クラフトウイスキーとは? 言葉の意味や日本で注目されるようになった経緯、人気の蒸溜所を紹介

クラフトウイスキーとは? 言葉の意味や日本で注目されるようになった経緯、人気の蒸溜所を紹介
出典 : El Nariz / Shutterstock.com

クラフトウイスキーとは小規模蒸溜所で造られているウイスキーのこと。ジャパニーズウイスキーブームに伴い、近年クラフトウイスキーを造る蒸溜所が増えています。今回は、クラフトウイスキーの概要や注目されるようになった経緯や人気の蒸溜所を紹介します。

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クラフトウイスキーの言葉の意味や、いつから流行りだしたのかを探ります。

クラフトウイスキーとは?

クラフトウイスキーとは

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クラフトウイスキーに明確な定義はありませんが、一般的には比較的小規模な蒸溜所で造られているウイスキーを指します。

「クラフト(craft)」は英語で、職人的技術、巧妙さ、工芸などの意味を持ち、クラフトウイスキーやクラフトビールというときは、「手造り」のニュアンスで使われています。クラフトウイスキーを造る蒸溜所のことを、「クラフト蒸溜所」や「クラフトディスティラリー」と呼ぶこともあります。

ウイスキー業界に「クラフト」という言葉が登場する前は、小規模な蒸溜所のことは「マイクロディスティラリー」と呼ぶのが一般的でした。「クラフト」が使われるようになったのは、ウイスキーの本場スコットランドでクラフト蒸溜所が続々と増えてきたころです。クラフト蒸溜所ブームはアイルランドでも起こり、その波はアメリカや日本にも到来。日本では2015~2016年ころから、クラフトウイスキーを造る蒸溜所が増えてきました。

クラフトウイスキーが注目されるようになった経緯

日本のクラフトウイスキー人気の理由

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世界的なクラフトウイスキーブームを牽引しているのはアメリカで、クラフト蒸溜所が約2000カ所あるといわれています。製造するウイスキーはシングルモルトが主流ですが、現在アメリカにはシングルモルトの定義がありません。そのため、定義を定めようという動きが活発になっています。

日本のクラフトウイスキーブームの先駆けとなったのは、ベンチャーウイスキー秩父蒸溜所です。国際的なコンペティションで世界最高賞を連続受賞する実力と、少量生産によるレア度の高さから、ウイスキーファン憧れの蒸溜所となっています。日本のクラフト蒸溜所が造るクラフトウイスキーが、世界から注目されるきっかけともなりました。

また、近年のクラフト蒸溜所の盛り上がりは、ジャパニーズウイスキーの需要拡大や、SNSの普及も大いに関係しています。訪日外国人がSNSで地方にも注目し始め、クラフトウイスキーが再評価され人気が高まっています。

国産クラフトウイスキーの蒸溜所12カ所と注目銘柄

日本のクラフトウイスキーの蒸溜所と注目の銘柄を紹介します。

ベンチャーウイスキー 秩父蒸溜所(埼玉県)|イチローズモルト

イチローズ モルト モルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー ホワイトリーフ

画像提供:株式会社ベンチャーウイスキー

2008年開設の秩父蒸溜所は、ベンチャーウイスキーの肥土伊知郎(あくといちろう)氏が埼玉県秩父市で創設したウイスキー蒸溜所です。秩父蒸溜所の「イチローズモルト」は、クラフトウイスキー蒸溜所の先駆けでありブームの火つけ役ともいえるウイスキーブランドで、新商品をリリースするたびに数々の世界的な賞を獲得し、ウイスキー評論家やウイスキーラバーから絶賛されています。

「イチローズモルト」のラインナップには、「リーフラベルシリーズ」や「秩父シリーズ」などがあり、いずれも高い人気を誇ります。とくにシングルモルトウイスキーは、世界的な争奪戦となっていて入手困難です。

なお、ブレンデッドの「イチローズ モルト モルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー ホワイトリーフ」は、比較的手に入れやすい1本となっています。

商品名:イチローズ モルト モルト&グレーン ワールドブレンデッドウイスキー ホワイトリーフ
株式会社ベンチャーウイスキー 秩父蒸溜所
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笹の川酒造 安積蒸溜所(福島県)|YAMAZAKURA(山桜)

PURE MALT WHISKY YAMAZAKURA

出典:安積蒸溜所サイト

安積(あさか)蒸溜所は、福島県の老舗蔵元、笹の川酒造が設立したウイスキー蒸溜所です。笹の川酒造の前進である山桜酒造がウイスキー製造免許を取得したのは1946年のこと。1980年代には「北のチェリー、東の東亜、西のマルス」と呼ばれ、笹の川酒造の「チェリーウイスキー」が好評を博しました。

時を経て、2014年に「YAMAZAKURA」ブランドをリリース。「FINE BLENDED WHISKY YAMAZAKURA 黒ラベル」や「PURE MALT WHISKY YAMAZAKURA」などがラインナップに並び人気を得ます。2022年には、「山桜 ブレンデッドモルト ジャパニーズウイスキー シェリーウッド リザーブ 安積」が、「ワールド・ウイスキー・アワード」で世界最高賞を受賞しました。

なお、笹の川酒造は、ベンチャーウイスキーの創業者が実家の造り酒屋から受け継いだ貴重な原酒を、一時的に預かっていたことでも有名です。

商品名:PURE MALT WHISKY YAMAZAKURA
笹の川酒造株式会社 安積蒸溜所
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江井ヶ嶋酒造(兵庫県)|あかし

ホワイトオークシングルモルトあかし

画像提供:江井ヶ嶋酒造株式会社

江井ヶ嶋酒造は、兵庫県明石市で100年以上の歴史を誇る総合酒類メーカーです。1984年に蒸溜所を開設し、「ホワイトオーク 地ウイスキーあかし」をはじめとする質の高い地ウイスキーを世に送り出しています。

近年、自社蒸溜のシングルモルトウイスキーが注目されるなかで、アメリカンオークシェリー樽、バーボン樽で貯蔵したモルトをバッティングした「ホワイトオークシングルモルトあかし」が「インターナショナル スピリッツ チャレンジ (ISC)2023」で銀賞を受賞。また、6つの原酒を絶妙にブレンディングした「シングルモルト江井ヶ嶋 SEXTET」が、「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2023」にて金賞を受賞しました。

商品名:ホワイトオークシングルモルトあかし
江井ヶ嶋酒造株式会社
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本坊酒造 マルス駒ヶ岳蒸溜所(長野県)、マルス津貫蒸溜所(鹿児島県)|駒ヶ岳、岩井

シングルモルト駒ヶ岳 2023 エディション

出典:本坊酒造株式会社サイト

本坊酒造は鹿児島県のメーカーで、1949年にウイスキー造りを開始し、「マルスウイスキー」を立ち上げました。一時蒸溜を休止していましたが、2011年に長野県のマルス駒ヶ岳蒸溜所での蒸溜を再開。2016年には、鹿児島県の津貫にマルス津貫蒸溜所、屋久島にウイスキー貯蔵庫のマルス屋久島エージングセラーを新設し、現在も本格的なウイスキー造りが行われています。

とくにシングルモルトウイスキーが好評で、「駒ヶ岳」「津貫」「MARS The Y.A」は、世界的なコンテストで世界最高賞や最高金賞を受けています。部門最高賞に輝いた「マルスウイスキー」などのブレンデッドウイスキーも、高く評価されています。

マルスの生みの親、岩井喜一郎氏の名を冠した「岩井 トラディション」などのブレンデッドウイスキーブランドも人気です。

商品名:シングルモルト駒ヶ岳 2023 エディション
本坊酒造株式会社
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長濱浪漫ビール 長濱蒸溜所(滋賀県)|アマハガン

クラフトウイスキー

nisseikikaku / PIXTA(ピクスタ)

長濱浪漫ビールが運営する長濱蒸溜所は、2016年に稼働を開始した日本最小クラスのクラフトウイスキー蒸溜所です。2018年に、ウイスキーブランド「AMAHAGAN(アマハガン)」の第一弾となるブレンデッドモルトをリリースしました。

それからわずか約2年後、世界的なウイスキーコンペティション「ワールド・ウイスキー・アワード2020」に出品した5本すべてが賞を獲得するという快挙を成し遂げ、そのうちの1本「アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュ」が部門最高賞を受賞しました。2022年には、「AMAHAGAN(アマハガン)ワールドモルト 山桜」が部門最高賞を受賞するなど、快進撃は続いています。

商品名:アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュ
長濱浪漫ビール株式会社 長濱蒸溜所
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堅展実業 厚岸蒸溜所(北海道)|厚岸(あっけし)

北海道厚岸

44kawa / PIXTA(ピクスタ)

2016年に創業した堅展実業の厚岸(あっけし)蒸溜所では、スコットランドの伝統製法に厚岸らしさを取り入れたウイスキー造りが行われています。

北海道厚岸町には、スコットランドのウイスキーの聖地、アイラ島によく似た環境がそろっています。アイラモルトといえば強いピート香が特徴的ですが、厚岸蒸溜所もまた心地よいピートをまとったウイスキーに定評があり、「ジャパニーズアイラ」と呼ぶ人もいます。

厚岸蒸溜所のウイスキーは世界的にも評価が高く、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2022」で最優秀金賞を受賞したのを皮切りに数々の輝かしい賞を獲得。2022年には、世界的権威のあるウイスキー品評会「ワールド・ウイスキー・アワード2022」において、「厚岸ブレンデッドウイスキー処暑」がブレンデッドモルトウイスキー部門で世界最高賞を受賞しました。

商品名:厚岸ブレンデッドウイスキー処暑
堅展実業株式会社 厚岸蒸溜所
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サクラオブルワリーアンドディスティラリー SAKURAO DISTILLERY(広島県)|戸河内、桜尾

ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内

出典:SAKURAO DISTILLERYサイト

SAKURAO DISTILLERYは、広島で100年以上の酒づくりの歴史を持つサクラオブルワリーアンドディスティラリーが、2017年に設立したウイスキー蒸留所です。長い間培われてきた酒づくりの技術と伝統を大切にしながら、こだわりのウイスキー製造が行われています。

2021年にはニューヨークで開催された品評会で、シングルモルトジャパニーズウイスキーの「戸河内(とごうち)」と「桜尾」の 1st Release CASK STRENGTHが、それぞれ部門最優秀賞および最高金賞と金賞に輝き、その実力を示しました。

2023年9月に、日本洋酒酒造組合が定めた「ジャパニーズウイスキー」の定義に準じた「ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内」4商品をリニューアル発売し、注目されています。

商品名:ブレンデッドジャパニーズウイスキー戸河内
株式会社サクラオブルワリーアンドディスティラリー SAKURAO DISTILLERY
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ガイアフローディスティリング ガイアフロー静岡蒸溜所(静岡県)|シングルモルト静岡

シングルモルト静岡

出典:ガイアフロー静岡蒸溜所サイト

静岡県の奥座敷に佇むガイアフロー静岡蒸溜所は、2016年にウイスキー製造を開始したクラフトウイスキー蒸溜所です。手がけるのはガイアフローディスティリングで、静岡らしさの詰まったウイスキー造りを行っています。

代表の中村氏は、ウイスキー造りを行うためにまず輸入販売を軸とするガイアフロー株式会社を設立し、数年後にウイスキー製造会社を設立、それから静岡蒸溜所を立ち上げた情熱派です。

シングルモルトウイスキーやブレンデッドウイスキーなどがリリースされています。初期のリリースは本数が少なく入手困難な状況が続いていましたが、近年は500ミリリットルボトルに切り替えたこともあり、入手しやすくなりました。カスクオーナーになれる「静岡プライベートカスク」も人気で、ファンに注目されています。

ブランド名:シングルモルト静岡
ガイアフローディスティリング株式会社 ガイアフロー静岡蒸溜所
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尾鈴山蒸留所(宮崎県)|OSUZU MALT NEW BORN

OSUZU MALT NEW BORN

出典:尾鈴山蒸留所サイト

1998年創業の尾鈴山(おすずやま)蒸留所では、2019年11月からウイスキー造りをスタート。 ウイスキーの原料となる大麦は、すべて自家農園で栽培しています。製麦も手作業で行うなど、焼酎造りのノウハウを活かしたウイスキー造りに関心が集まっています。

2022年には、「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)2022」にて「OSUZU MALT NEW BORN」が銀賞を受賞。「TWSC 2023」では尾鈴山蒸留所自体が「SDGs賞」を受賞しています。

商品名:OSUZU MALT NEW BORN(完売)
尾鈴山蒸留所
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小正嘉之助蒸溜所 嘉之助蒸溜所(鹿児島県)|シングルモルト嘉之助

シングルモルト嘉之助

画像提供:小正嘉之助蒸溜所株式会社

嘉之助(かのすけ)蒸溜所は、老舗焼酎蔵元・小正醸造が4代目の小正芳嗣氏をマスターブレンダーに据えて2017年に開設。クラフト蒸溜所としては珍しく3基のポットスチルを所有し、焼酎造りの経験を活かした独自のウイスキー造りを行っています。

おすすめ銘柄は「シングルモルト嘉之助」。小正醸造が樽熟成焼酎「メローコヅル」の製造で培ってきた蒸溜酒造りと樽貯蔵の技術を生かし、メローなウイスキーをコンセプトに造りあげた嘉之助蒸溜所初の定番商品で、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC) 2023」では金賞受賞を果たしています。

商品名:シングルモルト嘉之助
小正嘉之助蒸溜所株式会社
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宮﨑本店(三重県)|サンピースウイスキー エキストラゴールド

クラフトウイスキー

4F.MEDIA/ PIXTA(ピクスタ)

「キンミヤ焼酎(亀甲宮焼酎)」でおなじみの宮﨑本店では、焼酎や日本酒とともに、古くからウイスキーの製造も行っています。終戦直後に、復興を願って開発されたブレンデッドウイスキーが「サンピースウイスキー」です。サンピースのサン(Sun)は太陽、ピース(Peace)は平和を意味します。

おすすめ銘柄は、現行商品の「サンピースウイスキー エキストラゴールド」。スコッチウイスキーとグレーンウイスキーを宮崎本店のブレンド技術で仕上げたウイスキーで、水割りやハイボールによく合います。

商品名:サンピースウイスキー エキストラゴールド
株式会社宮﨑本店
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若鶴酒造 三郎丸蒸留所(富山県)|サンシャインウイスキー プレミアム

サンシャインウイスキー プレミアム

出典:三郎丸蒸留所サイト

三郎丸蒸留所は、富山県の若鶴酒造が所有する北陸でもっとも歴史のあるウイスキー蒸溜所です。若鶴酒造の蒸溜の歴史は古く、1952年にウイスキーの製造免許を取得し初めてのウイスキーとなる「サンシャインウイスキー」を発売しました。冠はそのままに、64年ぶりと
なる2016年に新たなブレンドとして誕生したのが、「サンシャインウイスキー プレミアム」です。

新たなウイスキーも造られ、2023年には世界的な品評会「ワールド・ウイスキー・アワード2023」で、「シングルモルト 三郎丸 2019 The Founder」とブレンデッドウイスキー「三郎丸ウイスキー2022 THE SUN」が、金賞とカテゴリーウィナーを受賞しました。どちらもおすすめなので、機会があれば飲んでみてください。

商品名:サンシャインウイスキー プレミアム
若鶴酒造株式会社 三郎丸蒸留所
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ジャパニーズウイスキーの人気もあいまって、近年クラフトウイスキーを造る蒸溜所が増えています。今回紹介した蒸溜所以外にも続々と設立されているので、日本のクラフトウイスキーに注目してみてはいかがでしょう。

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