乙類焼酎をもっと知ろう! そもそもの定義から、たのしみ方まで
焼酎の種類として、「乙類」「甲類」という呼び方を聞いたことがあると思います。ここでは乙類にフォーカスして、どういったものを「乙類焼酎」と呼ぶのか、乙類焼酎のたのしみ方などについて、紹介していきます。
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「乙類焼酎」って何?
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そもそも「乙類」「甲類」はどう違う?
焼酎は、「乙類」と「甲類」に大別されます。この分類は、かつての「酒税法」によって定められたものです。現在は、次のように定義されています。
◇単式蒸溜焼酎(乙類)
単式蒸溜機 で蒸溜したもので、アルコール分45度以下
◇連続式蒸溜焼酎(甲類)
連続式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分36度未満
乙類は、酒税法上の「単式蒸溜焼酎」に当たるもので、単式蒸溜機で蒸溜された、アルコール度数45パーセント以下のものを指します。一方の甲類は、「連続式蒸溜焼酎」に当たるもので、連続式蒸溜機で蒸溜された、アルコール度数36パーセント未満のものを指します。
「乙類」の特徴は?
乙類は甲類よりも昔から造られてきた、歴史の古い焼酎です。伝統的な製法が用いられているため、乙類焼酎の一部である「本格焼酎」のことを「旧式焼酎」と呼ぶこともあります。
乙類に分類される焼酎には、芋焼酎、麦焼酎、米焼酎、黒糖焼酎などたくさんの種類があり、さまざまな原料を使った焼酎が造られています。多彩な原料で造られている理由は、米が年貢として納められていた時代に、ほかの原料を用いて造られるようになったため。また、単式蒸溜機を使うと、蒸溜の際にアルコール以外の香味成分も抽出され、原料特有のクセや風味を活かした焼酎が生まれることも関係していると考えられます。
「乙類焼酎」と「本格焼酎」は同じもの?
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「本格焼酎」という呼び名はなぜ生まれた?
「本格焼酎」という呼び名が誕生したことには理由があります。それは、酒税法上の「乙類」「甲類」という分類への誤解を払拭するためです。
昭和24年(1949年)、酒税法で焼酎は乙類と甲類に分類されます。しかし、「甲乙」という言葉は、優劣を表すときに使われるため、その日本語のニュアンスから、「甲類は乙類より高級な焼酎」といった印象を持つ人が多くいました。この誤解を払拭すべく、昭和48年(1973年)に「本格焼酎」と表記することが認められたのです。その後、平成18年度(2006年度)の税制改正によって、乙類は「単式蒸溜焼酎」、甲類は「連続式蒸溜焼酎」と焼酎の定義が変更されました。
いずれにせよ、乙類と甲類は酒税法上の分類だったので、品質などに優劣をつけるためのものではありません。
「本格焼酎」には定義がある
乙類のなかでも「本格焼酎」と名乗るには、クリアしなければならない条件がいくつかあります。それが、以下に挙げる3つの条件です。
◇日本で古くから行われてきた単式蒸溜で仕込んでいること。
◇「米や麦などの穀類」「芋類」「清酒粕」「黒糖」の4品目、または国税庁長官が定める49品目の原料と麹を使用していること。
◇水以外の添加物を一切使わないこと。
どれかひとつでも欠けていたら、乙類焼酎であっても、本格焼酎と名乗ることはできません。
乙類焼酎はこうたのしむ!
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まずは、原料らしさをダイレクトに味わおう
乙類焼酎は、原料ならではのクセや味わいが強く感じられる焼酎です。そのため、飲み始めは、乙類のよさをよりダイレクトに味わえる、ストレートやロックをおすすめします。ただ、アルコール分が高いので、少しきつすぎるという場合は、水割りやお湯割りなどにしてもよいでしょう。水やお湯で割ると、味わいがまろやかになって飲みやすくなります。乙類らしい原料由来の味わいや香りも十分にたのしめますよ。
人気の「乙ハイ」もぜひ
次におすすめしたいのが、近年注目されている飲み方「乙ハイ」です。「乙ハイ」とは、乙類焼酎をソーダで割ったハイボールのこと。作り方はかんたんで、氷を入れたグラスに乙類焼酎とソーダの順で1:1の割合で注ぎ、そっと混ぜるだけで完成します。
乙類焼酎の豊かな風味を残しつつ、ソーダのさわやかさが加わり、独特の味わいをたのしめるのが魅力。すっきり飲みやすくて食事にも合う「乙ハイ」は、糖質も控えめということで女性を中心に人気を集めています。
乙類焼酎は、日本において遠い昔から造られてきた伝統的な焼酎です。原料の特徴をじっくり味わえるお酒なので、いろいろな飲み方で風味の違いをたのしんでくださいね。