長崎に行って飲んでみたい! おすすめの焼酎【九州編】《焼酎きき酒師監修》
長崎県の焼酎蔵は現在13軒。その半数以上が壱岐島に集中しており、独自の進化をとげてきました。一方、壱岐以外の地域も大陸や欧州文化の影響を受けたりと、他県とは異なる味わいを醸しているようです。
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長崎には、ほかにも人気の銘柄が多数あります。ここではその一部をご紹介します。
開高健が愛した壱岐麦焼酎【天の川(あまのかわ)】
「天の川」は、食通で知られる芥川賞作家・開高健氏が愛したことで知られる壱岐焼酎です。手がける天の川酒造がこだわるのは、蒸溜と貯蔵。原料の米と大麦から昔ながらの常圧蒸溜で香りや旨味成分を存分に引き出し、2年以上の貯蔵熟成を行うことで、まろやかさをプラス。味わい深い逸品に仕上げています。
数あるラインナップのなかでも定番となるのは、壱岐焼酎らしい米の甘味や麦の風味にコクと甘味が加わった「本格焼酎 天の川」。これをさらに樫樽熟成させた「天の川 金印」や黒麹仕込みの「天の川 黒」もおすすめです。
長崎の焼酎【天の川(あまのかわ)】芥川賞作家・開高健が愛したこだわりの壱岐焼酎
4年以上熟成貯蔵させた希少な麦焼酎【青一髪】
「青一髪」を造るのは、この1銘柄にすべてを賭けた小さな酒蔵・久保酒造場。蔵元杜氏がほぼ一人で手造りするため、生産量が非常に少ないことから“幻の麦焼酎”とも呼ばれる「青一髪」。その銘柄は、古い漢詩から作家・宮崎康平氏が命名したもので、海と空とを髪の毛一筋でつなげている水平線を表しているのだとか。
長崎県産の大麦だけを原料に使用し、微減圧蒸溜で抽出した原酒をステンレスタンクで4年以上熟成貯蔵することで、やわらかくまろやかに仕上げた個性的な1本です。
長崎の焼酎【青一髪(せいいっぱつ)】小さな焼酎蔵が造る幻の麦焼酎
花酵母ならではの華やかな味わい【なでしこ】
「壱岐の島」や「壱岐っ娘」を造る焼酎蔵、壱岐の蔵酒造が手がける「なでしこ」は、日本で初めて、撫子(なでしこ)の花から分離した花酵母で醸した麦焼酎。香りの主成分を損なわないよう、低温でじっくり仕込み、上品では華やかな風味に仕上げた1本です。2008年から5年連続でモンドセレクション金賞に輝くなど、海外からの評価も高く、国内ではサッカー日本女子代表「なでしこジャパン」の活躍で脚光を浴びました。おすすめの飲み方は、ロックまたは水割り。花の香りを心ゆくまで堪能してください。
長崎の焼酎【なでしこ】なでしこの花酵母で仕込んだ上品な麦焼酎
飲みやすさを追求した麦焼酎【壱岐っ娘】
「壱岐の島」や「なでしこ」を手がける壱岐の蔵酒造が、麦焼酎発祥の地に伝わる技法をベースに、いち早く減圧蒸溜法を取り入れた注目銘柄が「壱岐っ娘」です。
壱岐焼酎ならではの米麹1、大麦2の配分で仕込み、減圧蒸溜で仕上げた、クリアななかにも旨味が活きた原酒を1年以上寝かせ、竹炭でろ過することで、まろやかで香り高い味わいを実現。飲みやすさにとことんこだわった、焼酎初心者にイチオシの1本です。
シェリー酒の古樽で長期熟成させた琥珀色の麦焼酎「壱岐っ娘Deluxe」もおすすめです。
長崎の焼酎【壱岐っ娘(いきっこ)】飲みやすさを追求した麦焼酎
監修者
工藤貴祥
(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。