「連続式蒸溜焼酎」とは「甲類」?それとも「乙類」?【焼酎用語集】

「連続式蒸溜焼酎」とは「甲類」?それとも「乙類」?【焼酎用語集】
出典 : Brent Hofacker/ Shutterstock.com

「連続式蒸溜焼酎」と表記されている焼酎は、ほかの焼酎とどのような違いがあるのでしょう? ここでは、連続式蒸溜焼酎の定義や、他の焼酎との分類上の違いなどを解説するとともに、連続式蒸溜焼酎の歴史や魅力についても紹介します。

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「連続式蒸溜焼酎」は近代的な製法による焼酎

「連続式蒸溜焼酎」は近代的な製法による焼酎

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「連続式蒸溜焼酎」は近代になって誕生したもの

「連続式蒸溜焼酎」とは、その名のとおり、原料と蒸気を連続的に供給する蒸溜法で造られる焼酎のこと。
焼酎は、500年以上の歴史を持つとされる日本古来の蒸溜酒ですが、もともとは原料の投入1回あたり1度だけ蒸溜する「単式蒸溜」で造られていました。明治の終わりになって、西洋で開発された連続式蒸溜器が導入され、連続式蒸溜焼酎が誕生したのです。

連続式蒸溜はもともとウイスキー造りで開発されたもの

連続式蒸溜という画期的な技術は、産業革命期のイギリスで開発されました。もともとはウイスキー造りの技術として開発されたもので、おもにトウモロコシや小麦、ライ麦などを主原料とした「グレーンウイスキー」の蒸溜に用いられました。
連続式蒸溜は、大量生産が可能というメリットに加え、短期間で一気にアルコールを濃縮するため、原料の風味が残りにくく、クセが少ないという特徴があります。ウイスキーの歴史では、モルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせた「ブレンデッドウイスキー」を生み出し、その普及を加速させるという役割を果たしました。
この特徴は焼酎でも同様で、連続式蒸溜焼酎は、それまでの単式蒸溜焼酎にはない、クリアな味わいで人気を集めました。

「連続式蒸溜焼酎」が「甲類焼酎」と呼ばれた時代

「連続式蒸溜焼酎」が「甲類焼酎」と呼ばれた時代

jazz3311/ Shutterstock.com

連続式蒸溜焼酎は「新式焼酎」として話題に

連続式蒸溜焼酎の歴史がスタートしたのは、明治43年(1910年)のこと。愛媛県宇和島の日本酒精が、干し芋を原料に連続式蒸溜器で蒸溜した「日の本焼酎」を発売したのが端緒です。
香りや風味が濃厚な従来の焼酎とは異なる、クリアな味わいの焼酎は「ハイカラ焼酎」と呼ばれて人気を博し、やがて伝統的な単式蒸溜による焼酎を「旧式焼酎」、連続式蒸溜による焼酎を「新式焼酎」として区分するようになりました。

連続式蒸溜焼酎の区分名が「甲類焼酎」に

連続式蒸溜焼酎は、効率的に大量生産できることから税収にも有利とされ、昭和12年(1937年)から酒税法上でも単式蒸溜焼酎と区分されるようになりました。その後、昭和24年(1949年)に、連続式蒸溜焼酎を「甲類」、単式蒸溜焼酎を「乙類」とする区分が定められ、以来、長きにわたってその呼称が定着していました。
しかし、甲・乙という順序から、品質上の優劣を意味するとの誤解を招きかねないとして、伝統的な焼酎の造り手たちが「本格焼酎」という呼称を提唱。2006年の酒税法改正によって、税法上の区分名も「連続式蒸溜焼酎」と「単式蒸溜焼酎」に変更されました。

「連続式蒸溜焼酎」の多彩なたのしみ方

「連続式蒸溜焼酎」の多彩なたのしみ方

Rimma Bondarenko/ Shutterstock.com

連続式蒸溜焼酎はチューハイやカクテルのベースにも

連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)は、無色透明でクリアな味わいが持ち味。スッキリしたピュアな飲み口をシンプルにたのしみたいなら、やはりロックや水割りがオススメです。
一方で、連続式蒸溜ならではのクセのなさを活かして、炭酸水で割った「チューハイ(酎ハイ)」や「サワー」、カクテルのベースとしても活躍します。

連続式蒸溜焼酎は「ホワイトリカー」として果実酒作りにも

果実酒作りなどで使われる「ホワイトリカー」も、連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)のことです。
もともと「ホワイトリカー」は「無味無臭のお酒」という意味で、広義にはウォッカやテキーラなど海外の蒸溜酒(スピリッツ)も含まれますが、日本でホワイトリカーと言えば甲類焼酎のこと。無味無臭に違いので、果実本来の香りや風味を邪魔することなく、おいしい果実酒がたのしめます。

連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)は、クリアでピュアな味わいはもちろん、効率的に生産できるがゆえのリーズナブルさも魅力。庶民の宅飲み焼酎として絶大な支持を集める連続式蒸溜焼酎を、ぜひ、たのしんでください。

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