鹿児島・大隅半島の大海酒造の焼酎造りは、造り手の感性とこだわりの原料が決め手【焼酎用語集】

鹿児島・大隅半島の大海酒造の焼酎造りは、造り手の感性とこだわりの原料が決め手【焼酎用語集】
出典 : Stanley Ng/Shutterstock.com

「さつま大海」や「海」などの芋焼酎で知られる大海(たいかい)酒造は、大隅半島・鹿屋市に蔵を構える蔵元です。蔵のある大隅半島の雄大な海をテーマに、酒造りを行っています。今回は、大海酒造のこだわりや代表銘柄について詳しく紹介します。

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大海酒造が大切にする、手造りにこだわる焼酎造り

大海酒造が大切にする、手造りにこだわる焼酎造り

出典:大海酒造

伝統と挑戦を重んじる大海酒造

大海酒造は、地域の9蔵が結集して造られた蔵元です。蔵元の歴史は、「伝統と挑戦」の歴史であったといいます。

大海酒造が、いまも大切にしていることは、受け継がれてきた知恵と伝統を活かした焼酎造りです。近代的な設備と共に、杜氏の五感と経験を生かし可能な限り手作り感を残した焼酎造りを行っています。

また伝統を重んじる一方で、時代のニーズに合った味わいを探求しながら、新たな銘柄も生み出してきました。総杜氏の大牟禮(おおむれ)氏は、毎年の焼酎造りに活かすため、東北の蔵元で日本酒の醸造技術を学ぶこともしていたそうです。「経験を積むごとに、ねらいどおりの味を造れるようになった」という総杜氏の技や挑戦心は、新杜氏の前田氏にも受け継がれています。

仕込みの作業も労力を惜しまず、総力戦で行う

大海酒造の仕込み作業は、晩夏から初冬までのさつまいもの収穫時期に集中して行われます。そのおよそ3か月の間、杜氏と蔵人は蔵に泊まり込みで作業します。

雑味を生まないために、昼夜問わず温度管理を徹底して行うそうですが、それはまさに、蔵元のいう「限界に挑む総力戦」を体現したもの。五感をフル活用し、手間ひまかけることで、目指す味を造り上げているのです。

大海酒造は、原料にも大きなこだわりを持っている

大海酒造は、原料にも大きなこだわりを持っている

出典:大海酒造

水へのこだわり

大海酒造が海シリーズで使用している割り水は、地元・鹿児島産の「寿鶴(じゅかく)」という温泉水。地下800メートルから湧き出る超軟水で、通常の温泉水の100倍以上のゲルマニウムが含まれているといわれています。

海シリーズの担い手の山下氏が、地元でのよい水探しにこだわり、さまざまな水を試飲して辿り着いたのが、垂水温泉水「寿鶴」でした。この鹿児島ブランドにも指定されている「寿鶴」を使用することで、軽やかで爽快な、これまでにはない味わいの芋焼酎が生まれるといいます。

華やかで飲みやすいと評判の「海」シリーズは、鹿児島を代表する水から、育まれているのです。

さつまいもや麹へのこだわり

大海酒造では、日本の農業を酒造りの場から支え、農家の顔が見える安心安全の酒造りを行いたいという想いから、原料となるさつまいもの有機栽培を地元の契約農家に委託しています。

農家は長年、さつまいもの品質の向上に努めてきました。おもに使用している原料の「ベニオトメ」は、焼き芋にも使われる強い甘味のある品種。丹精込めて育まれてきたベニオトメを使用することで、香りが甘く、濃厚で、豊かな味わいの焼酎が生まれるといいます。

大海酒造の焼酎の裏ラベルには、契約農家の写真とともに、「私たちのさつまいも畑から焼酎造りは始まります」という言葉が記されています。ここには、「おいしい焼酎は良質なさつまいもから生まれる」という蔵元の信念が込められているのです。

また、麹は、醸す酒のタイプに合わせて「白麹」「黒麹」「黄麹」を使い分けているほか、特殊な麹を用いることもあります。焼酎の味を左右する種麹造りでは、有機栽培の米を使うとともに、それぞれの麹と対話して、ていねいな作業が行われています。

大海酒造の代表銘柄

大海酒造の代表銘柄

出典:大海酒造

大海酒造が誇る芋焼酎の代表銘柄

大海酒造が造る芋焼酎のおもな銘柄を紹介します。

【さつま大海】

大海酒造の名物ともいえる芋焼酎。地元民にも愛される、毎晩飲んでも飲み飽きないレギュラー酒で、キレのある味わいが特徴です。お湯割りがとくにおすすめ。

【さつまの海】

芋らしい豊かな香りと、まろやかな甘さがある芋焼酎。適度にコクがあり、バランスのよい飲み口が魅力です。ロック、お湯割りがおすすめ。

大海酒造が誇る芋焼酎の代表銘柄

【海】

黄麹とベニオトメを使用し、減圧蒸溜で造られた芋焼酎。華やかなフルーティーさと、さわやかですっきりとした味わいに定評があります。飲みやすいため、芋焼酎ビギナーにもおすすめ。ロック、水割り、ソーダ割りなど、多彩な飲み方でたのしめます。

「海(うみ)」はフルーティーな香りがクセになる女性に人気の芋焼酎

【うみ】

減圧蒸溜で造られた「海」に対し、常圧蒸溜で造られた「うみ」。「海」は華やかさが特徴ですが、「うみ」はやさしくて落ち着きのある香りが人気です。深みのある味わいが、口の中いっぱいに広がります。

【海王】

焼酎用に開発されたさつまいも「ジョイホワイト」と黒麹を使用した芋焼酎です。さつまいも由来のほのかな甘味とコクをしっかり感じられる味わいで、飲み口はすっきりしていてなめらか。ロックやお湯割りがおすすめです。

前割り焼酎や、薔薇の焼酎、麦焼酎もおすすめ

大海酒造には、飲みやすく前割りしたものや、香り豊かでボトルデザインも美しい薔薇焼酎、食中酒にぴったりの麦焼酎もあります。

【umi15】

温泉水「寿鶴」で前割りした芋焼酎。冷やしてそのまま飲めるように、アルコール度数15度に調整されています。白ワインのようにワイングラスに入れて、香りをたのしみながら飲むのがおすすめ。

【薔薇の贈りもの14】

芋焼酎をベースに、香り高い薔薇を原料にした薔薇焼酎。香りの出やすい酵母と特殊な麹を使用し、香り豊かに仕上げられています。アルコール度数14度に前割りされた商品もおすすめです。

【くじらの白麦・黒麦】

焼酎好適麦「ニシノホシ」と白麹で仕込んだ麦焼酎。なめらか、かつすっきりした味わいで、食事と一緒にたのしみたい焼酎です。

人の手による焼酎造りを大切にしている、大海酒造。そのこだわりが、妥協のない焼酎の味に現れています。大隅半島から見える海原の景色を思い浮かべながら、海にまつわる銘柄をたのしんでみてはいかがでしょうか。

※大海酒販オリジナル焼酎は大海酒販特約店のみで販売しています

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