【バーボン樽の秘密】バーボン以外のウイスキーの熟成法

【バーボン樽の秘密】バーボン以外のウイスキーの熟成法
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バーボン樽はバーボンだけでなく他のウイスキーの熟成にも利用され、独特の風味をもたらします。バーボン樽の特徴や、使用される理由、ウイスキーへの影響を詳しく解説。新たなウイスキーのたのしみ方を見つけましょう。

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「バーボン樽」とバーボンウイスキーの関係は?

「バーボン樽」とバーボンウイスキーの関係は?

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バーボンウイスキーはどんなウイスキー?

「バーボン樽」とは、読んで字のごとく、バーボンウイスキーを貯蔵するための木樽のこと。
バーボンウイスキーは、世界5大ウイスキーのひとつに数えられるアメリカンウイスキーの代表格。トウモロコシを主原料に、おもにケンタッキー州で造られています。

「バーボン樽」は一回限りの“使い捨て”

アメリカの法律では、バーボンウイスキーについて「原料の穀物中にトウモロコシを51%以上含み、80度以下で蒸留し、さらに内面を焦がしたホワイトオークの新樽で、アルコール度数62.5度以下で熟成したもの」と定義しています。
定義に「新樽」とあるように、バーボンの熟成に使用できるのは新品の樽のみ。再利用をしない“使い捨て”です。
じつは、このルールのおかげで、使用済みのバーボン樽が、スコッチウイスキーなど他のウイスキーの熟成にも盛んに利用されているのです。

バーボン樽が他のウイスキーの熟成に利用される理由

バーボン樽が他のウイスキーの熟成に利用される理由

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バーボン樽の利用はシェリー樽不足から

バーボン樽の使用が一般的になるまで、スコッチウイスキーの樽熟成には、おもにシェリー樽が使用されていました。
英国では古くからシェリー酒を大量に輸入していて、その空き樽が容易に入手できたからです。しかし、やがて樽ではなく瓶詰めでの輸送が主体になると、シェリー酒の空き樽が不足する事態に。
困ったスコッチウイスキーの造り手が目をつけたのが、1回使用というルールのあるバーボン樽だったというわけです。

バーボン樽が使われる理由は、入手しやすさだけではない!

「バーボン樽」がスコッチウイスキーなどの熟成に盛んに用いられるのは、入手しやすさだけが理由ではありません。バーボン固有の風味が浸み込んだバーボン樽が、スコッチの主流であるモルトウイスキーの熟成に適していたからです。
樽の素材となるアメリカンオーク由来のフルーティーな香りや、樽内を焦がすことで生まれるバニラのような香ばしさ、さらにはバーボンの特徴的な甘味が、モルトウイスキーの味わいと絶妙な調和を見せると同時に、強いクセをやわらげ、まろやかな口当たりを与えます。
このため、今ではスコッチウイスキーの約9割がバーボン樽で熟成されているほどだとか。

バーボン樽で熟成したウイスキーの風味

バーボン樽で熟成したウイスキーの風味

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バーボン樽の使用回数によってウイスキーの味わいが変わる

バーボンウイスキーを造る際のバーボン樽は、1回限りの“使い捨て”ですが、他のウイスキーの熟成にバーボン樽を再利用する場合は、繰り返し使用するのが一般的です。
バーボン樽に初めて他のウイスキーを貯蔵することを「ファーストフィル」と呼びますが、この場合、バーボンの影響が色濃く出て、ハチミツのような甘さとハードで硬い風味が残ります。その後、2回(セカンドフィル)、3回(サードフィル)と、使用回数が増えるにつれてバーボンの影響が薄れていきます。
ウイスキーの造り手は、求める味わいによって、フィルの回数を使い分け、ウイスキーの熟成具合や個性をコントロールするのです。

バーボン樽内部の「焦げ」が熟成のカギ

バーボン樽は、アメリカの法律上、内部を焼いて焦がしてから使用するよう義務づけられていて、これを「チャーリング」と呼びます。なぜチャーリングするのかと言うと、焼くことで樽の木材に含まれる成分が溶け出しやすくなり、ウイスキーの熟成効果が高まるからです。
バーボン樽を焦がすことで、燻製のようなスモーキーフレーバーと、バニラのような甘く濃い香りが生じ、これがバーボン樽で熟成させたウイスキーの大きな特徴となります。

シェリー樽不足から始まったバーボン樽の使用が、バーボンの影響を受けた淡いライトブラウンの色合いと、独特の風味が加わったウイスキーを誕生させました。どんな樽で熟成したウイスキーなのか、樽の違いで変わる味わいをたのしむのもおすすめです。

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