<J-CRAFT SAKE蔵元探訪その③>青森県八戸市・八戸酒類 クラシカルな酒造蔵で地元産の米を醸

<J-CRAFT SAKE蔵元探訪その③>青森県八戸市・八戸酒類 クラシカルな酒造蔵で地元産の米を醸

今年の春に誕生、飲食店で料理とともにたのしめる“生酒(なまざけ)”ブランド『J-CRAFT SAKE』。非加熱・無濾過という難易度の高い清酒造りに取り組む蔵元を訪ねる連載で訪れたのは、風格がにじみ出る蔵を有する「八戸酒類」です。

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櫂の動かし方の違いで、酵母の増殖が左右されるそう。

櫂の動かし方の違いで、酵母の増殖が左右されるそう。

平成27年度の造りから杜氏を務める加藤さん。これまでの4名の杜氏に仕えてきたそうなのですが、加藤さんがこうした先輩杜氏と異なるのは、『八鶴』を運営する八戸酒類株式会社の社員であること。

一般的な酒蔵の例にもれず、敏腕の南部杜氏と単年ごとの季節契約を行ってきたのですが、杜氏の高齢化などに伴う人材不足や新しい技術への対応を考え、社員杜氏を中心とした若手中心の酒造りに舵を切ることになったそうです。

「私たちの蔵では、酒造りのかなりの部分で伝統的手法を採用しており、私も先輩の杜氏から学んできました。ただ学ぶと言っても、『勝手に盗め』という職人気質なやり方でしたね」と懐かしい目をして笑う加藤さん。

仕込みのタンクを攪拌する「櫂入(かいい)れ」ひとつ取っても、「押す時と引く時の微妙な力加減の違いで、醪の対流がまったく異なってくるんです。でもそれは杜氏の背後から、手の動かし方などを見て、自分の番でやってみる。そんな試行錯誤を重ねて身に着けていきました」。

タンク内の温度が高い時は、巻きつけたホースに水を通して下げ、逆に低い時には、断熱材を施して上げるそう。そうした加減を習得できるのは現場のみ。

タンク内の温度が高い時は、巻きつけたホースに水を通して下げ、逆に低い時には、断熱材を施して上げるそう。そうした加減を習得できるのは現場のみ。

「でも、これからは違う時代だと思います。私は後進の社員には、言葉で説明して、さらに自らやって見せています。早く一人前になってもらわないと困りますから(苦笑)。あとは本人が向上心をもって努力してくれるかですね」。

ちなみに酒造り担当ではない社員も、繁忙期は蔵の仕事を見学しながら、手伝うことも多いのだとか。社員全員が酒造りを熟知することで、『八鶴』の酒をきちんと理解、自信をもってお客様におすすめできることへと繋がっていくそうです。

現在は来年度の造りに備えて、設備をリフレッシュしています。

現在は来年度の造りに備えて、設備をリフレッシュしています。

『J-CRAFT SAKE 萌木(もえぎ)ねこ』

女子飲みで人気が出そうな、ねこのラベル。

女子飲みで人気が出そうな、ねこのラベル。

取材時には上槽が完了して、瓶詰めが始まった頃。ラベルの萌木色とグリーンの瓶がマッチして、とてもスタイリッシュな印象です。精米歩合55%の純米吟醸生原酒で、「ありのままをさらけだした」無濾過。使用米は前述の『華想い』100%です。

仕込みタンクから、晴れて瓶に。

仕込みタンクから、晴れて瓶に。

「まだ少し荒々しいですが、少し時間が経って落ち着けば、目指していたようなバランスが取れ、キレの良い後味の酒になりそうです」と加藤さん。利き猪口からはフルーティーな香りが立ち昇り、口に含むと心地よい酸味と米の旨味が広がっていきます。

じつはこちらに使用している酵母は、蔵ゆかりの10号ではなくて18号。食との相性に配慮して、酸が表現されやすい18号を採用したのだそうです。

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