長崎に行って飲んでみたい! おすすめの焼酎【九州編】《焼酎きき酒師監修》
長崎県の焼酎蔵は現在13軒。その半数以上が壱岐島に集中しており、独自の進化をとげてきました。一方、壱岐以外の地域も大陸や欧州文化の影響を受けたりと、他県とは異なる味わいを醸しているようです。
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麦焼酎発祥の地・長崎県壱岐市にある7つの焼酎蔵のひとつ、玄海酒造が大切に育む「壱岐焼酎」の代表的な銘柄です。米麹1/3、大麦2/3という原料配分に、壱岐でもっとも高い山「岳の辻」の伏流水を用いて仕込んだ焼酎は、米の甘味と麦の香ばしさの絶妙なバランスが味わえます。
「壱岐」シリーズの多くは貯蔵熟成酒で、かめ貯蔵や樫樽貯蔵でよりまろやかに仕上がったその味は、国内外問わず多くの人に愛されています。
長崎の焼酎【壱岐(いき)】世界が認めた産地指定の麦焼酎
コンセプトは“究極の食中酒”【壱岐の島】
長崎県壱岐市において、伝統の製法を守り続ける6軒の焼酎蔵が結成した壱岐焼酎協業組合、現在の壱岐の蔵酒造が、どんな料理とも相性がよく互いに味を引き立て合える“究極の食中酒”として創り上げたのが、壱岐焼酎「壱岐の島」です。
匠の技により、素材の味が十二分に引き出されており、米の旨味と甘味、麦の香りのみごとな調和がたのしめます。アルコール度数25%の定番品のほか、度数20%の低アルコール版も人気です。
長崎の焼酎【壱岐の島(いきのしま)】麦焼酎発祥の地が育む究極の食中酒
健康酒としても注目されるじゃがいも焼酎【じゃがたらお春】
江戸時代、鎖国によりジャカルタへ追放された長崎生まれの混血女性「ジャガタラお春」の想いを銘柄名に込めた本格じゃがいも焼酎。北海道に次ぐじゃがいもの産地・長崎県でとれた馬鈴薯を厳選し、独自の最新技術で醸したその味は、素朴にしてまろやか。
じゃがいも特有の香りとすっきりとした後味に加え、豊富なカリウムと加熱しても壊れにくいビタミンCを含むことから、健康を気にする人からも広く愛されています。容器の意匠に長崎文化を取り入れた「お春 ステンドグラス」「じゃがたらお春 舟徳利」はお土産にも最適です。
長崎の焼酎【じゃがたらお春】長崎県産の馬鈴薯を原料とした本格じゃがいも焼酎
南蛮渡来の技術で造る大麦100%の焼酎【かぴたん】
「じゃがたらお春」の蔵元、福田酒造が、南蛮伝来の秘技で育む個性豊かな麦焼酎。「かぴたん」とは「キャプテン」を意味するイスパニア語で、「本格焼酎の先導役になってほしい」という蔵元の想いが込められています。
原料には国産大麦を使用。昔ながらの常圧蒸溜で旨味を引き出した原酒を、5年以上もかけて樫樽で熟成させ、香り高くまろやかな味わいに仕上がっています。「かぴたん 10年」は、10年の熟成期間を経て瓶詰めされたシリアルナンバー入りの数量限定品として、高い人気を集めています。
長崎の焼酎【かぴたん】南蛮伝来の技法で製造された風味豊かな秘酒
ほのかに漂う麦こがし香【猿川(サルコー)】
醸造場を横切る清流「猿川川(さるこがわ)」を銘柄に冠した「猿川(サルコー)」は、壱岐焼酎ならではの米麹の甘味や麦の香味に加え、ほのかな麦こがし香がたのしめる通好みの焼酎。昔ながらの麹室カメ仕込みと、蔵独自の蒸溜方法で醸される味わいは、甘くやわらかで、思いのほかあっさりした飲み口がたのしめます。
自然熟成ののちに、国内の本格焼酎業界では初となる「超音波熟成システム」によって、まろやかに仕上げた「猿川 円円(まろまろ)」は、二日酔い予防にも効果があるとの評価を得て、注目が集まる人気シリーズ。お酒に弱い人はぜひ、お試しください。
長崎の焼酎【猿川(サルコー)】ほのかな麦こがし香が漂う本格壱岐焼酎
長崎のそのほかの注目銘柄
監修者
工藤貴祥
(一社)日本ソムリエ協会認定ソムリエ・エクセレンス、同SAKE DIPLOMA、きき酒師、焼酎きき酒師、日本ビール検定2級。29年以上お酒業界にいて、特に日本酒愛、ワイン愛、ビール愛が止まらない。もちろんこれ以外のお酒も(笑)。料理やアウトドア、古典酒場巡りが趣味。