奄美諸島限定の焼酎とは?甘い香りの黒糖焼酎
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黒糖焼酎とはどんなものか?
甘い香りととろりとした味わいが特徴の黒糖焼酎。実は、奄美諸島限定の焼酎であることを知っていますか?
黒糖焼酎は、もともと奄美諸島でよく飲まれているポピュラーな焼酎でした。終戦後アメリカの占領下となり日本から分断された奄美諸島が、1953年に日本に復帰するにあたって事態が変わります。日本の酒税法では、焼酎の原料として「糖類」は認めていません。糖類を発酵させる酒は「スピリッツ」として、焼酎より高い酒税が課せられていました。黒糖焼酎は黒糖を主原料としているため、高い酒税がかけられるようになります。
当時の奄美諸島では経済的負担が大きいこともあり、地元の酒造組合が政府に陳情を行いある条件を守ることで、特例として黒糖焼酎は焼酎として認められたのです。その条件とは、「米麹を併用して仕込む」「鹿児島県奄美群島区の管轄区域内で製造する」の2点でした。
これにより、黒糖焼酎は焼酎の仲間入りを果たしますが、奄美諸島限定となるのです。
そもそも「黒糖」とはどんな「糖」なの?
では、黒糖とはどんなものでしょうか? 一般家庭でもよく見かける「白糖」は、遠心分離機にかけて結晶と蜜を分離し結晶を取り出して作った砂糖。さとうきびの汁に含まれる香り、味、しょ糖以外の栄養分を取り除いたため、白色なのです。
「黒糖」は、さとうきびの搾り汁を煮詰めて不純物を取り除き、固めた砂糖。ミネラルやビタミンなどの栄養素が豊富に含まれ、強い風味が残ります。
また、黒糖は蜜分などの含有量や不純物の残留量などを基準に、5段階に格付けされています。黒糖焼酎の原料となる黒糖は、その中でも特等または1等までの高品質なものに限定されています。さとうきび100キログラムから摂れる黒糖は、約10キログラム。コクのある旨味が黒糖焼酎にも生きています。
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まるでラム酒のような甘味と味わい
同じ黒糖を使った酒というとラム酒を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか? 黒糖とラム酒の違いは、米麹を使っているかどうかだけ。黒糖は米麹なしでも、もちろんアルコールを生成できますが、前述のような理由で黒糖焼酎には米麹を使っているのです。米麹を使うことで旨味とコクを生み出し、独特のスッキリした甘さをもたらしました。
現在、黒糖焼酎を製造している蔵元は、奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の5つの島にある28のみです。
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