「クライヌリッシュ」はモルトマニアが愛するシングルモルト! 産地や誕生の背景、味わいの特徴を紹介

「クライヌリッシュ」はモルトマニアが愛するシングルモルト! 産地や誕生の背景、味わいの特徴を紹介
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「クライヌリッシュ」は、スコットランドの北ハイランド地方で生産されているシングルモルトウイスキーです。フローラルな香りやクリーミーな口当たりで、モルトマニアに愛されてきました。今回は、「クライヌリッシュ」の産地や誕生の背景、味わいの特徴などについて紹介します。

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「クライヌリッシュ」は、「ジョニーウォーカー」などの有名ボトルのキーモルトとしても有名です。蒸溜所の歴史やボトルラベルにヤマネコが描かれている理由、当たり年と評価されているボトルまで、その魅力をみていきます。

「クライヌリッシュ(CLYNELISH)」とは?

クライヌリッシュの故郷ブローラ村

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「クライヌリッシュ」は、スコットランドの北ハイランド地方で造られるシングルモルトウイスキー。ラベルには、かつてこの地を治めていた公爵家の副紋章、ヤマネコ(スコットランドヤマネコ)が描かれています。

「クライヌリッシュ」は、そのほとんどがブレンド用で、古くから「ジョニーウォーカー」などのキーモルトとして重宝されてきました。「クライヌリッシュ」のシングルモルトは流通量が少なく、知る人ぞ知る銘柄でしたが、近年は人気が高まって価格が高騰しています。

「クライヌリッシュ」は北ハイランド生まれのシングルモルトウイスキー

「クライヌリッシュ」は、スコットランドの北ハイランド地方で生産されているシングルモルトウイスキーです。

クライヌリッシュ蒸溜所は、1925年にディスティラーズ・カンパニー・リミテッド(DCL/現ディアジオ社)に買収され、1967年に今の蒸溜所が建てられました。

蒸溜所があるのは、ドーノック湾の北側に位置するブローラの町のはずれ。美しい自然に囲まれたブローラは、サーモンフィッシングで名高いブローラ川を擁するリゾート地として知られています。

「クライヌリッシュ」はゲール語で、「金色の湿地」という意味。「ブローラ」はヴァイキング語で「橋のある川」を意味します。

なお、「クライヌリッシュ」は現在、世界的な酒類メーカーのディアジオ社が所有しています。

スコットランドの山猫

Stephan Morris

「クライヌリッシュ」はヤマネコ(山猫)のラベルでおなじみ

「クライヌリッシュ」のボトルラベルには、ヤマネコが描かれています。ヤマネコは、かつてこの地を治めていた公爵家の紋章(副紋章)のひとつで、「クライヌリッシュ」のシンボルとなっています。

ヤマネコが紋章に採用されたのは、ハイランド地方が「ハイランドタイガー」とも呼ばれるヤマネコ(スコットランドヤマネコ)の生息地だったからです。しかし現在、スコットランドヤマネコは絶滅の危機にあり、人里離れた山岳地帯でしか見ることができなくなっています。

ちなみに、クライヌリッシュ蒸溜所のエントランスのそばには、巨大なヤマネコのフィギュアが飾られています。

有名銘柄のキーモルトで有名なクライヌリッシュ

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「クライヌリッシュ」は人気銘柄のキーモルトとしても有名

「クライヌリッシュ」は、「ジョニーウォーカー ゴールドラベル」や「ブラックアンドホワイト」など、人気銘柄のキーモルトとして有名です。「クライヌリッシュ」の原酒は、約95%がブレンド用に使われていて、ほかにも「コンパスボックス」などのボトラーズブランドにも使用されています。

「クライヌリッシュ」は、シングルモルトとして市場に出回る数が少なく、知名度もそれほどではありませんでしたが、近年は人気が高まり価格が上昇しています。

「クライヌリッシュ」誕生の背景と注目のきっかけ

クライヌリッシュの近くに佇むダンロビン城

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「クライヌリッシュ」の誕生の背景と、注目されるようになったきっかけについてみていきます。

「クライヌリッシュ」の蒸溜所は、当初密造酒対策のために造られた

クライヌリッシュ蒸溜所は、DCL社が1925年に買収する前の1819年から存在していました。設立したのは、ヤマネコを紋章とするスタッフォード侯爵(のちのサザーランド公爵)です。その背景には、地元で採れた余剰大麦の消費と密造酒対策という目的がありました。

その後、1967年に同じ敷地内に建てられた新しい蒸溜所が「クライヌリッシュ」を名乗ることとなり、古い蒸溜所は町の名を冠した「ブローラ」と改名されました。

ブローラ蒸溜所は、1969年から1983年までの14年間稼働しましたが、残念ながら閉鎖され生産停止に。そのため、70年代に生産されたヴィンテージの「ブローラ」は、カルト的人気を誇っています。

2017年、ディアジオ社がブローラ蒸溜所の再建計画を発表しました。再建を経て新たな幕を開ける「ブローラ」に、期待が寄せられています。

ブローラのそばの海岸

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注目されるきっかけは「花と動物シリーズ」

「クライヌリッシュ」が注目されるきっかけとなったのは、ユナイテッド・ディスティラーズ(UD社、現ディアジオ社)がリリースした「花と動物シリーズ」でした。

「花と動物シリーズ」は、UD社が所有する蒸溜所のウイスキーをシングルモルトとして限定発売するプロジェクトで、1992年から始まりました。ラインナップのほとんどがブレンデッドウイスキー用に造られているウイスキーなので、希少性が高く、今もモルトマニアの間で人気のシリーズとなっています。

ボトルラベルに、蒸溜所に関係する花か動物が描かれているのが特徴で、「クライヌリッシュ」にはヤマネコが採用されていました。

2002年に、シングルモルトウイスキー「クライヌリッシュ14年」がオフシャルボトルとしてリリースされたため、「花と動物シリーズ」の「クライヌリッシュ」は生産休止に。現在は、オールドボトルとしてネット上で見かけることもありますが、プレミア価格で数も少なく、入手しづらいレアボトルとなっています。

「クライヌリッシュ」オフィシャルボトル 14年の味わいは?

クライヌリッシュ14年の味わい

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「クライヌリッシュ」唯一の現行品オフィシャルボトルが、「クライヌリッシュ 14年」。はちみつを想わせる甘いフローラルな香りやフルーティーな香り、クリーミーでワクシー(ワックスのような)な口当たりが最大の魅力です。蒸溜所が海の近くにあるため潮っぽさも感じられ、バランスがよく完成度の高い味わいに、世界中のモルトファンが魅了されています。

なお、すでに終売している「花と動物シリーズ」の「クライヌリッシュ 14年」は、蜜蝋のような風味やピーティーなニュアンスも感じられ、現行品よりもさらに複雑な味わいと評されています。機会があれば飲み比べてみたいものですね。

ちなみに、「クライヌリッシュ」には数量限定ボトルも存在します。そのひとつが、2024年に数量限定でリリースされた、「クライヌリッシュ 12年/THE WILDCAT’S GOLDEN GAZE(山猫の黄金の眼差し)」。こちらは、軽やかでフルーティーな香りや、芳醇な味わい、ドライでペッパーな余韻がたのしめます。

クライヌリッシュ12年

出典:PR TIMES

「クライヌリッシュ12年」は、販売元のディアジオ社が毎年リリースしている、「ディアジオ スペシャルリリース」というウイスキー・コレクションのひとつ。稼働中の蒸溜所のみならず、閉鎖された蒸溜所の希少な原酒も樽出しそのままのカスクストレングスでボトリングされるため、ファン垂涎のコレクションとなっています。

数量限定品で価格も高めなので、なかなか手を出しにくいボトルではありますが、気になる人はチェックしてみてはいかがでしょう。

「クライヌリッシュ」に当たり年はある?

クライヌリッシュの当たり年

Bert Bastias / Shutterstock.com

これまでリリースされてきた「クライヌリッシュ」のなかには、ワインのように「当たり年」と評価されているボトルがあります。「当たり年」として知られているのが、ビッグヴィンテージの1972年をはじめ、1982年、1989年、1997年などのボトルです。いずれもオールドボトルで希少価値が高く、入手はおろか、バーなどで味わう機会も非常に限られています。巡り会えたら幸運ですね。

スコットランドの北ハイランド地方で生産されている「クライヌリッシュ」は、長年モルトマニアたちに愛されてきた、完成度の高いシングルモルトウイスキー。近年は人気が高まっていて、価格が上昇していますが、機会があればバーなどで味わってみてはいかがでしょう。

国内販売元:ディアジオ ジャパン株式会社
公式サイトはこちら

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