長崎に行って飲んでみたい! おすすめの焼酎【九州編】《焼酎きき酒師監修》
長崎県の焼酎蔵は現在13軒。その半数以上が壱岐島に集中しており、独自の進化をとげてきました。一方、壱岐以外の地域も大陸や欧州文化の影響を受けたりと、他県とは異なる味わいを醸しているようです。
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長崎県壱岐市は500年もの歴史を持つ麦焼酎発祥の地
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長崎空港から飛行機で約30分、博多港から高速船で約1時間強。九州の北方、玄界灘に位置する南北17キロメートル、東西14キロメートルの壱岐島(いきのしま)は、古くは日本と中国大陸とを結ぶ中継点として栄えた土地です。
長崎でも有数の穀倉地として知られるこの島では、豊富な原料と良質な地下水により、古くからどぶろく造りが盛んに行われてきました。16世紀に大陸から蒸溜技術が伝来してからは、清酒の代わりに焼酎が造られるようになります。
17世紀に入ると、年貢として徴収される米に代わって、麦が島民の主食となり、その余剰分と米麹を原料にした麦焼酎が誕生。これがのちに、この島独自の焼酎造りへと進化していきます。
500年もの間、この島に受け継がれ、磨き抜かれた壱岐特有の麦焼酎は、1995年にWTO(世界貿易機関)によって地理的表示が認められ、「壱岐焼酎」として一躍世界的ブランドの仲間入りを果たします。
今では、ウイスキーのスコッチやバーボン、ブランデーのコニャックやアルマニャック、ワインのボルドーやシャブリ、シャンパーニュなどと並ぶ代表的な蒸留酒として、世界各国から注目を集めるようになりました。
壱岐焼酎に代表される長崎県の焼酎の特徴
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長崎県には、米麹と麦とを1:2の割合で配合した壱岐焼酎や、県内で豊富にとれる大麦を使用した麦100%の麦焼酎、南蛮貿易でヨーロッパから伝わったじゃがいもが主原料のじゃがいも焼酎など、個性的な焼酎がズラリと揃っています。
蔵ごとに独自の趣向を凝らしているのはもちろんですが、その土地その土地の風土や自然を最大限に活かした焼酎造りが行われています。
麦焼酎の発祥地である壱岐市だけで製造が認められた壱岐焼酎は、2大原料の黄金比が醸し出す、米の甘味と麦の香りのハーモニーが特徴。現在も7軒の酒蔵が切磋琢磨しながら技を磨き合うことで、新たな味わいを生み出し続けています。
壱岐以外の土地で造られる焼酎にも、ほかでは真似できない個性が息づいています。機会があれば、いろいろ飲みくらべて、お気に入りを見つけてください。
長崎の人気銘柄
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長崎県には、海を越え、本州へ伝わる以前から地元で愛され続けた人気の焼酎銘柄が多数あります。ここでは、その代表的な焼酎をご紹介しましょう。
まろやかな味わいの壱岐焼酎【壱岐】
監修者
工藤貴祥
(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。