1バレル(バーレル)は何リットル? バレルの意味やお酒との関係、ガロンについても確認
「バレル(バーレル/barrel)」は、ヤード・ポンド法の体積の単位で、おもにイギリスやアメリカで使われています。今回は、1バレルは何リットルか、バレルの意味、お酒との関係のほか、同じくヤード・ポンド法の体積の単位「ガロン」についても紹介します。
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原油のニュースでよく耳にする「バレル」という単位は、じつはお酒に関係しています。日本人にはあまりなじみのない「バレル」についてみていきます。
バレル(バーレル)とは?
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「バレル(barrel)」はヤード・ポンド法の体積を表す単位で、語源は「樽」を意味する「barrel」。おもにイギリスやアメリカ、アングロ・サクソン系諸国などで使われています。
バレルはおもに原油など石油製品の計量に用いられ、「B」や「bbl」の略号で表記されることもあります。バレルが石油用の単位として使われるようになった理由は、アメリカの石油産業の黎明期にあたる1860年代に、石油を木樽に詰めて運んでいたからだといわれています。
本来バレルは、「大きな樽」を指す言葉です。かつてはさまざまな樽がバラバラに使われていましたが、1866年にアメリカの石油産業発祥の地であるペンシルベニア州で、生産者たちにより樽の容量が42ガロン(=1バレル)に統一されました。以来、石油の単位としてバレルが使われています。
1バレルは何リットル?
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では、1バレルを日本で使われているメートル法のリットルに換算すると、何リットルに相当するのでしょうか。
石油の場合は、1バレルは約159リットル、正確には158.987294928リットルにあたります。キロリットルに直すと、1バレル=約0.159キロリットルとなります。
ちなみに、バレルは石油の単位として通用していますが、一般的にはバレルではなくキロリットルが使われます。日本でも、国際取引はバレルでも国内取引ではキロリットルが用いられています。バレルは、イギリスやアメリカでも法律では単位として認められていません。とはいえ、伝統的なヤード・ポンド法に対するこだわりが強いため、今も使われ続けています。
話は少し逸れますが、ここでヤード・ポンド法の概要を紹介します。
計量単位を定めたヤード・ポンド法は、「フート・ポンド法」とも呼ばれます。古代オリエントに生まれ、時代の変遷とともにさまざまに変化しながらイギリスで重用されるように。以降、アメリカなどアングロ・サクソン諸国(カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなど)にも広まりました。基本単位は、長さ「ヤード」、質量「ポンド」、体積「ガロン」、時間「セカンド(秒)」、温度「華氏」です。
ヤード・ポンド法の単位は国によって使い方がまちまちで、体系的に整っているとはいえませんでした。そこで、ヤードとポンドについては、1959年に科学技術の分野で使う値として、1ヤード=0.9144メートル、1ポンド=0.45359237キログラムに統一されました。それぞれ「国際ヤード」「国際ポンド」と呼ばれています。ただし、バレルにも関わるガロンについては今も統一されていません。
1バレルの量は国や中身によって違う
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1バレルの量は、国や対象(中身)によって異なります。液体の1バレルについて、イギリスとアメリカを比較してみます。
イギリス国内では、石油は1バレル=36英ガロン(約164 リットル)、アルコールは1バレル=50英ガロン(約227リットル)が使用されています。
アメリカでは、前述のとおり石油は1バレル=42米ガロン(約159リットル)、石油以外については1バレル=31.5米ガロン(約119 リットル)が用いられています。たとえば、ビールなどのアルコールは、石油以外の単位が使われます。
イギリスとアメリカの例からわかるように、1バレルの量には差があり、慣習的に使われてきたものを統一するのは難しいため、各国で独自の基準が使われています。
お酒で「バレル」といえばウイスキー樽のサイズ
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ウイスキーは木製の樽で熟成して造られます。「バレル(バーレル)」はウイスキーの熟成樽のひとつで、ウイスキー業界でよく使われる容量サイズ180~200リットルの樽を指します。バーボンの熟成に使われたバレルは「バーボン樽」と呼ばれ、バーボンの古樽は、スコットランドや日本のウイスキー造りで一般的に利用されています。
ウイスキー樽には、バレル以外にもいろいろな種類があり、個性的な名で呼ばれています。
バレルより一回り大きい、容量約220~250リットルの樽は「ホッグスヘッド(ホグスヘッド)」といいます。「ホッグ(hog)」は家畜用の大人の豚を指し、「ホッグスヘッド」は「豚の頭」を意味します。
バレルより数倍大きな、容量約500リットルの樽には2種類あります。おもにシェリー酒を熟成したあとにウイスキーの熟成に用いられる樽が、容量500リットルの「バット」。ずんぐりした形の容量480~500リットルの樽は、「パンチョン」といいます。
アメリカでは原油や液体以外にもバレルが使われている
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アメリカでは、液体以外でもバレルが単位として使われています。
たとえば、クランベリー用のクランベリーバレル(1バレル=約95.47リットル)、果物や野菜、穀物用の標準乾量バレル(1バレル=約115.62リットル)、小麦用のバレル(1バレル=約196ポンド=約89キログラム)など農作物用のバレルのほか、積み荷(カーゴ)用の積み荷バレル(1バレル=約141.6リットル)もあります。
石油などと同様に1樽単位で取り引きされていたことから、クランベリーなどにもバレルが使われるようになったと考えられます。
なお、積み荷バレルについては、大型タンカーの積載能力を表す際にも用いられることがあります。
【番外編】「バレル」と「ガロン」の違いは?
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アメリカでは原油取引にはバレルが用いられますが、ガソリン販売については米液量ガロン(略号gal)が使われます。このガロンも、ヤード・ポンド法の単位のひとつです。
「ガロン(gallon)」は、ボウルやバケツを意味するラテン語に由来します。イギリスには1824年に定義が統一されるまで、コーンガロン、ワインガロン、エールガロンと複数のガロンが存在し、使い分けられていました。現在の定義は、「華氏62度(摂氏約16.67度)のときの水10ポンドの体積」で、1 ガロン=4.54609 リットルと規定されています。
一方、アメリカには米乾量ガロン(US dry gallon=4.4048428032リットル)と、米液量ガロン(S fluid gallon=3.785411784リットル)の2つのガロンがあります。前者はあまり使用されていませんが、後者はガソリンのほか牛乳などの単位として広く使われています。なお、日本の計量法では、アメリカの米液量ガロン=約3.785リットルが採用されています。
前述したように、1バレルは42ガロン(約159リットル)です。標準的な容量200リットルのドラム缶でいうと、約0.8本分に相当します。なぜキリのよい数字ではなく、42ガロンなのでしょうか。
42ガロンという半端な数字は、当時の運搬方法に由来します。かつて原油は50ガロンのシェリー樽に詰めて運んでいたそうですが、輸送中にこぼれるなどして目減りした分を差し引いて、42ガロンで取り引きされるようになったといわれています。ほかにも、ニシンやワインなどに使う標準的な容器が42ガロンの樽で、それを使っていたことに由来するという説があります。
ヤード・ポンド法の1バレル(=42ガロン)を、メートル法のリットルに換算すると、約159リットルに相当します。バレルは日本では使われていない単位ですが、ウイスキー樽や石油関連のニュースを見たときなどに、何リットルだったかなと思い出してみてくださいね。