ウイスキー熟成に欠かせない「ホッグスヘッド」とは?
ウイスキーの熟成に使われる「ホッグスヘッド」とは? その名前の由来や特徴、他の樽との違いをご紹介。ウイスキーに興味がある方必見の情報満載です。
- 更新日:
ホッグスヘッドはウイスキー樽の一般的なサイズのひとつ
thomas carr/ Shutterstock.com
ホッグスヘッドとはウイスキー樽のサイズ別分類の一種
「ホッグスヘッド(ホグスヘッド)」とは、ウイスキーを熟成させる樽の一種です。
ウイスキー樽の分類には、「アメリカンホワイトオーク樽」「スパニッシュオーク樽」「ミズナラ(ジャパニーズオーク)樽」など、オーク材(楢/ナラ)の種類による分類もあれば、「バーボン樽」「シェリー樽」など、もともと詰めていた酒の種類による分類もあります。
ホッグスヘッドは、樽をサイズによって分類した呼び名のひとつで、代表的なものは以下の4種類です。
【バレル(バーレル/バーボンバレル)】
容量180~200リットル。おもにバーボンウイスキーの熟成に用いられ、使用済みのものがスコッチウイスキーやジャパニーズウイスキーなどの熟成に再利用されます。
【ホッグスヘッド】
容量約220~250リットル。バレルを一度解体し、組み直して作られます。なお、ホッグスヘッド(豚の頭)という名称は、この樽にウイスキーを詰めた際の重さが、おおむね豚一頭分になることに由来しているのだとか。
【バット(シェリーバット)】
容量は約500リットルで、おもにシェリー樽の熟成に用いられた後、再利用されます。
【パンチョン】
容量はバットと同じ約500リットルですが、丈は短くて横幅が広いずんぐりした形状です。
ホッグスヘッドで熟成させたウイスキーの特徴
Tyler W. Stipp / Shutterstock.co
ホッグスヘッドはバーボン樽を解体して作る樽
ホッグスヘッドは、前述のように、いったん解体したバーボン樽を組み直して作られます。
バーボン樽は、内面を焦がしたホワイトオーク材で作られますが、バーボンウイスキーの熟成に用いられるのは一度きり。スコッチウイスキーなどでは、バーボンの熟成に使用された後の空き樽を再利用して熟成することで、独特の風味や香りを生み出しています。
バーボンの産地・アメリカからスコットランドに樽を運ぶ際、いったんバラバラに解体します。これを組み直す際、樽材を追加して胴回りをやや大きくし、新しい鏡板(ヘッド)を用いて組み直すことで、貯蔵効率を高めています。
なお、まれにシェリー樽から作るホッグスヘッドもあり、この場合は「シェリーホッグスヘッド」と呼ばれます。
ホッグスヘッドで造られるウイスキーの特徴は?
ホッグスヘッドは、もともとのバレルよりは一回り大きいものの、バットやパンチョンなどと比べると小さめです。
ウイスキーの樽は、サイズが小さいほど原酒と樽材との接触面積が大きく、熟成が早く進み、樽木の香味成分が移りやすいと言われています。
バーボン樽での熟成を特徴とするスコッチウイスキーや、バーボン樽とシェリー樽を組み合わせて熟成させることが多いアイリッシュウイスキーでは、そのほとんどがホッグスヘッドで熟成されているのだとか。
「ホッグスヘッド」はスコッチウイスキーの銘柄名にも
Lapina Anna/Shutterstock.com
「ホッグスヘッド」と銘打つブレンデッドモルト
「ホッグスヘッド」と言えば、ウイスキー樽のサイズを表す用語ですが、ウイスキーの銘柄名でもあります。
その名のとおり、ラベルに豚の頭をデザインした「ホッグスヘッド」は、1988年創業のボトラーズ(瓶詰め業者)、シグナトリー社の商品です。アイラ島で造られるアイラ・モルト「ラガヴーリン」をはじめ「リンクウッド」「ダフタウン」「アバフェルディ」など12種類のモルトウイスキーをヴァッティングした、シェリー樽で熟成しています。
「ホッグスヘッド」という用語は、一般的に知られるものではなく、初めて聞いたという人もいるかもしれませんが、樽の名前とわかれば、身近に感じられるのでは? これを機に、ウイスキーの熟成に欠かせない樽について調べてみるのもたのしいかもしれませんね。