「焼酎」とはどんなお酒?定義から飲み方まで6つのポイントを徹底解説!

「焼酎」とはどんなお酒?定義から飲み方まで6つのポイントを徹底解説!
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焼酎がどのように造られるかご存知でしょうか?焼酎は日本酒と同じく日本を代表するお酒ですが、製造工程は大きく違います。日本酒は醸造し、濾(こ)して造られますが、焼酎は醸造後に「蒸溜」工程を経て造られます。今回は、焼酎の定義、歴史、おいしい飲み方についても紹介します。

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焼酎の定義

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焼酎は清酒と同じく日本を代表するお酒ですが、清酒とは酒税法上の分類が異なります。

酒税法では酒類を「発泡性酒類」「醸造酒類」「蒸溜酒類」「混成酒類」の4種類に分類しています。4つのカテゴリのうち清酒は「醸造酒類」に、焼酎は「蒸溜酒類」に分類されます。

原料をアルコール発酵させ、濾(こ)して造られる「醸造酒」に対し、「蒸溜酒」は醸造酒(発酵液)を蒸溜して造られるお酒です。「醸造酒」には、清酒のほかにワインに代表される果実酒が含まれます。ビールも「醸造酒」ですが、酒税法上は「発泡性酒類」に分類されます。一方「蒸溜酒」には、焼酎のほかにウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジンなどが挙げられます。

焼酎は酒税法によって「アルコール含有物を蒸溜した酒類のうち、連続式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分36度未満、または単式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分45度以下のもののうち、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジンなどに該当しないもの」と定義されています。

なお、焼酎はその蒸溜方法によって「単式蒸溜焼酎」と「連続式蒸溜焼酎」に区分されます。「単式蒸溜焼酎」は「乙類焼酎(本格焼酎)」、「連続式蒸溜焼酎」は「甲類焼酎」の名で親しまれています。

焼酎の歴史

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焼酎は「蒸溜酒」の一種ですが、「蒸溜酒」の歴史は古代メソポタミア文明にまで遡るといわれています。紀元前3000年ごろの考古遺跡から、蒸溜に使われたと思われる土器が出土しています。香料の抽出用ともいわれていますが、「蒸溜酒」の製造に不可欠な蒸溜技術が確立されていたのは興味深い話です。酒の蒸溜に関する記録を初めて残したのは、アリストテレスだといわれています。

焼酎の起源については諸説ありますが、焼酎に近い蒸溜酒が造られていたのは11世紀ごろのタイ(当時のシャム国)を中心とした中近東・東南アジアであったといわれています。

その後、日本に上陸しますが、そのルートにも諸説あります。インドシナ半島や中国雲南地方から琉球に伝わったとの説。朝鮮半島を経由し、対馬に伝わったとの説。中国と海上取引を行った倭寇が薩摩にもたらしたという説。いずれにしても、15世紀中ごろとされています。

日本国内で焼酎が飲まれていた証拠としては、フランシスコ・ザビエルの友人で、貿易商人兼船長として薩摩を訪れていたポルトガル人ジョルジェ・アルバレスが「米から造る蒸溜酒」を飲んでいた、と記録を残しています。「米から作る蒸溜酒」とは、現在の「米焼酎」のことでしょう。

また、鹿児島県大口市にある郡山八旗神社から発見された落書きには、「神社の改修工事に際して、ケチな施工主は一度も焼酎をふるまってくれなかった」と書かれていたそうです。1559年に宮大工によって書かれたと見られるものですが、当時の南九州ですでに焼酎が一般的に広く飲まれていたことが分かる古文書となっています。

焼酎の由来

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焼酎の原型は中国の蒸溜酒と考えられていますが、その名の由来も中国と大きく関わっています。「焼」の字は熱を加えること、すなわち「蒸溜」を表し、「酎」は濃い酒、強い酒という意味を持つそうです。つまり、この2文字は「味わいのある蒸溜酒」という本格焼酎の特徴をストレートに表しています。

次に「焼酎」の読み方ですが、じつは中国では蒸溜酒のことを「焼酒」と書き、「ショウチュウ」と読むそうです。一方、濃い酒、強い酒の意味がある「酎」の文字も「酒」と同じく、中華音では「チュウ」と発音。かつてはこの2つの文字が混同して使われていましたが、18世紀ごろに「焼酎」の文字が定着し、「ショウチュウ」との読み方で現在に至ったといわれています。

焼酎の製造方法

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焼酎にはさまざまな製造方法があり、「単式蒸溜焼酎」と「連続式蒸溜焼酎」ではその方法が大きく異なります。

「単式蒸溜焼酎」

「単式蒸溜焼酎」は、昔ながらの焼酎のこと。明治期までは、焼酎の蒸溜法といえば「単式蒸溜」のことを指していました。

麹に使う原料によっても異なりますが、一般的な「単式蒸溜焼酎」の製法は、洗米・浸漬した米に種つけをして麹を作ることから始まります。その後、一次仕込みで酵母などを加えて麹を増やし、さらに二次仕込みで水と米を加えて発酵させ、発酵を終えたもろみを蒸溜します。

ここで用いる蒸溜方法は「単式蒸溜」ですが、「単式蒸溜」は、さらに「常圧蒸溜」と「減圧蒸溜」の2つの蒸溜法に分けられます。「常圧蒸溜」は、古代メソポタミア文明の時代に登場してから現代まで使われている蒸溜法で、焼酎に原料由来の芳醇な風味が残るのが特徴。減圧蒸溜は、比較的新しい蒸溜方法で、雑味が少なくクセのない味わいに仕上がるのが特徴です。

蒸溜によって抽出された原酒は、貯蔵・熟成させたのち、割り水・ブレンドなどの工程を経て瓶詰・出荷されます。

「連続式蒸溜焼酎」

「連続式蒸溜焼酎」は明治の終わりごろに西洋から持ち込まれた「連続式蒸溜」という近代的な技術で蒸溜される焼酎です。

「連続式蒸溜」は、もともとウイスキー造りなどに使われ、その名のとおりもろみを連続して投入しながら行う蒸溜法。多量生産が可能なため、リーズナブルな価格で提供できるという利点があります。また、一度だけ蒸溜を行う「単式蒸溜」に対し、「連続式蒸溜」では何度も繰り返し蒸溜を行うことから、雑味のないクリアな味わいに仕上がりやすいのが特徴です。

主原料による違い

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焼酎のなかでも「単式蒸溜焼酎」は、主原料の違いによってさらに細かく分類されます。ここでは、おもな乙類焼酎(本格焼酎)の種類を紹介。甲類焼酎の原料にも触れます。

芋焼酎

サツマイモと米麹を原料に造られるのが「芋焼酎」です。おもな生産地は、本格焼酎生産量1、2位を争う宮崎県と鹿児島県。原料芋の品種や使用する麹菌、蒸溜方法、貯蔵・熟成期間などによって味わいは異なりますが、焼酎のなかでも個性が強く、芋独特のコクと香り、ほんのりとした甘味が特徴です。

麦焼酎

おもに大麦を主原料に造られる「麦焼酎」は、製法の違いから、「壱岐焼酎」と「大分焼酎」に大別されます。

「壱岐焼酎」は、「麦焼酎発祥の地」で知られる長崎県壱岐地方の麦焼酎で、WTO(世界貿易機関)のトリプス協定で地理的表示が認められた、日本を代表する焼酎ブランドでもあります。原料の大麦と米麹を2:1の割合で使用しているのが特徴で、麦の香りと米の甘味がたのしめます。

米焼酎

米と米麹を原料に造られるのが「米焼酎」。米の旨味と甘味、フルーティーな香りが特徴で、米と合う料理ならどんな料理ともマッチするため、食中酒としても高い人気を誇っています。

熊本県人吉球磨(くま)地方が発祥の地といわれ、この地で造られる「球磨焼酎」は「壱岐焼酎」と同じく地理的表示が認められた米焼酎ブランドです。

黒糖焼酎

米麹にサトウキビの搾り汁を煮詰めて不純物を取り除いた黒糖を入れて造られるのが、奄美大島特産品として知られる「黒糖焼酎」。黒糖ならではのやさしい香りとほのかな甘味、米麹由来の芳醇な風味が特徴です。

とうもろこし焼酎

とうもろこしを使って造られる「とうもろこし焼酎」は、原料由来の風味が豊かな本格焼酎。原料の51%以上がとうもろこしで造られるバーボンウイスキー以上に、とうもろこしの割合が多いものや、バーボンのように樫樽で貯蔵・熟成を行うものなど、こだわりの銘柄も目立ちます。

そば焼酎

「そば焼酎」は、熱処理して外皮を取り除いたそばの実から造られる本格焼酎。すっきりとした味わいながら、そばらしい風味と香りがたのしめる、そば好き垂涎のお酒です。

そば焼酎誕生の地は宮崎県ですが、北海道や長野などそばの主要産地でもこだわりの銘柄が育まれています。

甲類焼酎は複数の穀物を原料に造られる

甲類焼酎は、おもに糖蜜(サトウキビの搾りかす)やとうもろこし、麦、米などを原料に造られます。製法の特性上、雑味がほとんど取り除かれるため、原料由来の風味が残りにくいのが特徴です。

焼酎は飲み方によって違う香りや味わいがたのしめる

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焼酎は飲み方によって、異なる香りや味わいをたのしむことができます。ここでは、多彩な飲み方のなかから定番を紹介します。

ストレートでたのしむ

焼酎本来の風味や香りを堪能するならこの飲み方。おもに原料由来の風味が活きた、乙類焼酎(本格焼酎)で親しまれています。

小さめのグラスに焼酎を注ぎ、少量を口に含んで味の広がりをたのしみます。ミネラルウォーターや炭酸水などのチェイサーと交互に飲んで口の中をリフレッシュすることで、よりおいしく味わうことができます。

ロックでたのしむ

大きめの氷で満たしたグラスに焼酎を注いでゆっくり味わうことで、最初はストレートに近い焼酎本来の風味や香りを堪能でき、時間の経過とともに水割りのようなマイルドな口当たりをたのしめます。こちらも、どちらかというと乙類焼酎に合う飲み方です。

水やお湯、炭酸などで割ってたのしむ

焼酎は、清酒などの醸造酒に比べてアルコール度数が高いお酒。水やお湯、炭酸などで割ることで、アルコール度数を自在に調整することができます。

乙類焼酎本来のおいしさをたのしむなら、水割りがおすすめです。また、乙類焼酎の香りを存分に味わいたいときは、お湯割りで飲むとよいでしょう。お湯で割るとコクや旨味も増しますが、温度帯によっても引き立つ個性が変わってくるのでいろいろ試してみてください。

焼酎の味わいと爽快なのどごしをたのしみたい人は、炭酸割りもおすすめ。こちらは本格焼酎でも甲類焼酎でもおいしくいただけます。

なお、雑味のないクリアな味わいの甲類焼酎は、お茶やソーダ、ジュースなどさまざまな割り材と相性が抜群です。好みの飲み方を見つけてみてはいかがでしょう。

「単式蒸溜焼酎(乙類焼酎)」と「連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)」の2種類に大別される焼酎は、ここで紹介したほかにも多彩な飲み方がたのしめるお酒。それぞれの焼酎に合うおいしい飲み方を探してみてくださいね。

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