焼酎が甘く感じられるのはなぜ? その理由やおすすめの銘柄を紹介
焼酎を飲んだとき、甘い香りとともに甘い味わいを感じたことはありませんか? 焼酎に糖分は含まれていませんが、なぜ甘い味に感じられるのでしょうか。今回は、甘さをたのしめる焼酎の種類や、焼酎が甘く感じられる理由、甘い風味が特徴の銘柄などを紹介します。
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甘さを感じる焼酎の種類
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「甘い」と感じられる代表的な焼酎「黒糖焼酎」「芋焼酎」
焼酎はさまざまな原料から造られているお酒ですが、使用する原料によって、甘さが際立つように感じられるものもあります。甘い風味が特徴的な焼酎としてまず挙げられるのは、「黒糖焼酎」と「芋焼酎」です。
【サトウキビが原料の「黒糖焼酎」】
甘く感じられる焼酎の筆頭格は黒糖焼酎です。原料に、サトウキビの搾り汁から造られる黒砂糖(黒糖)と、旨味とコクを生む米麹を使用していて、カラメルのようなほんのりと甘い香りがするのが特徴です。カリブ海諸島の名産「ラム酒」と原料が同じことから、「日本のラム」とも呼ばれています。
【サツマイモが原料の「芋焼酎」】
芋焼酎も甘く感じられる焼酎のひとつです。口に含めば、サツマイモ特有の個性的な甘さが広がります。芋焼酎に使われるサツマイモの品種は40種類以上といわれていて、なかには甘味が強いものや、フルーティーな甘さが特徴のものもあります。
「甘い」と感じられる焼酎はほかにもある
黒糖焼酎や芋焼酎以外にも、甘さを感じる焼酎があります。原料によって甘さの種類が異なるので、どんな甘さが感じられるのか確認しましょう。
◇麦焼酎
麦の甘く焦げたような香り(甘焦げ香)やほんのりとした甘さが感じられます。
◇米焼酎
原料のお米ならではのふくよかな甘さが感じられます。
◇泡盛
とくに長期熟成された「古酒(クース)」で、カラメルやバニラ、リンゴや洋梨を思わせる風味が感じられます。
このように、ひとことで「甘い」といっても、原料によって感じられる甘さはさまざまです。
糖分ゼロなのに、どうして甘く感じるの?
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焼酎が甘く感じられる理由
焼酎は、もろみを蒸溜することで造られる蒸溜酒です。蒸溜工程ではアルコールや香味成分などが抽出されますが、原料に含まれている糖分は抽出されません。そのため、原料に糖度の高い黒糖やサツマイモなどを使っていたとしても、最終的に糖質はゼロになります。
では、なぜ「甘い」と感じられるのでしょうか? その理由は、原料由来の「甘い香り」を「甘い味わい」と錯覚しているからだといわれています。舌で甘味を感じているわけではなく、鼻で嗅いだ甘い香りを、脳が甘い味だと認識してしまっているのです。
また、香り以外にも、熟成酒に多いまろやかな酒質の焼酎も、甘く感じられやすいといわれています。
焼酎の甘さには蒸溜方法も関係している
甘く感じられる焼酎は、本格焼酎を含む乙類焼酎に多く見られますが、その甘い香りには、蒸溜方法も少なからず関わっています。
「単式蒸溜焼酎」とも呼ばれる乙類焼酎は、単式蒸溜機で蒸溜して造られます。「単式蒸溜」の特徴は、焼酎に原料由来の風味が残りやすいこと。そのため、黒糖を使えば黒糖の、芋を使えば芋の個性が感じられる焼酎に仕上がります。
つまり、黒糖や芋など甘味のある原料を使った焼酎からは、その原料由来の甘い香りが漂い、甘い味わいに感じやすくなるのです。
甘い風味が特徴的な、焼酎のおすすめ銘柄
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「甘い」と感じられる「黒糖焼酎」のおもな銘柄
【朝日】
喜界島の朝日酒造の代表銘柄で、1年以上の時間をかけてじっくり貯蔵したのちに、蔵出しされます。ほのかな甘味が感じられつつも、キレのある味わいが特徴です。
製造元:朝日酒造株式会社
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【れんと】
奄美大島の開運酒造の代表銘柄。「音響熟成」という独自の手法でゆるやかに熟成を促すことで、円みのあるマイルドな口当たりに仕上げられています。甘い香りも魅力。
製造元:株式会社奄美大島開運酒造
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「甘い」と感じられる「芋焼酎」のおもな銘柄
【一刻者(いっこもん)】
鹿児島県の小牧酒造の代表銘柄。米麹仕込みのものが多いなか、芋麹で仕込んだ「全芋仕込み」の焼酎です。芋本来の甘さのなかに、レーズンのような甘さも感じられます。
製造元:宝酒造株式会社
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【海】
鹿児島県の大海酒造の代表銘柄で、甘味の強いさつまいもの品種「ベニオトメ」を使っています。華やかでフルーティーな香りとクセのない甘味、爽快な味わいが魅力です。
製造元:大海酒造
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焼酎の甘さには、「甘い香り」が大きく関係しています。甘さが特徴の焼酎を飲むときは、感覚を研ぎ澄まして、原料由来の甘い香りと甘やかな味わいを存分にたのしんでみてはいかがでしょう。