焼酎の種類はさまざま! 原料や製法による分類と種類ごとの特徴を知っておこう

焼酎の種類はさまざま! 原料や製法による分類と種類ごとの特徴を知っておこう
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焼酎は、原料や製法の違いによってさまざまな種類に分けられるバリエーションに富んだお酒。種類ごとの特長を知っておくと銘柄選びに役立つうえ、たのしみの幅も広がります。今回は、焼酎の定義をおさらいしながら、焼酎の種類とそれぞれの特徴を紹介します。

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焼酎とは?

焼酎とは?

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焼酎の種類を知るには、焼酎というお酒に対する理解を深めておくことが大切。ここでは焼酎の特徴や定義をみていきます。

焼酎ってどんなお酒?

焼酎は、酒税法で定められた糖を含む原料に水と酵母を加えて発酵させた醸造酒(発酵液)を蒸溜して造られるお酒。酒税法では、ウイスキーやブランデー、スピリッツなどと同じ「蒸溜酒類」に分類されます。

「醸造酒類」に分類されるワインなどの果実酒や日本酒(清酒)に比べるとアルコール度数が高く、ワインの一般的な度数13〜15度前後、日本酒の一般的な度数13〜15度前後(原酒は16〜20度程度)に対して、焼酎の平均的な度数は25度前後もあります。これは、水とアルコールの沸点の差を利用した蒸溜技術を用いて、純度の高いアルコールを抽出しているため。市場に流通している焼酎のなかには、アルコール度数が40度を超えるものもあります。

焼酎の定義

焼酎は、酒税法によって以下のように定義されています。

アルコール含有物を蒸溜した酒類のうち、
(1)連続式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分36度未満、
(2)単式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分45度以下
のもので、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジンなどに該当しないものをいいます。

「連続式蒸溜機」とは、文字どおり連続的に蒸溜操作を行える蒸溜機のこと。1830年にアイルランドで開発され、日本では1900年ごろから使われています。
一方「単式蒸溜機」は、昔ながらの蒸溜機のことで、そのルーツは古代メソポタミア文明にまで遡るといわれています。日本伝来には諸説ありますが、15世紀なかごろには沖縄に伝わったとされ、連続式蒸溜機登場以前の焼酎造りには必ずこの単式蒸溜機が使われていました。

製法による分類と種類ごとの特徴

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製法による分類と種類ごとの特徴

酒税法では、連続式蒸溜機で蒸溜された焼酎を「連続式蒸溜焼酎」、単式蒸溜機で蒸溜された焼酎を「単式蒸溜焼酎」と分類しています。ここでは異なる製法で造られるこれらの焼酎の特徴と、両者をブレンドした「混和焼酎」についてみていきます。

連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)

連続式蒸溜機で造られる焼酎を「連続式蒸溜焼酎」といいます。
特筆すべき特徴は、クセのないクリアな味わい。連続式蒸溜機で繰り返し蒸溜されることで雑味成分が取り除かれ、ピュアな味わいに仕上がるのです。
原料特有の個性はありませんが、クセがない分飲みやすく、幅広い料理と合わせることができます。また、フレッシュジュースや炭酸飲料、お茶類などさまざまな割り材と抜群の相性を発揮するので、サワーやチューハイ、カクテルなどのベースとしても重宝します。
また、大量生産に適していることから、リーズナブルな価格で提供されるのも連続式蒸溜焼酎ならではの魅力です。

連続式蒸溜焼酎は、かつては「焼酎甲類」や「新式焼酎」と呼ばれていましたが、平成18年(2006年)の酒税法改正で「連続式蒸溜焼酎」に変更されました。ラベルには現在も「焼酎甲類」と表記されることがありますが、一般的には「甲類焼酎」や「ホワイトリカー」の名で親しまれています。

乙類焼酎:単式蒸溜焼酎(乙類焼酎)

単式蒸溜機で造られた焼酎を「単式蒸溜焼酎」といいます。
繰り返し蒸溜が行われる連続式蒸溜機に対して、単式蒸溜機による蒸溜は一度の原料投入につき一度だけ。発酵液(もろみ)に含まれる雑味成分を取り除くことはできませんが、アルコールと一緒に香味成分も抽出されるため、原料ごとの個性が活きた味わい深い焼酎に仕上げることができます。

単式蒸溜焼酎の魅力は原料ごとの風味や香りに現れるので、基本的にはストレートやオン・ザ・ロック、水割り、お湯割りなど定番の飲み方でいただきます。

単式蒸溜焼酎は、平成18年(2006年)の酒税法改正以前は「乙類焼酎(焼酎乙類)」や「旧式焼酎」の名で呼ばれていました。甲乙というと優劣を表すときに使われる言葉ですが、乙類焼酎が甲類焼酎よりも劣っているわけではありません。しかし、乙類より甲類が上というイメージを払拭するのは難しかったようです。そこで注目されたのが「本格焼酎」という呼称。宮崎県の霧島酒造が5年の歳月をかけて働きかけた末、一定の条件をクリアした乙類焼酎を「本格焼酎」と呼称できるようになりました。

「本格焼酎」とは、単式蒸溜焼酎のうち、以下のアルコール含有物を蒸溜したものを指します。

(1)穀類または芋類、これらの麹および水を原料として発酵させたもの
(2)穀類の麹および水を原料として発酵させたもの(泡盛など)
(3)清酒粕および水を原料として発酵させたもの、清酒粕、米、米麹および水を原料として発酵させたもの。または、清酒粕
(4)砂糖(酒税法で定義されたものに限る)、米麹および水を原料として発酵させたもの
(5)穀類または芋類、これらの麹、水および国税庁長官の指定する物品(※)を原料として発酵させたもの。ただし、国税庁長官の指定する物品の重量の合計が穀類および芋類およびこれらの麹の重量を超えないものに限る

※国税庁長官の指定する物品:
あしたば、あずき、あまちゃづる、アロエ、ウーロン茶、梅の種、えのきたけ、おたねにんじん、かぼちゃ、牛乳、ぎんなん、くず粉、くまざさ、くり、グリーンピース、こならの実、ごま、こんぶ、サフラン、サボテン、しいたけ、しそ、大根、脱脂粉乳、たまねぎ、つのまた、つるつる、とちのきの実、トマト、なつめやしの実、にんじん、ねぎ、のり、ピーマン、ひしの実、ひまわりの種、ふきのとう、べにばな、ホエイパウダー、ほていあおい、またたび、抹茶、まてばしいの実、ゆりね、よもぎ、落花生、緑茶、れんこん、わかめ

混和焼酎

連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)と単式蒸溜焼酎(乙類焼酎)をブレンドしたものを「混和焼酎」といいます。
クリアな味わいの甲類焼酎と、豊かな香味を持つ乙類焼酎の魅力をあわせ持ち、価格も比較的リーズナブルなことから、おもに家飲み派の支持を集めています。

混和焼酎は甲類焼酎と乙類焼酎の割合によって2種類に分類され、甲類焼酎の割合が高いものを「焼酎甲類乙類混和」、乙類焼酎の割合が高いものを「焼酎乙類甲類混和」といいます。
甲類焼酎に原料ごとの種類分けはありませんが、混和焼酎の場合は、ブレンドする乙類焼酎の原料ごとに「焼酎甲類乙類混和 いも焼酎」「焼酎甲類乙類混和 むぎ焼酎」などと分けられます。

原料による分類と種類ごとの特徴

原料による分類と種類ごとの特徴

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焼酎のなかでも単式蒸溜焼酎に属する「本格焼酎」は、原料によってさらに細かく分類されます。その代表的な種類や特徴を紹介します。

芋焼酎

芋由来の独特の香りが飲む人を魅了する芋焼酎。主原料のサツマイモにはたくさんの品種があり、使う種類や産地、生産者によっても焼酎の個性は違ってきます。

よく使われる品種は、九州南部で多く栽培されている「コガネセンガン」や「シロユタカ」などですが、基本的にはどの品種を使った焼酎でも濃厚で深みのある味わいをたのしめます。

麦焼酎

飲みやすさが特徴の麦焼酎は、フルーティーな香りと、軽やかでキレのある味わいが特徴です。その名のとおり、主原料は麦。「二条大麦」という、穀粒が2列に並んでいる品種が多く使われています。

ほかの原料で造られた本格焼酎に比べると、麦焼酎にはリーズナブルな価格帯の銘柄が多く、焼酎の初心者でも気軽に試せるのが魅力です。また、あっさりとした味わいのものが多いので、ロックや水割りだけでなく、サワーのベースとして使ってもおいしくたのしめます。

米焼酎

米の旨味と甘味が感じられる米焼酎は、麦焼酎よりもコクがあってやや濃厚な味わいが魅力。日本酒よりもやさしい甘さで、スッキリとした飲み口もたのしめます。

主原料には国産米、とくに九州で多く生産される「ヒノヒカリ」という品種がよく使われています。また、米が焼酎の味を大きく左右することから、「コシヒカリ」や「あきたこまち」などのブランド米を使う蔵元もあるようです。

そば焼酎

そば焼酎は、宮崎県の雲海酒造が生み出した、そばの実を主原料に造られる本格焼酎です。そばの実は発酵力が弱く、扱うのが難しい素材。そのため、米や麦と掛け合わせて使われることが多いですが、各蔵元は、「どこまでそばの実の割合を高められるか」という技術力の面でしのぎを削っています。

そば焼酎の魅力は、ほのかなそばの風味と豊かな香り。そば以外の原料によって味わいは変わってきますが、比較的クセが少なく飲みやすいので、まだ飲んだことがない人はぜひ試してみてください。

黒糖焼酎

黒糖焼酎は、サトウキビを主原料にした焼酎。酒税法で製造を認められているのは、奄美群島にある27ほどの蔵元だけ。ほかの地域では造ることができないため、南国の希少なお酒として親しまれています。

黒糖のまろやかな甘味が感じられるリッチな味わいで、クセが少なく、焼酎のなかでも飲みやすい種類といえるでしょう。

泡盛

沖縄の名産物で知られる泡盛も本格焼酎の一種。大きな特徴は、原料にタイ米が使われていて、米の糖化に黒麹が使われていること。これにより、アーモンドや乳製品、きのこなど、さまざまなものを想わせる豊かな香りが口いっぱいに広がります。

泡盛は、ロックや水割りのほか、お茶やコーヒーで割るなど、さまざまな飲み方でたのしめます。

また、泡盛を3年以上熟成させた古酒(クース)も人気です。

その他の原料

上記以外にもさまざまな素材を使った焼酎があります。たとえば、シソ、にんじん、くり、かぼちゃ、えのきたけ、ごま、こんぶ、またたび、牛乳などです。なかでもさわやかな香りとさっぱりとした飲み口が特徴のシソ焼酎と、まろやかな甘味と独特の香りが際立つ栗焼酎は、固定ファンの熱い支持を集めています。

素材ごとに独自の味わいをたのしめるので、お目にかかった際には、ぜひ試してみてくださいね。

焼酎は驚くほどバラエティに富んだお酒。種類や銘柄の魅力を追求するのも一興ですが、その日の料理やシーンに合わせてチョイスすればたのしみの幅が広がります。機会があったら、異なる種類を飲み比べてみてください。

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