・ピーティッド」と呼ばれるピート香りの強い銘柄が「ポートシャーロット」です。「オクトモア」は、さらにその上を行く「スーパー・ヘビリー・ピーティッド」。可能な限りピートを焚き込んだモルトを用いた、力強いフレーバーが魅力です。

「オクトモア」の2つの最新エディションに注目

「オクトモア」の2つの最新エディションに注目

PopTika/ Shutterstock.com

「オクトモア」は熱狂的ファンを持つ革新的な銘柄

「オクトモア」は、ブルックラディ蒸溜所の再建後に開発された、比較的、新しい銘柄です。3つのシングルモルトのなかで、生産量はもっとも少なく、全体の1割程度。しかし、造り手の実験精神を前面に押し出した革新的な銘柄であることから、世界中に熱狂的なファンが存在します。
そんな“オクトモア愛好家”のために、ブルックラディ蒸溜所の造り手は、エディションごとに新たな価値観を示しています。

「オクトモア」2019年の2つのエディション

「オクトモア」のファンが待ち望んでいた新しいエディションが、2019年には2つ連続して発表されました。
ひとつは、世界限定42,000本で発売された「オクトモア 09.1 スコティッシュ・バーレイ」。力強いピート香はもちろん、ナッツや花の香りが融合した複雑かつバランスの取れた香りがたのしめる逸品です。
もうひとつが、テロワールへのこだわりを極めた「オクトモア 09.3 アイラ・バーレイ」。アイラ島のオクトモア農場で育った大麦のみを使用した「シングルファーム」のウイスキーで、ピート香をやや抑えることで、アイラ育ちの大麦のフレーバーを引き出しています。

「オクトモア」は、毎年のように新しいエディションが発表される、ウイスキーファンにとっては注目の的となる銘柄です。あまりのピートの強さと、多くが限定販売であることから、初心者が飲む機会は少ないかもしれませんが、覚えておいて損はない銘柄です。

国内販売元:REMY COINTREAU JAPAN株式会社
公式サイトはこちら

おすすめ情報

関連情報

ウイスキーの基礎知識
広告掲載について

ビア検(日本ビール検定)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事