長崎に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【九州編】

長崎に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【九州編】
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長崎県は古くから異文化交流が盛んなうえに、気候風土も変化に富んでいるため、同じ長崎県内でも日本酒の味わいがさまざまに異なります。個性的な銘柄が揃っているので、飲み比べて好みの1本を探すのもたのしそう。今回は、そんな長崎の日本酒について紹介します。

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長崎は麦焼酎発祥の地としても知られる酒処

長崎は麦焼酎発祥の地としても知られる酒処

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長崎県独自の風土が育んだ日本酒

長崎県は、三方を海に囲まれた独特の地形を持ち、海からの恵みはもちろん、陽光を浴びやすい斜面の耕地で育つ農産物、潮風を受けたミネラル豊富な牧草で育つ畜産物など、良質な食材の宝庫です。
加えて、古くから大陸との交易拠点として栄え、鎖国時代には西洋文化への唯一の扉となるなど、異国文化との豊富な接点から、多彩な食文化が育まれてきました。
こうした長崎独特の風土は日本酒造りにも反映され、地元・長崎産の素材をもとに、県内各地で多様な個性を持った日本酒が生み出されています。

長崎県を代表する酒、「壱岐焼酎」との切磋琢磨

長崎県は、日本酒だけでなく焼酎の名産地としても知られています。なかでも玄界灘に浮かぶ壱岐島(いきのしま)で造られる麦焼酎は、1995年にWTO(世界貿易機関)によって地理的表示が認められ、「壱岐焼酎」として世界に知られるようになりました。
近年、長崎と言えば麦焼酎というイメージが定着していますが、伝統に根ざした焼酎蔵と切磋琢磨を続けることで、日本酒の蔵元も技術に磨きを掛け、長崎の日本酒を進化させてきたのです。

長崎に行って飲んでみたい! おすすめの焼酎【九州編】

長崎県産酒の認知度向上をめざした条例を施行

長崎県産酒の認知度向上をめざした条例を施行

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長崎県産の酒に親しんでもらうための「乾杯条例」とは?

長崎県では、現在、日本酒蔵と焼酎蔵を合わせて、約25の蔵元が酒造りに取り組んでいます。銘柄の数もじつに多く、その数は400を超えるほどと言われています。
長崎県では、これら長崎県産酒にもっと親しんでもらおうと、2015年に「長崎県産酒による乾杯の推進に関する条例」を施行しました。いわゆる「乾杯条例」と呼ばれるもので、宴会やイベント、集まりなどの乾杯の際には、長崎県内で造られる酒類を活用しましょうというものです。

乾杯条例により長崎県産酒のさらなる発展が期待

乾杯条例は、2013年の京都市での制定を皮切りに全国に広がっていて、長崎県での制定は9例目となります。
乾杯条例の施行は、県内外で長崎県産酒の認知度を向上させるだけでなく、地域経済の活性化や雇用の促進、郷土愛の育成などへの貢献も目的としています。この条例により、長崎県の日本酒が、長崎を発展させていく一助となることが期待されています。

長崎の日本酒、人気銘柄

長崎の人気銘柄

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老舗蔵元がチャレンジする新しい銘柄【福田(ふくだ)】

福田酒造は、山海の自然に恵まれた長崎県平戸市志々伎(しじき)町に蔵を構える、日本最西端の日本酒蔵元(沖縄県を除く)。日本酒だけでなく焼酎も手掛けていて、「じゃがたらお春」「かぴたん」など個性的な焼酎銘柄で知られています。
福田酒造は元禄元年(1688年)創業の老舗蔵のため、その名を冠した「福田」も歴史ある銘柄と思われがちですが、現在の14代目当主が新たに開発した銘柄です。穏やかな香りと豊かな米の旨味、すっきりとした飲み口が特徴では2018年の「KURA MASTER」純米酒部門で、長崎県産酒として唯一、最高賞の「プラチナ賞」に輝きました。

製造元:福田酒造株式会社
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長崎の焼酎【じゃがたらお春】長崎県産の馬鈴薯を原料とした本格じゃがいも焼酎

長崎の焼酎【かぴたん】南蛮渡来の技法で造られた風味豊かな秘酒

老舗蔵元の実力を証明する代表銘柄【長崎美人(ながさきびじん)】

「長崎美人」は、「福田」を醸す福田酒造の代表銘柄です。福田酒造は、かつて長崎県北部を治めていた平戸藩御用達の日本酒を造っていたことでも知られる長崎県きっての実力派。現在も「全国新酒鑑評会」や「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」「全国燗酒コンテスト」など、数々のコンクールで高い評価を獲得し、全国に名を馳せています。
なかでも「長崎美人 大吟醸」は、全日空の国際線ファーストクラスで採用された実績を持つ銘柄。フルーティーでありながら、どっしりとした飲み応えもあり、多くの人を魅了しています。

製造元:福田酒造株式会社
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壱岐焼酎の蔵元が復活させた日本酒造り【横山五十(よこやまごじゅう)】

重家(おもや)酒造は、大正13年(1924年)の創業以来、伝統の壱岐焼酎と並行して、古くから日本酒造りも行っていました。杜氏の高齢化などから一度は日本酒製造を断念したものの、「壱岐島でも日本酒造りを絶やしたくない」との想いから、最近になって日本酒造りを復活させました。
2018年には島内でも良水に恵まれる地を選んで日本酒蔵を新設。そこで造られる代表銘柄「横山五十」は、県外の有名蔵で修行を積んで蔵元杜氏となった横山太三氏が、酒造好適米「山田錦」を50%まで磨いて造った酒という意味。まだ新しい銘柄ながら、ていねいな酒造りで長崎県内外から注目を集めています。

製造元:重家酒造株式会社
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長崎の焼酎【雪洲(せっしゅう)】壱岐焼酎の伝統が息づく麦焼酎

平戸のお殿様も飲んだ歴史を感じる味わい【本陣(ほんじん)】

「本陣」は、元禄元年(1688年)、平戸藩の藩命により創業した潜龍(せんりゅう)酒造が造る日本酒。「本陣」という銘柄名は、蔵元がかつて、平戸のお殿様が宿泊する本陣屋敷であったことに由来していて、それらの建物は長崎県の文化財に指定されています。
「本陣」は、地元契約農家で栽培された良質な原料米を、敷地内の湧水で仕込んだ酒。昔ながらの木槽(きぶね)しぼりや、外側に氷を張って温度管理を行う二重タンクでの仕込みなど、手作業ならではの丹念な日本酒造りが特徴です。長く受け継がれてきた伝統と技術で造られる「本陣」の味わいには定評があり、「全国新酒鑑評会」をはじめとしたコンクールで数々の賞に輝いています。

製造元:潜龍酒造株式会社
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日本全国に長崎の日本酒を届けたい【六十餘洲(ろくじゅうよしゅう)】

「六十餘洲」を醸す今里酒造は、江戸時代中期の安永元年(1772年)に創業した老舗。蔵や建物の増築を行いながら日本酒造りを続け、10数棟からなる建物群を形成し、うち6棟が国の登録有形文化財に登録されている伝統ある蔵元です。
代表銘柄である「六十餘洲」は、かつての日本が60余りの国々に分かれていたことから、そのすべての人々に飲んでもらいたいという想いから名づけられたもの。米のふくよかな旨味と、心地よい甘味が高く評価され、その名のとおり全国的な知名度を持つ銘柄へと成長しています。

製造元:今里酒造株式会社
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長崎の日本酒、そのほかの注目銘柄

長崎のそのほかの注目銘柄

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壱岐島の日本酒造りにかける蔵元の想いが詰まった1本【確蔵(かくぞう)】

「確蔵」は「横山五十」と同様、壱岐島の蔵元、重家酒造が、日本酒造りの復活をめざして醸した酒。1990年を最後に途絶えていた日本酒造りを、23年ぶりに復活させた第一号が「確蔵」で、長崎の海鮮料理とよく合う、スッキリとした味わいが特徴です。
「確蔵」には「Our Spirit 僕らの想い」というサブタイトルがつけられていますが、この想いとは「いずれ壱岐島での日本酒造りを再開させたい」というもの。「確蔵」は当初、縁のあった山口県の蔵元の蔵を借りて醸していましたが、2018年に島内に完成させた日本酒蔵「横山蔵」において、「確蔵」に込められたSpiritsはみごとに結実したのです。

製造元:重家酒造株式会社
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江戸から続く老舗蔵で3兄弟が力を合わせて醸す【梅ヶ枝(うめがえ)】

「梅ヶ枝」を醸す梅ヶ枝酒造は、江戸時代中期の天明7年(1787年)に創業した歴史ある蔵元です。11代将軍家斉の時代に、現在の長崎県西部を治めていた大村藩主より「梅ヶ枝」の名をもらい、以来、その名を蔵元と銘柄に冠し続け、佐世保の地酒として地域に親しまれてきました。
現在は、蔵元の3兄弟が一致団結して酒造りに邁進中。先進的な技術を取り入れながらも、江戸期に建造された歴史ある建物を活かして、重要な部分はすべて手作業にこだわっています。そうして造られる「梅ヶ枝」は、「全国新酒鑑評会」や「福岡国税局鑑評会」でも金賞の常連で、長崎を代表する銘柄のひとつとなっています。

製造元:梅ヶ枝酒造株式会社
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幅広い酒造りを手掛ける蔵元渾身の1本【まが玉(まがたま)】

「まが玉」を造る山崎本店酒造場は、江戸時代に初期に京都から長崎県島原に移住し、酢や醤油、ロウなどを作っていた山崎家が、明治17年(1884年)から日本酒造りを始めたのが起源。現在では、日本酒のみならず、焼酎やリキュールなど、100種類以上もの酒を造っています。
そんな山崎本店酒造場の主力銘柄「まが玉」には、皇室に伝わる「三種の神器」のひとつ「勾玉」のような貴重な酒を造ろうという想いが込められています。「全国新酒鑑評会」で何度も金賞に輝いた「まが玉 大吟醸しずく酒」をはじめ、スッキリとした味わいで多くのファンから支持されています。

製造元:山崎本店酒造場
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長崎の大自然が育んだ素材で醸す酒【月のよさ(つきのよさ)】

「月のよさ」は、「まが玉」で知られる長崎県島原の蔵元、山崎本店酒造場が「究極の純米特別酒」と謳う自信作です。
雲仙普賢岳の噴火の際に湧出した「島原の湧水」を仕込み水に、精米歩合55%まで磨いた良質な酒造好適米をじっくりと醸した「月のよさ」は、ほどよいコクと、ふくよかな米の香りを堪能できます。
狂歌師の大田南畝が長崎弁で詠んだ狂歌「彦山の 上から出づる 月はよか こげん月は えっとなかばい」のように、「月のよさ」は、長崎の自然が育んだ「素材のよさ」が感じられる1本です。

製造元:山崎本店酒造場
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100種以上の酒を造る蔵元が手掛けた本格スパークリング【普賢岳(ふげんだけ)】

山崎本店酒造場の日本酒は、どれも普賢岳からの湧水で仕込まれているのが特徴ですが、長崎を代表するこの山の名を銘柄に冠したのが、スパークリング日本酒「普賢岳」です。
炭酸ガスを加え、細やかで美しい発泡感をたのしめる「普賢岳」は、華やかなフルーティーさもあって、まさにシャンパンを思わせるような日本酒です。希少なシマバライチゴのエキスを加えてロゼタイプに造られたバリエーションも含め、女性からも注目を集める銘柄です。

製造元:山崎本店酒造場
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長崎県では、特徴のある気候風土が生み出した、ほかの県では味わえない個性豊かな日本酒をたのしむことができます。異文化交流のある長崎県だからこそのバリエーション豊かな日本酒は、飲む人を飽きさせることがありません。

長崎県酒造組合

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